オープンSUVという衝撃！ レンジローバー イヴォーク コンバーチブル 国内初試乗レポート(3/3)
- 筆者： 五味 康隆
- カメラマン：和田清志
車高の高いSUV＋オープン、走りには不利な条件だが・・・
これまで述べた魅力で十分買いに値するイヴォーク コンバーチブルではあるが、だめ押しが質の高いその走り。
屋根のないオープンボディはボディ剛性が低いからグニャ感が出るのでは？とか、そもそもSUVだから走りが鈍重なんでしょ？しかもコンバーチブルだから、より重くなっているだろうし・・・。そんな予想は、すべて綺麗に覆される。
意のままに動く気持ち良い走り、それはまるでスポーツカーのよう
その走りは、スポーツカー並みに気持ち良いし意のままに動く。しかもハンドルからの手応えには、路面をタイヤがどのように捕まえているのか、ダイレクト感が鮮明にあるし、旋回中のグリップ変化なども的確にあり、安心感がある。
さらに言えば、グニャっとする動きの片鱗も見当たらないし、重いクルマごと動かされるうねった道などでのフワッとした動きさえない。ジャガーとランドローバーは開発段階でドイツのニュルブルクリンクという世界一過酷なサーキットを積極的に使っている情報は入ってきているが、その効果なのか、その走りの完成度はとても高い。強いて言えば、時速50km以下の街中走行のような、路面からの入力が小さく足回りが動き辛い場面では若干コツコツ感があるが、それすらも乗り心地に神経質な方でなければ気にするレベルではない。
9速ATと直噴ターボエンジンのマッチングがまた素晴らしい
まさに弱点がない。そんな印象さえ漂う乗り味をさらに強力に後押しするのが、エンジンとトランスミッション。
成熟が進んだのか、この質がこれまたとても良い。9速オートマチックトランスミッションの変速がとてもスムースであり、的確なギアを選択する賢さがあるのも注目だが、特筆すべきはエンジン。ボディの重さなど感じさせないほど実用性十分で力強く加速するのに加えて、レッドゾーンの6400回転まで回転振動が少なく、綺麗に淀みなく吹け上がる感覚がとても良い。このエンジンが唸る感覚がないことで、高回転を積極的に使うことができ、さらに加速に自由自在感が生み出される。
新たなSUVジャンルを創造したイヴォークコンバーチブルはズバリ「買いである」
クルマとしての本質を的確に備えながらも、新しいSUVオープンというジャンルが今後生まれるだろうと思える魅力的な世界観をあたえてくれるイヴォークコンバーチブル。価格は765万円のワンスペックで、決して安い設定ではないが、その価値は十分に備えている激オススメのモデルだ。
[レポート：五味康隆／Photo：和田清志]
レンジローバー イヴォーク コンバーチブル[4WD] 主要諸元
全長x全幅x全高：4385x1900x1650mm／ホイールベース：2660mm／車両重量：2020kg／駆動方式：アクティブオンデマンドカップリング 4WD／乗車定員：4名／ステアリング位置：右／エンジン種類：「Si4」ターボチャージャー付 直列4気筒 DOHC ガソリン直噴エンジン／総排気量：1998cc／最高出力：240ps(177kW)/5500rpm／最大トルク：34.7kg-m(340N･m)/1750rpm／トランスミッション：コマンドシフト付9速オートマチックトランスミッション／燃料消費率：9.6km/L[JC08モード燃費]／サスペンション形式：(前)マクファーソンストラット式(後)リンクストラット式／タイヤサイズ：245/45R20(標準仕様)／メーカー希望小売価格：7,650,000円[消費税込]
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自転車のトライアル競技で世界選手権に出場し、４輪レースへ転向。全日本Ｆ３選手権に４年間参戦した後、モータージャーナリストとしての執筆活動を開始。高い運転技術に裏付けされた評論と、表現の解り易さには定評がある。「持続可能な楽しく安全な交通社会への貢献」をモットーとし、積極的に各種安全運転スクールにおける講師を務めるなど、執筆活動を超えた分野にも関わる。また、環境分野への取り組みにも力を入れており、自身でハイブリッド車も所有。記事一覧を見る
自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。
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