エコカーの真相/第五回 究極のエコカー・バックヤードビルダー、英タービンカーと日本・タケオカ自動車工芸(1/3)

エコカーの真相/第五回 究極のエコカー・バックヤードビルダー、英タービンカーと日本・タケオカ自動車工芸
ジャガー C-X75 タケオカ自動車工芸の最新型EV「T-10」と、同社専務取締役・武岡学氏 タービンカーの資料各種 富山市郊外にある、タケオカ自動車工芸 小型タービンの内部。大きさは鉛筆より小さい!? 小型タービンの外観 英国政府の方針を説明する関係者 画像ギャラリーはこちら

バックヤードビルダー。その語源は、英国の小規模自動車メーカーだ。

「ロータス」「モーガン」など1950~60年代にカーレース(当時はモータースポーツと呼んでいない)で名を馳せた個人商店が、手作り車を市販するようになった。

「クルマ好き、趣味が高じて、メーカーになり」ということだ。

こうしたモノ作りに対する姿勢は、ビル・ゲイツ(Microsoft)、マイケル・デル(DELL)などコンピュータ業界でも同じだ。

最初は皆、裏庭の掘っ立て小屋や自宅ガレージから出発したのだ。

英国政府の方針を説明する関係者

そのバックヤードビルダーの本家・英国で新しいトレンドが生まれている。それが、英国政府が推進する「Low Carbon Automotive(低炭素型自動車産業)」戦略だ。

主導する省庁は、BIS(英国ビジネス・イノベーション・技能省)。

BISは2007年、TSB(テクノロジー・ストラテジー・ボード)という組織を作り、国費を投入した様々な研究開発を、既存の英国自動車産業各社を通じて開始した。

そのメンバーのなかには、「コスワース」「イルモア」「プロドライブ」などF1、WRC、インディカーで御馴染みのトップエンジニアリングメーカーも含まれている。

だが、どうして英国が今、低炭素型自動車をプッシュしているのか?その理由は「英国が世界自動車産業界のなかで埋もれている」からだ。

自動車産業でも、英国の代名詞であった超高級車「ロールスロイス」⇒独BMW、さらに、

「ミニクーパー」⇒独BMW

「ジャガー」⇒インド・TATA

「ランドローバー」⇒インド・TATA

「ロータス」⇒マレーシア・プロトン

「MGローバー」⇒中国・上海/南京汽車

など、古き良き英国メーカーの経営権利はいま、英国外に散らばってしまった。

世界各国がこぞって、「伝統的で紳士的な高級品の英国イメージ」に対し投資しているのだ。

そうしたなか、英国政府は考えた。

「このままでは、英国自動車産業界の本質が崩れてしまう。だからこそ、いま、原点回帰が必要だ。そうだ、バックヤードビルダーの精神を今一度、取り戻そう」、と。

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桃田 健史
筆者桃田 健史

日米を拠点に、欧州、BRICs(新興国)、東南アジアなど世界各地で自動車産業を追う「年間飛行距離が最も長い、日本人自動車ジャーナリスト」。自動車雑誌への各種の連載を持つ他、日経Automotive Technologyで電気自動車など次世代車取材、日本テレビで自動車レース中継番組の解説などを務める。近著「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」(ダイヤモンド社)。1962年東京生まれ。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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