レクサス 新型NX実燃費レポート|マイナーチェンジしたNXの燃費はどう変化したか?徹底評価!(1/3)

マイナーチェンジしたレクサスのミドルクラス SUV ”NX”をテスト!

起用グレード

今回の燃費テストでは、登場から3年を経てマイナーチェンジされた、レクサスのSUVでは最小となるミドルクラスのNXをテスト。グレードは2リッターターボエンジンを搭載するスポーツグレードのNX300”Fスポーツ” 4WD(車両本体価格532万円、JC08モード燃費12.4km/L)を起用した。

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テスト概要

テストは2017年10月3日(火)の午前7時頃開始し、午後2時頃帰京するというスケジュールで実施。テスト中の天候は曇りから小雨のち晴れ、最高気温は26度と過ごしやすい気候で、交通状況は非常にスムースであった。

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レクサス 新型NX実燃費レポート|結果まとめ

レクサス NX300の燃費は以下の通り。

レクサス NX300の実燃費まとめ
レクサス NX300(4WD)<参考値>トヨタ ハリアー 2リッターターボ(4WD)

カタログ燃費(JC08モード)

12.4km/L

12.8km/L

高速道路実燃費

15.1km/L

15.5km/L

市街地(街乗り)実燃費

10.0km/L

8.9km/L

郊外路実燃費

10.9km/L

12.1km/L

平均実燃費

11.9km/L

11.7km/L

レクサス NXそのものに関してはマイナーチェンジによる改良や熟成で完成度が高まったことは確認できたが、ライバルは輸入車となるプレミアムSUVである点を考えると、もう少し何らかの強い魅力が欲しいと感じたのも事実だった。

ここからは高速道路編、市街地編、郊外路編というそれぞれの章で燃費や走りの質について詳細な評価を行っているので、レクサス NXの購入を考えている方にはぜひ参考にしてほしい。

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レクサス 新型 NX 実燃費レポート|街乗り・市街地編

レクサス NX300の高速道路での実燃費 10.0km/L

市街地編
市街地実燃費 カタログ燃費

レクサス NX300 4WD

10.0km/L

12.4km/L

ハリアー2リッターターボ4WD

8.9km/L

12.8km/L

ハリアーハイブリッド(2014年計測)

17.4km/L

21.4km/L

市街地での燃費はハリアー2リッターターボ4WDを上回る10.0km/Lを記録した。これは気候や交通状況といったテスト日のコンディションによるものだろう。

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街乗りで便利だったブレーキホールド機能

市街地編ではアイドリングストップや市街地でACCを使った印象を主にお伝えしよう。

レクサス NX300のアイドリングストップは、停止後ブレーキを踏み足すとアイドリングストップが始まるというタイプで、一時停止や止まりそうで止まらない渋滞中などでも不必要なアイドリングストップが起きにくい点は好ましい。エンジン再始動時とアイドリング中は若干振動を感じることもあるが、アイドリング中の振動はアイドリングストップすれば感じることはないのでほぼ問題ない。アイドリングストップからエンジン再始動は素早く、セルモーターの音が非常に小さい点も高く評価できる。

アイドリングストップの頻度はテスト日の天候、スムースな交通状況であればほぼ停止する度に作動し、アイドリングストップは時間の停止中再始動することもほとんどなかった。

ACC(全車速追従機能付レーダークルーズコントロール)は市街地で使っても加減速は滑らかかつ先行車もよく認識しており、積極的に使うことができるくらい完成度は高い。加えて電動パーキングブレーキを使っているのでACC作動中はもちろん、ACCを使っていなくてもブレーキホールド機能をオンにしておけば停止が保持されるのは、市街地だと非常に楽であった。

ドライバビリティ(運転のしやすさ)に関しては、高速道路編で書いたように低速トルクがそれほど太くないこともありごく普通だ。なおATのシフトアップのタイミングは各ギア2000回転程度で、トップギアの6速には70km/hあたりで入る。

レクサス 新型NX実燃費レポート|郊外路編

レクサス NX300の郊外路での実燃費 10.9km/L

郊外路編
郊外路実燃費 カタログ燃費

レクサス NX300 4WD

10.9km/L

12.4km/L

ハリアー2リッターターボ4WD

12.1km/L

12.8km/L

ハリアーハイブリッド(2014年計測)

19.5km/L

21.4km/L

郊外路での燃費はハリアー2リッターターボ4WDに若干劣る結果となる10.9km/Lだった。燃費が伸び悩んだ原因としては、テスト日のコンディションに加えて、ハリアー2リッターターボ4WDに対しオプションも含めると100kgほど重い車重や、郊外路のペースだとトップギアの6速に入ることはほとんどなく5速止まりだったことが考えられる。

ワインディングロードはレクサスNXのキャラクターが際立つ

郊外路、ワインディングロードはスポーティなSUVスポーツグレードで、専用チューニングの足まわりをもったというレクサスNXのキャラクターが際立つ走行シーンだった。

まずハンドリングはハンドルの重さは重め。ハンドル操作に対する車の動きはシャープかつライントレース性(ハンドル操作に対する狙ったラインの取りやすさ)もよい。全高がSUVとしては低いこともありロール量は少ない上、ロール感も腰のある安心感のあるもので、SUVに乗っていることを忘れるくらい運転を楽しめ、よくできた乗用車のような感覚で運転できる。ハンドリングに関しては競合が揃うプレミアムミドルSUVトップクラスと断言できる。 

乗り心地もマイナーチェンジ前に比べると良化しており、テスト車がスポーツグレードであるのを考えれば、不快な硬さを感じることはほとんどない。かなり路面の悪いところでもサスペンションはしなやかに動いており、スポーツグレードらしいシッカリ感のあるものに仕上がっている。ただ路面の荒れ方によってはサスペンションが路面の凹凸に追従しきれないことや、高速道路のつなぎ目の形によっては「ブルブル」とした微振動を感じることもあり、改善を望みたい。ただテスト車が走行1000km走ってないおろしたてだったのもあり、走行距離が進んで慣らしが進むと違った印象になるかもしれない。

Fスポーツ専用のドライブモードセレクトを試してみる

テスト前にはエコ、スポーツ、スポーツ+という走行モードも試してみた。それぞれノーマルモードを基準にすると

・エコモード:エアコンは抑えめで、アクセル操作に対するレスポンスが適度に鈍い方向になる。特に問題を感じることはない。

・スポーツモード:

Fスポーツに装備されるスピーカーからスポーティなエンジンを出すASC(アクティブサウンドコントロール)がオンになり、アクセルを踏んだ際の「グオー」、アクセルをオフにした際の「ゴボ、ゴボ」という音が聞こえる

・スポーツ+モード:ASCに加え、ハンドルが重くなり、サスペンションも硬い方向となる(スポーツ+モードのサスペンションは公道では固すぎに感じた)

といった変化があった。基本的にはエコモードのままで問題ないだろう。

余談だが、ATに関してはハリアー(要するにトヨタブランド)に対する差別化も含めて、トヨタ系列のアイシンAWから、ボルボの2リッターターボエンジン搭載車に使われている8速ATを使うことができれば、燃費や動力性能の向上が期待できるのではないかと思う。

レクサス 新型NX実燃費レポート|高速道路編

レクサス NX300の高速道路での実燃費 15.1km/L

高速道路編
高速道路実燃費 カタログ燃費

レクサス NX300 4WD

15.1km/L

12.4km/L

ハリアー2リッターターボ4WD

15.5km/L

12.8km/L

ハリアーハイブリッド(2014年計測)

18.9km/L

21.4km/L

高速道路での燃費はハリアー2リッターターボ4WDとほぼ同等の15.1km/Lを記録した。2リッターターボエンジンを搭載する4WDのミドルSUVとしては及第点の燃費といえるだろう。

運転のしやすさは改善されたが、もう少し低速域の力強さが欲しい

高速道路編では主にレクサス NX300の動力性能とACC(全車速追従機能付レーダークルーズコントロール)の印象を中心にお伝えしよう。

筆者はしばらく前にマイナーチェンジ前のレクサス NX200tに乗る機会があったのだが(グレードも今回のテスト車と同じFスポーツ)、輸入車のメルセデス・ベンツやボルボといった2リッターターボに比べると、アクセルを踏んだ瞬間から「モリモリと力が出る」といった低速域のトルクを感じないのは、マイナーチェンジ後のレクサス NX300もそれほど変わらない。しかし、マイナーチェンジ前に比べれば低速域の力強さが増し、トルクの立ち上がりが素早くなり、ドライバビリティ(運転のしやすさ)が向上したのを確認できたのは評価できる。

アクセルを全開に踏んだ際の絶対的な動力性能に関しては、車重がオプションを含めると1840kgと重いこともあり、それなりの速さは感じるが、目覚ましいものではない。エンジンフィールも中回転域のパンチや高回転域の爽快な伸びといったドラマ性がある訳でもなく、「全体的に普通」というのはマイナーチェンジ前と変わらなかった。

筆者個人としては中高回転域のエンジンフィールはこのままでも構わないと思うが、「低速域のトルク感を増してほしい」と感じた。

エンジン音は加速の際は排気音を強調したもので、レクサス NX300のスポーティな性格を考えれば似合っているともいえる。

なお100km/h走行時のエンジン回転数は1800回転程度であった。

高速道路での静粛性に関してはロードノイズが耳につくことがあったのが、プレミアムSUVとしてはちょっと残念だった。

全車速追従型ACCの操作は好印象

先行車追従型のACCを高速道路で使った印象は、最近のトヨタのACCと同様に、基本的に加減速は滑らかで、3段階から選べる車間距離も適切。ドライバーは前後の監視と構えをしながら、安心して車に運転を任せることができた。ただ、先行車が「それなりに強い減速をした後、ジワジワ加速した」という場面だと、先行車への追従が追い付かず、自分でアクセルを踏む必要があるケースもあった。

レーンディパーチャーアラートはレーンキープのように車線の中央を保とうとするものではないが、車線をはみ出しそうになった際には車線逸脱を防ぐためステアリングがそれなりに介入しており、他のトヨタ車と同じように高く評価できる。

安全装備といえばテスト車には斜め後方を監視し、進路変更の際などの事故防止に絶大な効果を持つブラインドスポットモニターがオプションで装備されていたのだが、ブラインドスポットモニターが全グレード6万4800円のオプションというのは非常に残念だ。FF車で440万円からという価格や、安全性を重視する人が多いレクサス、高級車であるのを考えると、ブラインドスポットモニターくらいは標準装備にしてほしかったと強く思う。

レクサス 新型NX実燃費レポート|総合評価

レクサス NX300の総合実燃費 11.9km/L

総合実燃費 まとめ
総合 カタログ燃費

レクサス NX300 4WD

11.9km/L

12.4km/L

ハリアー2リッターターボ4WD

11.7km/L

12.8km/L

ハリアーハイブリッド (2014年計測)

18.6km/L

21.4km/L

マイナーチェンジされたレクサス NX300は、ハリアー2リッターターボ4WDとほぼ同等の、4WDの2リッターターボエンジンを搭載するプレミアムミドルSUVとしては及第点といえる燃費を記録し、マイナーチェンジによる良化も十分に確認できた。

しかし、筆者は2日間でレクサス NX300にテストも含め600kmほど乗ったのだが、強い印象は残らなかったというのが率直なところ。2リッターターボ4WDで500万円級(オプションがタップリ着いたテスト車の価格は約630万円)の高額車、高級車なのを考えると、レクサスがそういった車作りを目指しているのかもしれないにせよ、その点にちょっと疑問を感じた。

車を含め、高額商品は強い魅力か個性を持つか、そうでなければすべての要素において非常に高い平均点を持つことが必要だと思う。レクサス LSの初代モデル(日本名:セルシオ)が大ヒットしたのも、ズバ抜けた静粛性やクオリティ、快適性の高さといった強い魅力があったからだ。

この点をレクサスNXが属するプレミアムミドルSUVに当てはめると、メルセデス・ベンツGLCは高い完成度、充実した安全装備、ポルシェ マカンはハイパワーエンジンを含むスポーツ性の高さ、ボルボ XC60では安全性の高さとオシャレなインテリア、レンジローバー イヴォークはブランド力の高さとクーペ的なスタイル、といった各々の魅力が浮かぶ。見劣りする部分は少ないものの、レクサスNXには、外観デザインのインパクトを除けば、強烈な個性がない。

そのあたりがレクサス全体の課題なのかもしれないが、今年登場したLCや近々登場する次期LSを見ると「買いたくなる魅力」が濃くなっているのも事実。マイナーチェンジで良化したNXが今後輸入車相手でも強く迷うか、指名買いされるような強い魅力を持つプレミアムミドルSUVに成長することを期待したい。

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永田 恵一
筆者永田 恵一

1979年生まれ。26歳の時に本サイトでも活躍する国沢光宏氏に弟子入り。3年間の修業期間後フリーランスのライターとして独立した。豊富なクルマの知識を武器に、自動車メディア業界には貴重な若手世代として活躍してきたが、気付けば中堅と呼ばれる年齢に突入中。愛車はGRヤリスと86、過去には日本自動車史上最初で最後と思われるV12エンジンを搭載した先代センチュリーを所有していたことも。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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