日産 セレナe-POWER試乗レポート|家族みんなに嬉しい機能満載!燃費だけじゃない、電動化が生む付加価値とは(1/2)

電動化と安全性能向上がMクラスミニバンの価値をさらに高める

子育て層を中心に、依然、高い人気を誇るハイト系ミニバン。中でも、街乗りで扱い易い日産 セレナを代表とする5ナンバー+αのMクラスミニバンは、ここに来て更なる進化を遂げてきているのをご存知だろうか?

最新モデルでトピックとなるのは、電動化と予防安全機能を含む運転支援システムの採用。中でも、低燃費走行にメリットが得られるハイブリッドモデルは、これまで、トヨタのヴォクシーやノア、エスクァイアといったモーターのみで走り出し、加速時にアシストを行うフルハイブリッドシステムが実燃費の面で一歩リード。セレナが先代から採用していたS-HYBRIDはモーターがわずかにアシストすることで、燃料消費を抑えて低燃費に貢献するというものだった。

ところが、2017年になると、ホンダのステップワゴンが上級モデルのスパーダにオデッセイに搭載された2モーター式のひとクラス上のハイブリッドシステムを採用。圧倒的な静粛性と滑らかさ、パワフルな走りでインパクトを与えた。

もはや、実用性もパフォーマンスも十分だと思われていたこのクラスのミニバンだが、電気自動車「リーフ」で電動化に力を入れている日産としては、ライバルたちが電動化で進化を遂げていく状況を目のあたりにして、セレナをモーターだけで走ることができない、いわゆる“なんちゃってハイブリッド”のままにしておくハズがなかった。

>>内装はライバルにはない大人オシャレな雰囲気【画像ギャラリー】

遅れてやってきた電動ミニバンの大本命「セレナe-POWER」

2018年2月下旬、遂に日産は「セレナe-POWER」を発売。パワーユニットは、エンジンが発電機としての役割を担い、モーターのみでタイヤを駆動して走る「ノート e-POWER」と同じ機構の3気筒 1.2Lエンジン+モーター+バッテリーを搭載してきた。ただし、ノートとセレナでは車両重量やクルマのキャラクターも大きく異なる。大柄で重量が増す多人数乗車のセレナのキャラクターに合わせて各部のチューニングが行われた。

具体的には、エンジンは多人数乗車や登り坂といった高負荷の状況に対応すべく、オイルクーラーを追加したことで、最高出力はノートよりも7%アップ。モーターは、重量感のあるセレナのボディをレスポンスよく加速させるために出力を320Nm、100kWにして25%アップした。また、モーターのみで走れる走行距離を伸ばすため、バッテリーは20%容量を増やした。

重量物はクルマのどこに配置するかで、操縦安定性や空間利用に影響を及ぼすが、そのあたりもしっかりと考慮されている。12Vのバッテリーはエンジンルーム内に収め、ハイブリッド用のリチウムイオンバッテリーは1列目のシートの床下に配置。エンジンのほかに、モーターやバッテリーを搭載するモデルでありながら、これまでのセレナと変わらない実用空間を実現してみせた。

隅々まで配慮が行き届いた車内や荷室の使い勝手

後席に乗り込んでみると、広い開口をもつスライドドアは自然な姿勢で乗り込みやすい。今回試乗した「セレナ e-POWER ハイウェイスター V」の2列目のキャプテンシートは前後のロングスライド機構を犠牲にしておらず、左右のシートはセパレートにして、中央に通路を設けたポジションに配置したり、2つのシートを隙間なくピッタリ寄せて、ベンチシートのように座るアレンジもできる。使い方によって臨機応変にアレンジできるので、子供の世話をするときにも重宝しそうだ。

また、3列目に至っても、大人が充分に座れるだけのスペースを確保している。壁面には移動中にスマホなどが充電できるUSB端子が備わっているほか、ドリンクホルダーも豊富に用意。エアコンの吹出口もしっかり設置されている。3列目はエマージェンシーで使うオマケ的な存在になりがちだったが、現行型のセレナは3列全ての乗員が快適に過ごせるように配慮されているところが嬉しい。

防水シートがおススメな理由

さらにファミリーやペットにおススメのメーカーオプションとして、防水シートが用意されている点も見逃せない。セレナe-POWERに用意される防水シートは、飲み物や泥汚れなどもサッと拭くだけでキレイになる機能性だけでなく、”レザー調シート”として見た目の高級感も演出する一石二鳥の装備だ。

メインの素材であるネオソフィールは、日産の最高級車であるシーマやフーガにも採用されているもの。加えてメタリック加工した合皮をマチに使っているので、ファミリー向けのミニバンとは思えない高級な空間を手軽に実現できる。

少し専門的な話になるが、シートの表面には“ラミ付エンボス”という加工をすることで、キルト生地のような立体的なデザインを施している。この立体的な表面加工により座面のグリップ力を向上させ、座っても滑りにくい設計になっているのだ。これなら長時間座っていても体が疲れることは少ないだろう。

ちなみにこのキルト風仕上げは、最近の欧州高級車のトレンド。便利なうえ、上質なクルマに乗っている満足感も得られるのだからとてもお得な装備と言える。

荷室の使い勝手の良さは流石

家族や友人と出掛けるレジャーで活躍するミニバンとなれば、荷物の積載性や使いやすさはミニバンとしての存在意義を大きく左右する。大きな荷物と積み込むとき、3列目シートをアレンジする時は、バックドア側に回りこんで、背もたれを折りたたみ、片手でヒモを引くと、非力な女性でも手軽に壁面に跳ね上げることができる。そこには、床から天井までの荷室高が広く確保できる空間が生まれるワケだ。

ただし、この手のシートの壁面跳ね上げ機構は、車両をバックさせる時にドライバーの死角となりがちだ。しかし、セレナはそのあたりにも対策を施しており、窓の外が直接見えるように配慮した設計になっている。このように、一見当たり前の機能性に思えるシートアレンジや荷物の積載性だが、e-POWERの専用ユニットを搭載しているにも関わらず、悪影響を感じさせないあたりはお見事。ミニバンとしての使い方に制約を与えず、これまで同様に気軽に生活の中に採り入れることができそうだ。

>>次のページ:モーターで走るe-POWERで一番気になる静粛性は“まるで美術館”

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藤島 知子
筆者藤島 知子

通称「藤トモ」。スーパー耐久のレースクイーンを経験後、軽自動車レースに参戦したことがきっかけで様々なレースに参戦。レースで培った技術と女性ならではの視点が魅力の女性モータージャーナリスト。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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