ミシュラン 新スタッドレス「X-ICE3+」試乗レポート|“Mチップ”の採用により新品時は勿論、摩耗時の氷上性能がアップ!(2/2)
- 筆者: 島下 泰久
- カメラマン:日本ミシュランタイヤ株式会社
路面を掴むかのような強力なグリップ感で、クルマをしっかり停めてくれる
X-ICE3以来、使われている数々の技術も貢献度は大きい。たとえば新品時と40%摩耗時でフェイスデザインが変わらない設計もそのひとつ。効果的に除水し、路面をしっかり捉え、噛み付くトリプルエフェクトブロックなど様々な効果が摩耗時まで持続するわけである。
では実際に走らせた時の印象はどうか。まずアイス路面では、おそらく誰もが発進の容易さからその進化、効果を実感するに違いない。テストに使ったのは前輪駆動のVW ゴルフ。発進からタイヤがしっかり路面を蹴り出し、エンジントルクを確実に推進力に変えていく感触がとても頼もしい。
肝心のブレーキングも、まさに路面を掴むかのような強力なグリップ感で、クルマをしっかり停めてくれる。グリップ的には有利なアイスがしっかり凍っている状態ではもちろん、多少の水膜が認められるようになってきても尚、確実な制動感が得られた。安心感はとても高い。
テストで明らかにされているアイスブレーキング性能の高さも、数値で見たものをしっかり体感できるものになっている。これは、きっと多くのユーザーの心を掴むに違いない。
進化のための意味や価値のあることだけを採り入れる姿勢
アイス路面でのハンドリングにも目を見張った。ステアリングを切り込んだ瞬間の反応はどちらかと言えば穏やか。けれど、急にその先でグリップが立ち上がるようなことがなく、反応が一貫してリニアなのが良い。余計な切り足しが必要になったり、あるいは切り過ぎてリアの流れ出しを誘発してしまったりということがなく、リラックスして走ることができるのである。
雪上での走りっぷりも満足できた。やはりステアリングの効き、リアのグリップ感に一貫性があって、クルマとの対話性が高いのが好印象。定常円旋回を試すと、わずかなアクセル操作も挙動にしっかり、シビアにならない程度に応えてくれるし、追操舵への応答性も上々で、人間の感覚を裏切らないところに好感を持った。
冒頭に記した通り、トレッドパターンはまったく変わっていないから、見た目で惹きつけるようなことはないかもしれない。けれど、単なる変化のための変化を求めず、あくまで進化のための意味や価値のあることだけを採り入れる姿勢は、まさにミシュランらしい。そして実際に試走してみて、その真価は十分に実感できた。もちろん、磨耗後の本当の性能は確認できてはいないのだが、これは自分でもこの冬以降、実際に確認できたらいいと思っている。X-ICE3+は、そんな気にさせられるスタッドレスタイヤだったということだ。
[レポート:島下泰久/Photo:日本ミシュランタイヤ株式会社]
この記事にコメントする