トヨタ新型ヴォクシー ハイブリッド 実燃費レポート(2017年7月マイナーチェンジモデル)(2/3)

トヨタ新型ヴォクシー ハイブリッド 実燃費レポート(2017年7月マイナーチェンジモデル)
ヴォクシーハイブリッドZS ヴォクシーハイブリッドZS専用16インチ鍛造アルミホイール(BBS製) ヴォクシーハイブリッドZS専用16インチ鍛造アルミホイール(BBS製) リアスポイラー 画像ギャラリーはこちら

燃費測定の基本ルール

・燃費の測定は、車両に純正搭載されている車載燃費計を使用

・スピードは流れに乗ったごく一般的なペースで走行

・車両の状態もエアコンは快適に過ごせる温度(オートエアコンなら25度)に設定

・走行モードが選択できる場合にはノーマルモードを選んで走行

トヨタ新型ヴォクシー ハイブリッド ZS実燃費レポート|高速道路編

ヴォクシーハイブリッド高速
ヴォクシーハイブリッド高速燃費

トヨタ ヴォクシー ハイブリッドZS(2017年マイナーチェンジモデル)高速道路での実燃費:19.2km/L

スペックの変更がないため当然かもしれないが、ヴォクシー ハイブリッドの動力性能はマイナーチェンジ前との差は感じられなかった。

動力性能だが、高速道路本線や追い越し加速などの際にアクセルを深く踏むとモーターのアシストがあることもあり、力強さは体感出来る。しかしスピードメーターを見ている限りでは針の上昇はそれほどではない。

また、1人乗車で平坦路という走行条件であれば、加速力にパワー不足を感じることはないが、首都高速のレインボーブリッジのような上り坂で加速するという場面だと若干パワー不足。お盆時期の帰省のような「フル乗車でエアコンもフル稼働」といった負荷の大きい走行条件下だと「もう少しパワーが欲しい」というケースも出てくるかもしれない。また高速道路のペースで走ると風切音やロードノイズが耳の付くのも気になった。

そして今回のマイナーチェンジで前述したように、クルーズコントロールが全グレードに標準装備されたことは評価できるのだが、ライバルの日産 セレナとホンダ ステップワゴンには先行車追従型のクルーズコントロールやレーンキープシステムといった運転支援システムが幅広く設定されているのを考えると(完成度は別として)、ヴォクシー&ノア&エスクァイアにも自立自動ブレーキの性能向上も含めてこの種の機能の設定が欲しいところだ。

高速道路実燃費カタログ燃費
ヴォクシーハイブリッドZS19.2km/L23.8km/L
現行初期型ヴォクシーハイブリッドG20.7km/L23.8km/L
現行初期型ノア2.0Si16.3km/L16.0km/L

高速道路での燃費は19.2km/Lを記録した。この数値は大台となる20km/Lを超えた初期型ヴォクシー ハイブリッドの20.7km/Lには及ばなかったものの、これは夏場だったためエアコンによる負担や交通の流れなどの走行条件によるものと考えて欲しい。

付け加えると、ヴォクシー&ノア&エスクァイアは初期型からそうだったのだが、アクセルを全閉した時の空走感(=転がり抵抗の少なさ)が強く、燃費向上に貢献しているように感じたのも印象的だった。

トヨタ新型ヴォクシー ハイブリッド ZS実燃費レポート|市街地編

ヴォクシーハイブリッド市街地
ヴォクシーハイブリッド市街地燃費

トヨタ新型ヴォクシーハイブリッドZS 市街地での実燃費:16.6km/L

ヴォクシーハイブリッドも他のトヨタの2モーターハイブリッドを搭載するモデルと同様にハイブリッドシステムの動き方は以下の通りである。

・モーターでスタート

・エンジンが加わり、状況によってエンジンを駆動と発電に使ったり、モーターによるアシストが加わるなど車側がマネージメントする。

・減速の際にはモーターを発電機として使う回生制動でバッテリーに電気を貯める

トヨタの2モーターハイブリッドの市街地での印象は、ほとんど同じようなことを書くが、ヴォクシー ハイブリッドは車重が重いだけに、モーターでスタートした後にエンジンが掛かるタイミングは早めという違いはあるものの、それ以外は他のトヨタの2モーターハイブリッドと同様にモーターでスタートし、エンジンが加わってもトランスミッションがないため非常にスムースで楽に走れる。またエアコンが駆動用バッテリーの電力を使って動く電動タイプなので、テストした日のような気温の中でも停止中エンジンが掛かることは少なく快適に過ごせるのも有難い。

その他気づいた点としては、以下のことが挙げられる。

・EVモードを使った場合はバッテリー残量が多ければ、他のトヨタの2モーターハイブリッドと同様に60km/hまで走行可能。

・走行モードとしてボタンがあるエコモードとパワーモードは、エコモードはエアコンの効きが適度に緩めになる、アクセル操作に対するレスポンスが適度の鈍くなる、パワーモードはアクセル操作に対するレスポンスが鋭くなるといったお決まりともいえる性格に変わる。 乗車人数が多いケースでもなければ基本的にはエコモードを使うことを勧めたい。

・ハイブリッドカーで気になるEV走行中追い越しなどのため、アクセルを全開にした際にフル加速が始まるまでのタイムラグは、許容範囲であるがワンテンポある。

・現行プリウス以降のトヨタのハイブリッドカーと同様にブレーキを踏んだ際のタッチ(踏む心地)が良くなり、EVやハイブリッドカーの航続距離、燃費向上に重要な効率の良い「メーター左側の出力のチャージ側へ振り切らないよう行う」回生制動もやりやすくなった。

・運転席からノーズがよく見え、かつベルトラインと呼ばれる側面のラインが低いため、全体的に視界がよく運転しやすいのは現行ヴォクシー&ノア&エスクァイアの美点だ。

市街地実燃費カタログ燃費
ヴォクシーハイブリッドZS16.6km/L23.8km/L
現行初期型ヴォクシーハイブリッドG19.3km/L23.8km/L
現行初期型ノア2.0Si11.8km/L16.0km/L

市街地での燃費は16.6km/Lと初期型ヴォクシーハイブリッドの19.3km/Lに見劣りする結果となったが、原因のほとんどはエアコンだ。この暑さの中混雑した市街地を走っても、停止中エアコンを作動させるためにエンジンを掛けバッテリーに電気を貯めるということは少なかったが、それでもエアコンによるエンジンの負担は大きく感じ、これが燃費低下につながった。むしろ夏場の市街地でも燃費の低下がこの程度で済んでいることを高く評価すべきではないだろうか。

トヨタ新型ヴォクシー ハイブリッド ZS実燃費レポート|郊外路編

ヴォクシーハイブリッド郊外2
ヴォクシーハイブリッド郊外燃費

トヨタヴォクシーハイブリッドZS 郊外路での実燃費:18.3km/L

筆者はマイナーチェンジ前から、ヴォクシー&ノアのエアロ系モデルのハンドリングと乗り心地に好感を持っていたのだが、その印象はマイナーチェンジされたハイブリッドモデルでも同様だった。

具体的には、まずハンドリングはハンドル操作に対し素直に向きが変わり、コーナーではミドルハイトミニバンであるためロールはそれなりに起きるが、ロールの起こり方は不安感なくジワジワと起きることもあり、ロールのコントロールも含めなかなか運転を楽しめる。

ヴォクシー ハイブリッドZSのハンドリングの楽しさを筆者は、通常のカタログモデルのミドルハイトミニバンナンバー1と感じている。ミニバンユーザーには家族が増えたなどの事情で本位でなくミニバンに乗っているユーザーもいるかもしれないが、ヴォクシー ハイブリッドZSはそんなユーザーでも我慢なく運転も楽しめる。家族のためにミニバンを買うお父さんが購入時にエアロ系モデルを希望した場合には、ご家族もそのくらいの贅沢は許してあげて欲しい。

乗り心地も初期モデルのヴォクシー&ノアのハイブリッド+標準車はゴツゴツとした硬さが強く不快なものであったが、マイナーチェンジ後のヴォクシー ハイブリッドZSは路面の凹凸の大きいところでもサスペンションの動きはなかなかしなやかで乗り心地が悪いと感じるケースはなく、非常によくまとまっている。

ちなみに別の機会にマイナーチェンジ後のエスクァイア ハイブリッドに乗ったところ、これがエスクァイア ハイブリッドだけなのか、ヴォクシー&ノア&エスクァイアのハイブリッド+標準車も共通なのかは定かではないが、ハンドルの手応えは軽く緩い、サスペンションはかなり柔らかく、乗り心地はまずまずという古い言葉だと「ダンナ仕様」というフレーズが浮かぶ印象だった。

もちろんヴォクシー&ノア&エスクァイアが万人向けのミドルハイトミニバンであるのを考えればこの性格で何ら問題はないが、もし走りにこだわりがあってヴォクシー&ノア&エスクァイアを選ぶならエアロ系モデルを強く勧めたい。

郊外路実燃費カタログ燃費
ヴォクシーハイブリッドZS18.3km/L23.8km/L
現行初期型ヴォクシーハイブリッドG22.0km/L23.8km/L
現行初期型ノア2.0Si14.2km/L16.0km/L

郊外路での燃費も、18.3km/Lとマイナーチェンジ前のヴォクシー ハイブリッドの22.0km/Lに見劣りする結果となった。これも市街地と同様に「食事のために小1時間駐車し、暑くなった車内を冷やすためのエアコンがかなりの負担になった」など、燃費の差のほとんどはエアコンによるものと考えてほしい。

トヨタ新型ヴォクシー ハイブリッド ZS実燃費レポート|総合評価

ヴォクシーハイブリッドZS

トヨタ ヴォクシー ハイブリッドZS 総合実燃費:18.2km/L

総合実燃費カタログ燃費
ヴォクシーハイブリッドZS18.2km/L23.8km/L
現行初期型ヴォクシーハイブリッドG20.5km/L23.8km/L
現行初期型ノア2.0Si13.8km/L16.0km/L

ヴォクシー&ノア&エスクァイアの三兄弟はエアロ系モデルのハンドリングと乗り心地、ハイブリッドのリセールバリューまで考えれば、元を取れる価格設定を代表に相変わらずよくまとまったミドルハイトミニバンであった。そんな車がトヨタの全ディーラーで販売されているのだから、プリウス並みに売れるのも当然というのを再認識した。

それだけにヴォクシー&ノア&エスクァイアには高速道路編で書いたように自動ブレーキの性能向上を含め、日産 セレナとホンダ ステップワゴンに見劣りする運転支援システムの充実化を望みたい。

また現在ミドルハイトミニバンでハイブリッドがあるのはヴォクシー&ノア&エスクァイアの三兄弟だけだが、ホンダ ステップワゴンには秋に、日産 セレナにも本格的なハイブリッドが追加されるという噂もある。競争の激化の中でヴォクシー&ノア&エスクァイアの三兄弟が王者の座に君臨し続けられるかも注目したいところだ。

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永田 恵一
筆者永田 恵一

1979年生まれ。26歳の時に本サイトでも活躍する国沢光宏氏に弟子入り。3年間の修業期間後フリーランスのライターとして独立した。豊富なクルマの知識を武器に、自動車メディア業界には貴重な若手世代として活躍してきたが、気付けば中堅と呼ばれる年齢に突入中。愛車はGRヤリスと86、過去には日本自動車史上最初で最後と思われるV12エンジンを搭載した先代センチュリーを所有していたことも。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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