日産 新型エルグランド 試乗レポート/森口将之(3/3)
- 筆者: 森口 将之
- カメラマン:ZIPNIX
日産らしい走りの良さとリニアな感触
試乗したのは、最上級グレードの「350ハイウェイスタープレミアム」の2WD(オールモード4WDもあり)。
最初に走った周回路で、まず強力なダッシュに圧倒された。発進は落ち着いているが、その後の伸びがすごい。180km/hまで一気に加速していく。まさに「キング・オブ・ミニバン」だ。
こんな高速域でもエンジン音は抑えられており、2,000rpm以下の100km/hは無音といえるほど。
CVTはフル加速でも車速に合わせて回転を上げていくなど、リニアな感触に好感を持った。直進性に不満はなく、急な車線変更ではマルチリンク式リアサスペンションがしっかり踏ん張ってくれる。
気になったのは、重めの「ステアリング」。高速はともかく、街乗りレベルでもずっしりとしていた。しかし、軽すぎて不安だった現行型とは違い、ワインディングロードではちょうどいい手応えと感じた。
こういうシーンでは、リバウンドスプリングを用いた4輪独立懸架サスペンションがすぐれた接地感をもたらす。現行型のようにフワフワせず、押さえの効いたフィーリング。コーナーでのロールを抑える一方で、路面に合わせてストロークしてくれるから、安心してペースを上げていける。
横置きパワートレインになったことで、前後重量配分はフロント寄りになったはずなのに、ノーズの重さは感じられず、ミニバンというボディサイズを忘れさせる位、自然な身のこなしを演じてくれた。
伝統でもあった、背の高い箱型ボディや後輪駆動パワートレインを捨てた成果は、日産らしい走りの良さにしっかり結実していた。
キング・オブ・ミニバンを自認しつつ、その地位に甘んじない攻めの進化に共感を覚えた。
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