ミシュラン 新スタッドレス「X-ICE3+」試乗レポート|“Mチップ”の採用により新品時は勿論、摩耗時の氷上性能がアップ!(1/2)
- 筆者: 島下 泰久
- カメラマン:日本ミシュランタイヤ株式会社
日本で研究、開発、設計が行なわれているミシュランのスタッドレスタイヤ
もしかするとミシュランタイヤには、まだまだ海外ブランドというイメージが強いかもしれないが、実はスパイクタイヤが禁止されるよりずっと前の1982年に、日本で初めてスタッドレイスタイヤを発売したのはミシュランだったということ、ご存知だろうか?しかもミシュランのスタッドレスタイヤは今に至るまで、ずっと日本で研究、開発、設計が行なわれているのだ。
そんなミシュランの新作スタッドレスタイヤの名称は「ミシュラン X-ICE3+(エックスアイス スリープラス)」。その名の通り、高い評価を受けた現行のX-ICE3の発展型である。おそらくすぐに気づいた方もいらっしゃるだろう、実はトレッドのデザインまで、現行のX-ICE3のものを踏襲している。
『つまりはマイナーチェンジ?』と訝しく思うかもしれないが、侮ってはいけない。このX-ICE3+、実際にテストしてみると、進化のほどは明らかだったのである。
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制動距離が新品時では4.5%、摩耗時では11.5%改善
テストでの印象を記す前に、まずはもう少し詳細に触れておこう。ユーザーへの徹底的なリサーチの結果、X-ICE3+が重視したのは主にふたつ。アイスブレーキング性能、そして性能の持続性である。
スタッドレスタイヤのユーザーが購入時に何より気にするアイスブレーキング性能の改善は、新品時にはもちろん、ある程度、摩耗が進んだ後にまで及ぶ。社内テストでは、新品時のアイスブレーキング性能は、制動距離にして4.5%の改善。そして摩耗時、具体的には1万kmの実車走行後のタイヤのテストでは、実に11.5%の改善を見たという。
それを可能にした新しい技術としては、まず表面再生ゴムを用いた新しいコンパウンドが挙げられる。このゴムの中には自然界に存在する環境、人体などにまったく無害な素材を使った“Mチップ”が無数に埋め込まれていて、摩耗するとこれが溶け出し、トレッド表面に無数の孔が開いて、氷の表面の水膜を吸い取ることで、タイヤを氷へと密着させることが可能になる。これが絶対的なアイスでのグリップを高めるだけでなく、長期にわたる性能保持に繋がっているのだという。
一方、Mチップが溶け出さなければコンパウンド内に空洞は出来ず、つまり高いブロック剛性がキープされる。これもまた絶対性能、耐久性の両面に活きているのである。
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