セレナe-POWER vs ヴォクシーハイブリッドどっちが買い!?|ハイブリッドミニバンの金字塔を徹底比較!(1/3)

  • 筆者: 小鮒 康一
  • カメラマン:小林 岳夫・茂呂 幸正

低燃費・ハイブリッドミニバン頂上決戦!

日産 セレナといえば、ミニバン販売台数で常に上位にランクインする人気車種。2016年に新型となる5代目が登場しているが、そのセレナに2018年2月28日に追加となった「e-POWER(eパワー)」。これは2016年11月にノートに搭載されたハイブリッドシステムで、デビューから4年が経過していたノートを月販販売台数ランキングトップにまで押し上げた立役者でもあり、ノート登場時から期待されていたセレナe-POWERがいよいよ登場と相成った。

>>どっちがお好み?セレナe-POWERとヴォクシーHVを画像で見比べる!

一方のトヨタ ヴォクシーハイブリッドは2014年に3代目へとフルモデルチェンジを果たした際に追加されたもので、基本的には先代プリウスに搭載されていたものと同等の1800ccエンジン+モーターというハイブリッドシステムが搭載されている。ヴォクシー単体ではセレナの後塵を拝しているが、兄弟車のノア、エスクァイアも含めればセレナを超える人気車種であり、2017年7月にマイナーチェンジを実施し、上級車種のヴェルファイアを彷彿とさせるアグレッシブなフロントマスクを手にしている。

そんなハイブリッドミニバンの金字塔とも言える2車種は「どっちが買い!?」なのか、自動車評論家・小鮒康一が徹底評価!

>>【結論・3ページ目】どっちが買い!?&おすすめグレード

セレナe-POWER vs ヴォクシーHV|燃費比較

日産のフルハイブリッドシステム、e-POWER(eパワー)とは

燃費の話をする前に、日産のe-POWERについて簡単に説明しておこう。日産自動車は「電気自動車の新しいカタチ」と言っているが、エンジンとモーターを搭載しているため、実際はハイブリッドの一種である事はすでに多くの方がご存知のことだろう。

しかし、e-POWERが他のハイブリッド車と大きく異なるのは、走行時は常にモーターで駆動し、エンジンは発電に徹するシリーズハイブリッド方式であるということだ。そのため、エンジンは駆動系には一切繋がっておらず、加減速時にエンジンが大きく揺さぶられることもないため、より高い快適性が実現できているというわけだ。

セレナとヴォクシー、燃費がいいのはどっち?

セレナe-POWERとヴォクシーはどちらもハイブリッド車ということで、やはり気になるのは燃費の数値だろう。カタログ値では、セレナe-POWERが26.2km/Lなのに対して、ヴォクシーハイブリッドは23.8km/Lとセレナe-POWERの方が2.4km/Lも良い数値をマークし、後発の意地を見せた形となった。

しかし、これはあくまでカタログ上での数値であり、走行シーンによっては逆転する可能性も秘められている。というのも、モーターのみで走行するセレナe-POWERは、高い速度域での巡行や上り坂での加速など、強い負荷がかかり続けるシーンは得意ではなく、みるみるバッテリーを消費してしまう。そうなるとエンジンも充電のためにフル稼働してしまい、結果的に燃費が悪化してしまうのである。一方ヴォクシーハイブリッドは、そういったシーンではエンジンも動力として併用することができるので、そこまで大きく悪化する可能性が低いというわけだ。

また、両車とも暖房を使うと一気に燃費が悪化してしまう。というのも、自動車の暖房は一般的にエンジンの熱を利用しており、暖かい風を送ろうとすると必然的にエンジンがかかる頻度がアップしてしまうのだ。セレナe-POWERには電熱線ヒーターの一種であるPTCヒーターも標準装備(ヴォクシーハイブリッドはオプション)しているものの、本格的に車内を暖めるには力不足であり、結局エンジンが始動してしまう。

勝者:セレナe-POWER(カタログ値では)

■トヨタ ヴォクシーHV実燃費レポート(2017年7月マイナーチェンジモデル)

■日産 セレナ実燃費レポート|マイルドハイブリッド版の燃費を徹底チェック!

セレナe-POWER vs ヴォクシーHV|価格・コストパフォーマンス比較

ファミリーカーとして見逃すことができないのが車両価格だ。いくら燃費がよくて燃料代を抑えることができたとしても、車両価格が高くなってしまうのでは身も蓋もないだろう。車両本体価格で比較すると、セレナe-POWERが2,968,920円(e-POWER X)~3,404,160円(e-POWER ハイウェイスターV)となり、ヴォクシーハイブリッドは、3,014,280円(HYBRID X)~3,269,160円(HYBRID ZS)となる。

どちらの車両もエアロパーツを纏ったグレードが用意され、セレナe-POWERでは「ハイウェイスター」シリーズ、ヴォクシーハイブリッドは「HYBRID ZS」が該当するのだが、今回は、標準ボディの中間グレードで比較したい。となるとセレナe-POWERは「e-POWER XV」、ヴォクシーハイブリッドは「HYBRID V」でである。

前述のグレードで比較すると、セレナe-POWERが3,128,760円、ヴォクシーハイブリッドが3,142,800円とほぼ同等の価格となる。どちらも両側電動スライドドアや衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全装備は標準装備となっているが、ヴォクシーハイブリッドに標準装備されるLEDヘッドライトやリアエアコン、本革ステアリング、シートヒーターなどの装備がセレナe-POWERではメーカーオプションとなっており、この辺りの装備を追加しようとすると約15万円の上乗せとなってしまう。

また、ボディカラーは13色が用意されるセレナe-POWERだが、アズライトブルー、シャイニングブルー、ブリリアントシルバーの3色以外は全て特別塗装色となっており、エクストラコストがかかってしまう点も注意したい。

勝者:ヴォクシーハイブリッド

セレナe-POWER vs ヴォクシーHV|安全性能比較

もはや必須装備となりつつある衝突被害軽減ブレーキは、セレナe-POWERとヴォクシーハイブリッド両車とも装着される。作動範囲はどちらも約10km/h~80km/hの範囲となっているが、ヴォクシーハイブリッドのトヨタセーフティセンスCが対車両だけなのに対し、セレナe-POWERのインテリジェントエマージェンシーブレーキは、これに加えて車速が約60km/h以下の場合は歩行者も感知する点に違いがある。

また、セレナe-POWERにはオプションではあるが、高速道路同一車線自動運転技術のプロパイロットの設定があり(243,000円)、これを選択することで、車線逸脱防止支援システムや踏み間違い衝突防止アシスト、移動物検知機能付インテリジェントアラウンドビューモニター、標識検知機能など多くの装備がプラスになる。

一方のヴォクシーハイブリッドには、踏み間違い衝突防止やオートマチックハイビーム、先行車発進告知機能などはトヨタセーフティセンスCの機能に含まれるため、予算をかけても安全装備を充実させたい人はセレナe-POWER、必要最低限の装備で充分という人にはヴォクシーハイブリッドがオススメできそうだ。

勝者:セレナe-POWER

セレナe-POWER vs ヴォクシーHV|外装デザイン・ボディサイズ・運転しやすさ比較

セレナe-POWERとヴォクシーハイブリッドは、どちらも5ナンバーサイズミニバンということで、ボディサイズはかなり似通った数値となっている。

セレナe-POWERが全長4690mm×全幅1695mm×全高1865mmで、ヴォクシーハイブリッドが全長4695mm×全幅1695mm×全高1825mmとなる。全高に関してはセレナが若干高いが、室内空間は両車とも1400mmと全くの同一なので、デザイン上の差異ということになる(※数値は標準ボディのもの)。

運転しやすいのは、視界確保の観点でセレナか

運転のしやすさに関してはどちらもファミリーカーという観点で作られており大きな差異はないが、セレナの方がフロントの三角窓が大きく、サードシートを格納したときもリアサイドガラスがほとんど隠れないという点ではややセレナの方に分がある。

■ミキティとフジモンが“家族史上、最高”セレナe-POWERのデビューを祝福

外観はお好みで選べば良い

外観に関しては、まさに“ミニヴェルファイア”といった印象のヴォクシーハイブリッド。特にエアロパーツを纏ったZSグレードはかなり押し出しの強いフロントマスクを持っており、迫力のあるルックスを好むユーザーには持ってこいだろう。

一方のセレナe-POWERは、ヴォクシーハイブリッドに比べるとスッキリした印象。ハイウェイスターでもそこまでのオラオラ感はないので、スマートに乗りたいユーザーにはセレナe-POWERをオススメしたい。

勝者:引き分け

1 2 3 次へ

この記事の画像ギャラリーはこちら

  すべての画像を見る >

【PR】MOTAおすすめコンテンツ

小鮒 康一
筆者小鮒 康一

1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後に急転直下でフリーランスライターへ。国産旧車に造詣が深いが、実は現行車に関してもアンテナを張り続けている。また、過去に中古車販売店に勤務していた経験を活かし、中古車系の媒体でも活動中。最近では「モテない自動車マニア」の称号も獲得。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

MOTA編集方針

「車好きのみんなが見ているメルマガ」やSNSもやってます!
カー用品・カスタムパーツ

愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!

  • 一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?

    これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。

  • 一括査定は本当に高く売れるの?

    これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は、申込翌日18時に最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。

新車・中古車を検討の方へ

人気記事ランキング
最新 週間 月間

新着記事

新着 ニュース 新型車 比較 How To
話題の業界トピックス・注目コンテンツ

おすすめの関連記事

日産 セレナの最新自動車ニュース/記事

日産のカタログ情報 日産 セレナのカタログ情報 日産の中古車検索 日産 セレナの中古車検索 日産の記事一覧 日産 セレナの記事一覧 日産のニュース一覧 日産 セレナのニュース一覧

この記事にコメントする

コメントを受け付けました

コメントしたことをツイートする

しばらくしたのちに掲載されます。内容によっては掲載されない場合もあります。
もし、投稿したコメントを削除したい場合は、
該当するコメントの右上に通報ボタンがありますので、
通報よりその旨をお伝えください。

閉じる