メルセデスCクラスやBMW3シリーズに強敵現る ~「ジャガーXE」(ガソリンモデル) 試乗レポート~(3/4)
- 筆者: 大谷 達也
- カメラマン:島村栄二
プレミアムブランドに相応しい高い静粛性
私自身の思い入れが強いせいもあって、前置きがずいぶん長くなってしまった。そろそろ箱根で行われた試乗会の模様をリポートしよう。
今回試乗できたのはV6 3.0リッターエンジンを積む「ジャガー XE S」、ハイパワー版の直4 2.0リッターエンジンを積む「XE ポートフォリオ」、標準版の直4 2.0リッターエンジンを積む「XE プレステージ」の3タイプ。もっとも、定価515万円のXE プレステージでさえ本革シートが標準装備という、いずれ劣らぬ豪華モデルである。
3モデルに共通の長所としてまず紹介したいのが、その静粛性の高さ。エンジンのがさつな音が耳に届かないのはもちろんのこと、タイヤが発するゴーッというロードノイズもほとんど聞こえないことには驚くばかり。ちなみに今回は機会がなかったものの、スペインの試乗会でホーンを鳴らした際、室内では拍子抜けするほど小さな音しか響かなかった(もちろん車外ではちゃんと聞こえる)から、どれほど騒音の侵入が抑えられているかが想像してもらえるだろう。
快適さとスポーティさを高次元に両立させた
足回りはXE Sのみ標準装備の可変ダンパー付きスポーツサスペンション、残る2モデルは標準のノーマルサスペンションが取り付けられていたが、例のインテグラルリンク・リアサスペンションのおかげもあって、スポーツサスペンションでも乗り心地はとてもスムーズ。段差を乗り越えたときのガツンというショックが伝わってこないうえ、うねるような路面を通過してもボディが煽られることなく実に快適。それでいながらステアリングは指先1本分の、そのまた半分くらい切っただけでも正確に反応するリニアリティがある。
ステアリングを切ってから実際にクルマが曲がり始めるまでのレスポンスも極めて優秀。快適さとスポーティなハンドリングの両立という面では、ジャガーXEはクラス・トップの存在といっていいだろう。
19インチをしっかり履きこなす「XE ポートフォリオ」に好印象
残る2モデルも足回りの印象は同傾向。ただし、オプションの19インチを履いていたXE ポートフォリオ(標準は18インチ)はややソリッドな乗り心地、標準サイズの18インチを履いたXE プレステージはソフトな手触りながらタイヤ自体のダンピングはもう少し高くてもいいと感じた(つまり、衝撃が加わた直後にタイヤにブルブルッという振動がごく短時間残る傾向が見られた)。いつもなら間違いなくソフトな足回りを選ぶ私だが、今回に限っていえば、タイヤのダンピングを優先してXE ポートフォリオを選びたくなったことを付け加えておこう。
エンジンは200psのXE プレステージで十分以上にパワフル。ちょっと前の2.5リッター並みの力強さがある。しかも、ターボエンジンにもかかわらずターボラグがほとんどなく、2000rpm前後からでも踏めば素直にトルクが立ち上がる扱い易さがこのエンジンの美点。ノイズ、バイブレーションについても文句のつけどころがなかった。これが240psのXE ポートフォリオになると、たった40ps差とはいえ全域にわたってちょっとずつトルクが“厚盛り”になるから面白いものだ。しかも、パワフルになっても静けさや振動の少なさは200psと同等。まさに優等生タイプのエンジンだ。
[3.0リッタースーパーチャージドエンジンの実力は・・・次ページへ続く]
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