新型コンパクトSUV「Jeep Renegade(ジープ レネゲード)」国内初・速攻試乗レポート(3/5)
- 筆者: 今井 優杏
- カメラマン:小林岳夫・オートックワン編集部・FCAジャパン
米・伊を結ぶ巨大FCAグループから産まれた、初めての偉大な成果
さて、今回のレネゲードの誕生には、実は政治的な裏話が潜んでいる。
昨年、伊フィアットと米クライスラーが完全統合されたことによる初子となるのがまさにレネゲードなのである。もともとコンパクトカー製造にノウハウを持っていたフィアット側も開発に参加し、双方がタッグを組んだ記念すべきモデルがコレなのだ。
というわけで、生産もイタリア・メルフィ工場にて行われるのだが、用意された2種類のパワートレーンも、そのタッグを頭に入れておくと理解しやすいだろう。
グレードは3種。エントリーとなる「オープニング・エディション」とその上位となる「リミテッド」、そして最上級モデルが「トレイルホーク」。
うち、「オープニング・エディション」と「リミテッド」には直4ターボの1.4リッターエンジン+6速ATのFF(4×2)が、「トレイルホーク」には直4の2.4リッターエンジンにZF製の9速ATを組み合わせたオンデマンド方式の四輪駆動(4x4)が用意された。
FFモデルと4WDモデル、その違いは思いのほか多岐に渡る
1.4リッターターボ+6ATのFFはFPT(フィアット・パワートレーン・テクノロジーズ)製で、アルファロメオの「ジュリエッタ」と機構を共有するもの。
対して2.4リッター+9速ATの四駆は、「ジープ チェロキー」にも採用されたもの。
まさに同モデルの中にふたつの会社のカオが同居するという、新婚ホヤホヤでないとなかなか実現しそうにない面白いラインナップが完成しているのだ。
つまり、FPT製のイタリアン・エンジンを搭載する「オープニング・エディション」と「リミテッド」は、1.4リッターターボという、このボディにはありえないダウンサイジングエンジンであることには間違いないのだが、ジープブランドで史上初めてのハイオクガソリン仕様車というパラドクスが起こっているので、購入の際は注意してもらいたい。
1.4ターボの上質かつ軽快な乗り味に心躍る
一皮剥いたら違う会社のエンジンが納められているだけに、乗り味もビビるくらい違うのがまた悩みどころ。
1.4リッターターボ+6ATのFF「オープニング・エディション」と「リミテッド」は鼻先が軽いスポーティーな仕上がり。このボディサイズにこのスモールエンジンだから、出始めだけは若干のモタつきを感じるものの、速度に乗ったら驚くほど加速が伸びる。
小さいエンジンにありがちな、踏んだら車内がのべつまくなしエンジンの唸りに包まれるような安っぽさとも無縁だし、とにかくある程度の速度が出ていれば、かなり快適だ。
コーナリングなどでもアメリカンなユルさを感じさせない機敏な挙動で、ラインをしっかりとなぞるオンザレール感覚を味わうことが出来る。
この記事にコメントする