フォード 新型エクスプローラー 試乗レポート/松田秀士(4/4)
- 筆者: 松田 秀士
- カメラマン:オートックワン編集部
ラダーフレームの必要性を考えてしまうほど快適でスポーティ
テレイン・マネージメントシステムのノーマルモードはオンロード用ポジションなのだが、このモードではほとんどの場合FFでの走行となる。
もちろん滑りやすい路面に遭遇したときは瞬時に4WDに変化するが、メインのオンロード走行に適したFF横置きを採用していて、さらにV6エンジンとしたことでフロント軸重が軽くハンドリングレスポンスが良い。
また、トランスミッションは6速ATとなり、シフトノブサイドに設けられたサムスイッチによってマニュアルモードの変速が行えドライバーの意思がこもったシフト操作が行えるのだ。
その走りはとても軽快であり快適なものだった。
まず、室内が静かだ。
NVH(ノイズ・ハーシュ・バイブレーション)の全てにおいて、このクラスでは最高水準といっても過言ではないだろう。旧型と比較しても、余震のようなラダーフレーム独特のバイブレーションが、モノコックフレームとなったことで消えたことが大きい。
ラダーフレームはオフロードも楽しみたいオーナーにとっては強い味方だが、オンロードメインのユーザーに本当に必要かというと考え直したくなるほどに新型エクスプローラーの乗り心地は快適なのだ。
快適なだけではなく、オンロードのハンドリングはとてもスポーティ。
ボクはレーシングドライバーとしてスポーティーカーのハンドリングにおいて、ステアリングの切り始めにフロントサスペンションのロール方向(外側が沈む)とヨー方向(ステアリングを切った方向に動く)とのバランスを見ているのだが、ロールとヨーのバランスがほぼ同時に起こるので軽快感とステアリングから伝わる安心感がある。
試乗コースの伊豆スカイラインでのワインディング走行では、タイヤの限界点もわかりやすく、それを少し超えてもロールスタビリティ・コントロール付きアドバンストトラックによってしっかりと安心な方向に車体を制御していた。
また、シフトノブ横のサムスイッチを駆使してのマニュアルシフトも小気味よく決まる。
そして、モビリティパークでの本格的なオフロード走行。
テレインマネージメントをそれまでのオンロード用NORMALからMUD&RUTSに切り替え、考えられないような26°の急坂を登ってみた。
FFベースの4WDとしてこのようなシチュエーションでどの程度のトラクションが確保されているのかを試したく、急坂の途中で一時停止する意地悪をしてみたのだが、ヒルスタートアシストで後ずさりせずしっかりと停止した状態からやや乱暴にアクセルを踏み込んでみた。
ほとんどホイールスピンもせず再び力強く登り始めたのだ。
そして急坂を登りきって平地に出るとき、ストラット式となったフロントサスペンションにしっかりとリバウンド(伸び側)のストロークがとってあることにも好感した。
エンジンを横置きしたことによる室内スペースの快適性もしっかりと確保されていて、これまでになく完成度の高いSUVといえるのではないだろうか。
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