シルビアや180の復活はないのか?日産が86やスープラに続かないワケ(1/2)
- 筆者: 桃田 健史
「ノート」の大成功により、「シルビア」は完全に封印か?
「我々自身がビックリしていますよ」
日産関係者の多くが、新型ノートの月間販売台数第一位(2016年11月期)に驚いた。軽自動車を含めると日本国内販売車のなかで、日産が月間トップの座についたのは、今回が初めてだ。
新型ノート販売好調の理由は、もちろん『e-POWER』である。日産にとってe-POWERは、『オートパイロット』と共に、次世代日産の象徴的存在。その第一弾となるノートが失敗するワケにはいかない。
筆者は日産関係者に「やはり、(レンジエクステンダーなどの一般的な技術用語ではなく)これはe-POWERです、とハッキリ言い切ったマーケティング戦略を貫き通したことが、この結果を生んだのでしょうね」と、ウインクした。
そう話しながら、筆者の脳裏では“シルビア完全封印”の文字が浮かんだ。
当面は日本専用車として登場した新型ノートe-POWERは、その先進性と経済性を求めて、『シルビア的なスポーティカー』の潜在的な顧客がドッと流れてしまったように感じたのだ。
シルビア隆盛期S13、S14、S15の復活は極めて難しい
ノートe-POWERとシルビアを同じテーブルの上で語るのは間違っている。そう思われる読者は大勢いると思う。
だが、80年代後半から90年代にかけて、S13が愛車だった者として、また2002年のS15生産中止後も、事ある毎に「シルビア復活はいつか?」という類の原稿をさまざまな自動車雑誌に寄稿してきた者として、シルビア復活の動きに対して直感は効くと、勝手にそう思っている。
まあ、現実的な話をしてしまえば、日産の関係各位からこれまで『シルビア復活』の可能性について、さまざまなシチュエーションで意見交換してきた。そのなかで、日本国内販売に対しては日産側の極めてシビアな姿勢が感じられ、シルビア復活の余地がドンドンと狭まっていったように思える。
その上で今回、新型ノートe-POWERの成功が国内販売戦略上、シルビア復活への息の根を止めてしまったように感じるのだ。
時計の針を少し戻すと、最近で“シルビア/180復活”の可能性があったのが2013年。東京モーターショーに登場した『IDX』は、ハコスカ(60~70年代の初期型スカイライン)のイメージをシルビア復活へと導くためのデザインコンセプトだった。
タイミングとしては、前年にトヨタ 86、スバル BRZが日本で久々の2ドアスポーツカーとしてデビューし、社会的にも大きな話題となっていた。そのトレンドがシルビア復活のトリガーになる可能性は十分にあった。だが、市場やディーラーからの声を総括しても、“IDX改め、シルビア”が儲かるタマになりそうな気配がなかった。
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