メルセデス・ベンツ Eクラス 試乗レポート/金子浩久 編(3/3)
- 筆者: 金子 浩久
- カメラマン:原田淳
メルセデスの歴史の美点を垣間見せる集大成
パワーがあるから、加速に余裕がある。ブレーキが強力だから、短い距離で安定して減速できる。他のクルマの「たいへんな想いをして高速で走っている」感が、まったくないのだ。
いい意味で、スピード感がない。余裕、余力、上質、高級、饒舌・・・。さまざまに形容しても、し切れない。
E350アバンギャルドでも、それは変わらない。
最も大きな違いは、エンジンの気筒数と排気量、エアサスペンション(E550アバンギャルドに標準装備)だ。E550アバンギャルドとの違いは大きいとも言えるし、そうでもないとも言える。
この判断は難しい。各々がクルマに何を求めるかで大きく左右されるからだ。
反面、新しいEクラスに望み得ないのは、スポーティな感覚だろう。
Eクラスの運動性能が劣っているということではなく、打てば瞬時に響くようなわかりやすいスポーティな感覚を、ハンドリングやクルマの動きにあえて備えていないように思えた。
ドライビングポジションと運転中の視界に優れ、ハンドルがよく切れる。
なかなかわかりにくいが、長距離を走ると如実に優劣が出る基礎中の基礎も、盤石だ。
懐が深く、抜群に安定している。各種の安全装備も、実効性が伴いそうなものが多い。
ずっと昔からメルセデス・ベンツが備えていたいくつもの美点を、現代のフロントラインにまでアップデートさせたのが新しいEクラスではないだろうか。今後の展開にも注目したい。
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