プジョー・シトロエン MTモデル3台試乗レポート/清水草一(2/2)

  • 筆者: 清水 草一
  • カメラマン:オートックワン編集部
プジョー・シトロエン MTモデル3台試乗レポート/清水草一
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プジョーらしい猫足復活の207GT!

続いて、兄弟車のプジョー207GTに乗ってみよう。

ボディサイズは、207の方がかなりデカい。全長で75ミリ長い他、すべてがひとまわり太目である。

しかしエンジンは同じ。ミッションも6速MTのみ。昨年までは5速MTだったが、今年から6速に昇格した。つまりパワートレーンはDS3と同じはずで、その他の部分でどれくらい味付けが違うのかな?くらいの先入観しかなかった。

 ところが乗ってみると、ミッションも含め、すべてが一世代違うフィーリングだったのである!

 207は、DS3に比べると、ボディが格段にユルい。シフトレバーの節度もユルく、全体にガバガバなクルマに乗っている感覚だ。ギュッと引き締まったDS3と比べると、かなり大味に感じてしまう。

 ただし、207登場時、「これが猫足のプジョーか?」と言われたほど、固くスポーティだった足回りは、日本上陸から3年半を経て、プジョーらしいしなやかさを取り戻していた。とてもいいことですね。

 現在プジョーは販売が急回復しており、今年度上半期の登録台数は、前年比で58%もの増加となった。その牽引車となったのが207で、特に199万円のスタイル1.6と、219万円のプレミアムが、戦略的な価格設定により爆発的に売れ行きを伸ばしている。

 一方、スポーツモデルの207GTに関しては、すべての面で、新世代のDS3スポーツシックにかなわない。 同じ3ドアハッチバック、後席は207の方が広いが、価格差は3万円しかないのだから、MTを買うようなスポーティ志向の方には、断然DS3をオススメしたい。

ライバルTT追撃へプジョーのスポーツモデルRCZ

最後はプジョーのスポーツモデルの旗艦、RCZだ。

ライバルはズバリ、アウディTT。全長はやや長いが、見た目からして相似形のスポーツクーペである。

TTクーペは2リッター直噴ターボ(211馬力)を積むが、RCZはDS3や207GTと同じ1.6リッター直噴ターボ。ただし、RCZの6速MTモデルは、エンジンがハイブーストの200馬力となり、馬力をほぼ揃えて、TTにタイマン勝負を挑んでいる。しかもRCZは左ハンドルのみ。マニアックだぜ。

TTクーペは2ペダル・6速Sトロニックのメジャー狙いで、左ハン6MTのRCZはニッチ狙い。RCZは、気合とテクニックでTTを追う男のモデル、という位置づけができよう。

さて、男気満点のRCZだが、そのエンジンフィールはさすがに男であった。

超フラットトルクがアタリマエの直噴ターボ業界にあって、かなりしっかりとパワー&トルクの盛り上がりが感じられるのである。

もちろん、低・中回転でも十分はトルクはあるが、しかし回せば回すほどパワーが絞り出てきて、古典的な味わいが残っている。「上まで回す意味がある」というところが、男心をそそる。

そんなエンジンを、6MTを自在に駆使して疾走させる。う~んマンダムな男の世界である。ただ、エミッション対策もあって、エンジンの回転落ちは悪い。1速から2速に電光石火のシフトアップでクラッチをつなぐと、回転が落ち切ってなくて「どわ~ん」とショックが来てしまう。フェラーリみたいに「クォン!」とは行かないです。それはまぁしょうがありませんね。

このRCZの6MT200馬力仕様、お値段は423万円。TTクーペ(ベースモデル)の460万円に対して、約35万円お安い設定だ。

どちらを選ぶか、決め手はやはり「左ハンドル+6速MT」という点になるだろう。

古典的なクルマ好きは、いつか「左ハン+マニュアル」という、高いハードルを超えたいと願うものである。

つまり、プジョーRCZは、欧州車に憧れるエンスージアストにとって、ひとつの有力な回答だと言えるであろう。

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清水 草一
筆者清水 草一

1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。代表作『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高はなぜ渋滞するのか!?』などの著作で交通ジャーナリストとしても活動中。雑誌連載多数。日本文芸家協会会員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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