オープンSUVという衝撃! レンジローバー イヴォーク コンバーチブル 国内初試乗レポート(2/3)
- 筆者: 五味 康隆
- カメラマン:和田清志
極めて上質な室内はクーペや5ドアモデルと同じ世界観
その室内の仕上がりは、イヴォークの世界にほぼ準じており、コンバーチブルになったからといって何かを我慢しないといけないものではない。特に前席の使い勝手は、なんら変わりはない。強いて言うなら、センターコンソール部に時速40km前後でも幌の開閉が可能なスイッチが付いていることくらいだ。
>>RANGE ROVER EVOQUE CONVERTIBLE フォトギャラリー
また通常はコンバーチブルになると、風の巻き込みを抑えるためにもフロントガラス傾斜は強められる傾向にあり前席から視界に圧迫感が出やすいものだが、イヴォーク自体が5ドアもクーペもフロントガラス傾斜が強い仕上げなので気にならない。強いて言うなら後席の背もたれのシートクッションの厚みが、幌の収納スペースや積載力確保の為に若干薄く、長距離での疲労度は未知数ではある。しかし、クーペモデル並みの居住性があるなど、4人乗車での移動も十分にこなせる実力がある。
さすがにゴルフバッグを積むには不向きだけれど
ちなみにこの手のZ型に折りたたまれる幌は、開閉時に後席に座っていると、頭が幌に当たることや収納される動きに巻き込まれそうになるモデルも他にはあるが、イヴォーク コンバーチブルにはそれらの不具合も一切ないのも魅力。
そんなコンバーチブル乗りの方が気にするはずの要素でいくつか述べていくと、トランクの広さは容量として実用十分。形状もよく、後ろ開きで滑り込ませるように積載させる必要はあるが、開口部も大きいので不自由はないだろう。また、左右後席のセンターには開閉式の穴がありトランクスルーが可能で、長尺モノが積めるのも魅力だ。しかし唯一、ゴルフバッグは何をどうやっても積めない。助手席に抱えさせるのが堅実であり、屋根を開けないなら内装を傷つけないように工夫して後席に積めば、2人でのゴルフは楽しめるはず。
走り出しわずか数分で「欲しい!」と強く魅了された・・・
その実用性やカッコよさに心が惹かれ出していたのも事実だが、走り出してわずか数分で「欲しい!」と強く魅了されてしまった。
まず最大の魅力は、SUVの高い視点にオープンモデルの開放感を組み合わせた世界観。ここに今まで得たことのない気持ちよさや爽快感があるのだ。しかもそれを純度高く堪能できるように狙ったのか、風の巻き込みがとても少ないのが魅力。
先に言っておくが、この手のフルサイズ4座オープンモデルで、後席での風の巻き込みが少ない・・・なんて世界は不可能。このイヴォークコンバーチブルでも、さすがに後席では時速70km程度からは髪の毛がシェイクされる激しい巻き込みがある。しかし前席ではクローズと変わらないほど穏やかな空間が得られるのが魅力。
正確には、オープンにしたことで頭上を含めて開放感が飛躍的に高まりながら、入ってくる風は通常のクルマに置き換えると5mmほど窓を開けて走っているようなそよ風レベル。それを高い視点で体感できる。この外界との絶妙であり最適と思える距離感を堪能すると、イヴォークコンバーチブルが欲しくなってくる。
オープンカーなのに、路上から車内をジロジロ見られることもない理由とは
さらに言うと、オープンモデルに慣れ親しんでいる方なら、このイヴォークコンバーチブルの特性は喉から手が出るほど欲しかった特性のはず。
と言うのも、中からは何でも見える開放的なオープンエアーの世界を得られながらも、外からは中が見えないと直感できる特性を持つから。肩付近までボディに守られていることと、車高が高いこともあり、オープンカーにありがちな横を歩く方から中が丸見えの状況が生じない。
実際、クルマのデザインからも信号待ちなどで歩行者から注目を浴びていたのだが、不思議なほどその視線が気にならない。逆にこちらが周りを見下ろすかのような殿様気分まで味わえる。
ちなみに風の巻き込みは、後席に大きなウィンドリフレクターをつけると、超強力に抑制できる。もちろん後席に座れなくなるが、高速道路の追い越し車線を豪快に走る速度でも、センターコンソールに置いたレシートが飛ばないほど穏やかな室内オープン空間が手に入るのだ。
この記事にコメントする