BMW i8ロードスター 海外試乗│未来のスポーツカーがもたらす娯楽

  • 筆者: 九島 辰也
  • カメラマン:ビー・エム・ダブリュー株式会社
画像ギャラリーはこちら

はじめからあったような自然なスタイリングのロードスター

まさに未来型スーパーカー。そう呼びたくなるのはご存知BMW i8。プラグインハイブリッドシステム(PHV)をパワーソースとするそれは、21世紀におけるスーパーカーを示唆しているように思える。なんたってこの迫力で搭載されるエンジンは1.5リッター直列3気筒なのだから。

そのi8に屋根開きのロードスターが追加されたというのが今回のお話。カーボンファイバー製のクーペの屋根をソフトトップに変え可動式とした。スタイリングの自然な仕上がりから、「あれ、はじめからなかったっけ?」と思わず勘違いしてしまいそうである。

そんなi8ロードスターと直接ご対面したのはスペインのマヨルカ島。4月の終わりそこで行われた国際試乗会に参加した。

自然なスタイリングの理由は、クーペ完成直後からロードスターのアイデアは存在していたことにある。実際の開発スタートは1年後だが、ほとんど視野に入れていたと言っても過言ではないからだ。しかもドアの開き方にも注目していただきたい。i8 のアイデンティティとなるそれはオープントップでもしっかり継承された。これは賞賛に値する。せっかくオープンエアモータリングを手に入れてもキャラクターの象徴的な部分が削られては、ユーザーは楽しくない。

ソフトトップはアルミのフレームがファブリックを支える構造。重量の増加はクーペ+60キロ。だがこの数字にボディの補強はそれほど含まれていない。そもそもキャビンはカーボンファイバー強化樹脂で仕上がっているため必要最低限で済んだそうだ。トップの開閉時間は約15秒。時速50キロ以下であれば走行中も稼働する。

走行性能はもちろん、実用性も高い

i8ロードスターは2シーターとなる。4シーターだったクーペに対し、トップを収納するスペースを確保するためだ。ただ、開けていても畳んだ幌の下には手さげカバン3つ分くらいのスペースはある。これは嬉しい配慮。思いのほか実用性は高いとみた。

それは走行面でもそうで、クーペを含め今回バッテリーを進化させている。ハイボルテージリチウムイオン電池の容量を拡大し、モーターの出力をアップしたのだ。結果1.5リッター3気筒エンジンと合わせた出力は374ps。従来よりも12ps上がり、EVモードでの走行は最長53キロとなった。

このスタイリングだからこそ許容できる個性

では、このクルマを実際に走らせるとどうか。

クルマの加速や挙動、ハンドリング、乗り心地にクーペとの違いはほとんど感じない。相変わらずの軽快なハンドリングにクルマ好きであれば思わず頬がゆるむことだろう。前後の重量配分にシビアなBMW開発陣のこだわりがここにある。

モーターの出力の出方が自然なのも付け加えたい。ご存知ようにいきなりトルクが立ち上がるモーターの出力は個性的だが、このクルマはそれが強調されすぎることがない。逆をいえばこのスタイリングだけに、いきなり最大トルクが発生しても許容できるが、とにかく出だし中間加速ともに自然な加速感なのだ。ステアリングフィールとともにアクセルフィールもあり、スポーツカーとしてのエモーショナルな部分をドライバーに与えている。

ロードスターの由来

オープントップ時の快適性はキャビンへの風の巻き込みを工夫していて、日本の法定速度くらいならまったく気にならない。街中ではサイドウィンドウを下げ左肘をドアにかければ気分上々だ。それに高速道路に入っても小さなリアガラスを垂直に上げれば問題なし。髪の長い女性を助手席に乗せてもクレームはないだろう。この小さなリアガラスはもちろん電動式。操作スイッチはルームミラーの付け根にある。

ところで、ロードスターというネーミングだが、これは1930年代の328ロードスターに由来する。マーケティング上いろいろなネーミングが候補に挙がったが、結局ヘリテージからそれをとった。個人的にはスパイダーの方がしっくりしなくもないが、これはこれでBMWらしくもある。

というのが今回のインプレッション。i8はそもそも完成度の高いデザインだけに今後これが大きく変わることはないだろう。その意味では寿命の長いデザインとなり、長く乗っても古くならないというメリットを感じる。ただ、バッテリーの進化だけはそれとは別。今後同じサイズで容量が拡大されていくのは想像しやすい。その部分だけは気になるところだ。

[レポート:九島 辰也/Photo:ビー・エム・ダブリュー株式会社]

BMW i8ロードスター 主要スペック

エンジン

1.5リッター直3 DOHC 12バルブ ターボ

モーター

交流同期電動機

価格(消費税抜)

2231万円

全長

4,689mm

全幅(車幅)

1,942mm

全高(車高)

1,291mm

車両重量

1,595kg

乗車定員

2人

ホイールベース

2,800mm

エンジン最高出力

231ps(170kW)/5,800rpm

エンジン最大トルク

320Nm(32.6kgm)/3,700rpm

モーター最高出力

143ps(105kW)/4,800rpm

モーター最大トルク

250Nm(25.5kgm)

トランスミッション

6AT

駆動方式

4WD

燃料

無鉛プレミアム

タイヤ

(前)215/45R20 95W/(後)245/40R20 99W

関連記事

BMW i8マイナーチェンジでオープンモデルが新登場!価格は2000万円超え

BMW M5試乗│いつの時代も驚きをもたらすハイパフォーマンスカー

香取慎吾氏がBMWのブランド・フレンドに就任!BMWの新型車”X2”をお披露目|発表会レポート

BMW 新型X2 海外試乗|ブコツさを残しつつも先進的な「旧カッコイイ」BMWの全く新しいSUV

開発主査が語る、スープラ復活の経緯とBMW × トヨタの舞台裏

BMW/i8
BMW i8カタログを見る
新車価格:
2,135万円2,312万円
中古価格:
666万円1,098万円

この記事の画像ギャラリーはこちら

  すべての画像を見る >

【PR】MOTAおすすめコンテンツ

九島 辰也
筆者九島 辰也

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX」副編集長、「アメリカンSUV」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON」副編集長なども経験。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

MOTA編集方針

「車好きのみんなが見ているメルマガ」やSNSもやってます!
カー用品・カスタムパーツ

愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!

  • 一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?

    これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。

  • 一括査定は本当に高く売れるの?

    これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は、申込翌日18時に最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。

新車・中古車を検討の方へ

人気記事ランキング
最新 週間 月間

新着記事

新着 ニュース 新型車 比較 How To
話題の業界トピックス・注目コンテンツ

おすすめの関連記事

BMW i8の最新自動車ニュース/記事

BMWのカタログ情報 BMW i8のカタログ情報 BMWの中古車検索 BMW i8の中古車検索 BMWの記事一覧 BMW i8の記事一覧 BMWのニュース一覧 BMW i8のニュース一覧

この記事にコメントする

コメントを受け付けました

コメントしたことをツイートする

しばらくしたのちに掲載されます。内容によっては掲載されない場合もあります。
もし、投稿したコメントを削除したい場合は、
該当するコメントの右上に通報ボタンがありますので、
通報よりその旨をお伝えください。

閉じる