王者N-BOXを倒す日も遠くない! スズキ スペーシアが大健闘のワケ

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今もっとも売れているクルマはホンダ N-BOXだが、実はその牙城を崩しかねないクルマが一台ある。そうガチライバルのスズキ スペーシアだ。かつて月販台数はダブルスコアほど差があったのだが、ここ最近はわずか数千台という月もあるほど。そこで今なぜスペーシアに注目が集まっているのか? その原因を探ってみたい。

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  1. 後発のN-BOX登場でスペーシアは苦境に! それでも人気のワケとは?
  2. 先進安全装備向上で打倒N-BOX! 成果はいかに?
  3. マイチェンでデザイン変更せず。その理由がスズキらしい

後発のN-BOX登場でスペーシアは苦境に! それでも人気のワケとは?

いま絶大なる支持を集めているスーパーハイトワゴンの元祖は2003年に登場したダイハツ 初代タントだ。当時、軽自動車はスズキ ワゴンRやダイハツ ムーブといったハイトワゴンが市場を席巻していたが、そこにより背が高く、室内も広いひとクラス上のモデルとしてタントは投入された。

現在とは少しデザインが異なり、じつは初代モデルはスライドドアを持たないモデルであった。ちなみに初めてスライドドアを採用したのは2007年デビューの2代目モデルから。

>>スーパーハイトワゴンの元祖はタントだった! 初代タントを写真でチェック

当初は打倒タント! N-BOX登場で市場は大混乱

タントの独壇場であったスーパーハイトワゴン市場に真っ向勝負を仕掛けてきたのが、スペーシアの祖先にあたる2008年デビューのスズキ パレットだ。

後発とあってタントにはない両側スライドドアを採用するなど、スーパーハイトワゴン市場を奪還する勢いでの投入となった。

>>打倒タント! スズキ初のスーパーハイトワゴンはコチラ

だが、タントの牙城を崩すほどの販売台数には至らなかったのだ。クルマとしての完成度は申し分のない内容だったのだが、なにせタイミングが悪かった。そう、今や国民車級の人気を博しているホンダ N-BOXが2011年に登場したのだ。

それまではスーパーハイトワゴン市場はタントとパレットの2大巨頭であったのだが、そこにホンダが挑戦状を叩きつけてきたというイメージだ。

>>軽人気を不動のモノとしたのはこのクルマがキッカケ! 初代N-BOXを写真でチェック

室内の広さで勝負も、N-BOXはさらなる高みへ

そこからN-BOXの快進撃はご存知の通りなのだが、軽を長年作ってきたスズキが黙っているはずがない。遅れること2年後の2013年に“クラス最長の室内スペース”とうたった初代スペーシアを投入。

>>コレはかなり便利だった! 初代スペーシアの便利すぎる収納がコレだ

パレットはグレード名からデザインを想像しずらいとの意見が多かっため、スペーシアからはノーマルとド直球ネームの「カスタム」という2本立てとするなど、車名からも並々ならぬ本気度が伝わってくる。

だが、月販でダブルスコアに違い圧倒的な差をつけられるなど、やっぱりN-BOXの牙城を崩すことはできなかった。

>>モデル末期に突如追加! ド派手フェイスで巻き返しを図ったカスタムXがコレ

スズキのスーパーハイトワゴン3世代目、現行型スペーシアが2017年登場

パレット、初代スペーシアでの反省を生かして投入したのが、2017年デビューの2代目スペーシアだ。

大ヒットしたライバルのホンダ 初代N-BOXでは、カスタムモデルのかなりド派手なデザインが支持を集めた。いっぽう初代スペーシアカスタムは、派手さが足らないとの意見が販売現場やユーザーから集まっていた。

こうした反省を踏まえ、2代目スペーシアカスタムではクラス随一の派手なデザインにシフトするなど、新たな工夫を取り入れたのだ。しかしデビュー当初は、なかなか思い通りの結果とはならなかった。

先進安全装備向上で打倒N-BOX! 成果はいかに?

2代目スペーシアがデビューした2017年、奇しくも最大のライバルであるN-BOXもフルモデルチェンジを敢行した。新型N-BOXは先進安全装備「ホンダセンシング」を全車に標準装備化。中でも話題をさらったのは、前車追従型のアダプティブクルーズコントロール(以下ACC)の存在だった。

当時の軽自動車には装着しているクルマはほとんどなく、N-BOX人気はさらなる高みへと進んでいったのだ。残念ながらデビュー当時の2代目スペーシアにその機能はなく、先進安全装備の面でもリードを許していた。

そこで遅れること約3年、2020年8月に行ったマイナーチェンジでスペーシアにも待望のACCを装着。しかもN-BOXが対応していない全車速に対応するなど、やっとこさN-BOXを倒せる武器を手にしたのだ。

しかも夜間の歩行者検知機能やカーテンエアバッグなど付けれられる装備てんこ盛りの内容で勝負に! その甲斐あって、スペーシアは王者N-BOXにかなり近づくこととなった。

月販台数を見てみると、一時はダブルスコアで負けていたものの、その差は数千台にまで詰めるなど、大健闘しているのだ。

マイチェンでデザイン変更せず。その理由がスズキらしい

この記事を執筆するにあたり、スズキ広報にスペーシアが健闘している理由を尋ねた。要因は大きく2つあるようだ。

ひとつは先にも述べた通り、先進安全装備を充実させたこと。ふたつ目はマイナーチェンジでデザインはそのままにしたことだという。

先進安全装備に関しては全車速対応のACCの追加が最大の要因なのだが、気になるのはデザインの話だ。じつはスペーシアは2020年8月のマイナーチェンジで手を加えたのは先進安全装備の強化など機能面のみのアップデートであった。あえてデザインを改良しなかったのだ。

マイナーチェンジでデザイン変更をし、既存モデルのファンを逃さない作戦をとったのだという。確かに筆者も過去にデザインに手を入れずに「機能だけ強化すればいいのに」と思ったモデルはいくつも存在する。スズキはファンの期待に応えるべく、あえてデザインはそのままとしたワケだ。

宿敵N-BOXにはない! SUV風“スペーシアギア”追加が追い風に

それに加え、筆者個人の意見として2018年12月に追加投入されたSUV風モデル「スペーシア ギア」の存在も大きな要因であるように思う。

今、SUVが世界的に人気を博している。大人気のスーパーハイトワゴンにSUVエッセンスを持ち合わせたスペーシアギアは、ジムニーやハスラーなど、SUVメーカーとしての印象も強いスズキ車のイメージと良くマッチした。

>>スペーシア ギアにライバル出現! 三菱 eKクロススペースと写真で比較

販売台数の内訳は得られなかったものの、都内近郊のスズキディーラーに尋ねると昨今はスペーシアギアは同シリーズの中でかなりの割合を占めているというほど。

ノーマル、カスタム、そしてギアと3本立てで勝負をしているスペーシアだが、未だ王者N-BOXから首位を奪うことは叶っていない。それだけに今後もユーザーファーストな改良を続けて、いつかは首位奪還を達成して欲しいところだ。

【筆者:MOTA編集部 木村 剛大】

スズキ/スペーシア
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筆者MOTA編集部 木村 剛大

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樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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