トヨタ 新型ヴィッツ(2014年4月マイナーチェンジ)新型車解説/渡辺陽一郎(2/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:トヨタ自動車株式会社
新型ヴィッツには「トヨタ渾身の開発」が施された1.3リッターエンジンを搭載!
動力性能は、1.3リッターの最高出力が99ps(6,000rpm)、最大トルクが12.3kg-m(4,400rpm)。1.0リッターは69ps(6,000rpm)/9.4kg-m(4,300rpm)。1.0リッターに比べて1.3リッターのほうが明らかにパワフルで、かつ燃費まで勝っているとなれば、ユーザーとしては1.0リッターモデルの購入には疑問を感じるだろう。
1.0リッターエンジンには可衰想だが、1.3リッターエンジンはトヨタによる「渾身の開発」が施された。ここまでトヨタが本気になった背景には、2013年に発売された新型フィットの燃費の影響が大きいだろう。
新型フィット 13Gは「26km/L」だが、13Gというグレードは自動ブレーキを伴う衝突回避の支援機能「あんしんパッケージ」を付けられず、燃料タンク容量も32Lに抑え「見せかけの軽量化」まで行った、いわばカタログ燃費に特化したスペシャルモデルなので、いったん無視したい。
フィットで重要な売れ筋グレードは13G・Fパッケージで、燃費は「24.4km/L」。新型ヴィッツが「25km/L」を達成すれば、フィットの売れ筋モデルの燃費を上回り、強力なセールスポイントになるわけだ。
とはいえ、マツダ デミオの13スカイアクティブも「25km/L」で、スイフトのDJE(デュアル・ジェット・エンジン)搭載車は、1.2リッターになるものの「26.4km/L」だ。ライバル車も相当に頑張っており「ヴィッツの圧勝」とまではいえないが、それでも強力なライバルである「打倒フィット」は燃費面で成就した。
また、新型ヴィッツでは1.5リッターエンジンも燃費性能を向上させている。CVT(無段変速AT)装着車のJC08モード燃費は「19.6km/L」で、アイドリングストップが付くと「21.2km/L」に向上する。
従来型の1.5リッターにアイドリングストップ装着車はなく、燃費は「18.8km/L」(CVT)だった。アイドリングストップを備えない仕様同士で比べて、4%ほど燃費が改善されている。
そして、新型ヴィッツでは各エンジンとも燃費性能を向上させながらも動力性能はほとんど低下していないのが特徴だ。遮音材などを見直すことで、静粛性も向上している。
なお、エコカー減税は1.3リッターが免税。1.0リッターも減税対象に入り、1.5リッターもアイドリングストップの装着で減税を受けられる。
走行性能に関係した変更では、ボディのスポット溶接箇所を増やし、床下部分の補強材も大型化した。
これと併せてショックアブソーバーの減衰力なども見直している。要はボディ剛性を向上させ、走行安定性や乗り心地を改善したわけだ。従来型は、特に14インチタイヤ装着車で乗り心地が粗く感じたが、マイナーチェンジ後の仕様には期待したい。
新型ヴィッツも、いよいよ「キーンルック」に!
外観も変更を受け、フロントマスクはトヨタ車に共通する「キーンルック」になった。睨みを利かせたような表情だ。
テールランプの形状も変更を受け、スポーティーなRSでは下側のグリルが開口部の広いメッシュ状になる。内装も質感を向上。表面のシボ(模様)などを変更して、メッキやシルバーの加飾も施した。
収納設備では、助手席の前側に容量の大きなアッパーボックスを加えている。
ライバル車の現行フィットは、先代型に装着されていたアッパーボックスを省いたから、新型ヴィッツはここでもセールスポイントを獲得した。コインケースやカードホルダーも加え、使い勝手の向上を図っている。
このほかの装備では、スーパーUVカット&IRカットの機能を備えたフロントドアガラスを全車に装着。自動ブレーキを伴う衝突回避の支援機能はパッソと同様に設定されないが、横滑り防止装置のVSC、緊急ブレーキシグナルは標準装備となっている。
ボディカラーはイエローを含めて新色を7色設定。総数は17色と文字どおり多彩に選べる。グレード構成はベーシックなF(エンジンは1.0/1.3リッター)、上級のU(1.3/1.5リッター)、専用の内外装によって落ち着いたオシャレ感覚が漂うジュエラ(1.0/1.3リッター)、スポーティーなRS(1.5リッター)となる。
このほかスポーティモデルのヴィッツRS・G'sもマイナーチェンジを受け、ベース車両にも増してボディ剛性を高めた。センタートンネル、リヤフロアなどに補強材を加えている。
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