イギリス生まれの超ド級マシンをサーキットで解き放つ|ジャガー&ランドローバー SVOモデル試乗(1/4)

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ジャガー&ランドローバーの特別部隊、SVO(スペシャル・ヴィークル・オペレーションズ)。彼らが仕立てた強烈なモデルを一気乗り! ジャガー Fタイプ SVR、ジャガー Fペイス SVR、ジャガー XJR575、レンジローバー・スポーツ SVRと、実は超過激な英国産スペシャルモデルをレポートします。

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  1. 職人集団SVOスペシャル・ビークル・オペレーションズの技
  2. もっともバランスのいいスーパーSUV|ジャガー Fペイス SVR
  3. コンパクトボディにハイパワーエンジンという様式美|ジャガー Fタイプ SVR
  4. 最速にして最強のランドローバー|レンジスポーツ SVR
  5. 5リッターV8スーパーチャージャーをFRで味わう|ジャガー XJR575

職人集団SVOスペシャル・ビークル・オペレーションズの技

ジャガー初のピュアEV「I-PACE」(Iペイス)の試乗に合わせて、ジャガー・ランドローバーにおけるハイパフォーマンスモデルを、「SVR」シリーズを中心にサーキットで試乗することができた。

SVRとはジャガー・ランドローバーのハイパフォーマンスモデルに与えられる名称だ。メルセデスで言えば「AMG」、BMWなら「M」、日産の「NISMO」に当たるものだと考えてくれていい。

これを作り込むのはイギリスのウォリックシャーに居を構える「スペシャル・ビークル・オペレーションズ」(SVO)。約200名のスペシャリストたちが専用の社屋で、ハイパフォーマンスモデルのみならず限定モデルやビスポークモデルの制作を請け負っているという。

5リッターV8スーパーチャージャーの過激なエンジンを搭載

そんなSVRモデルたちに共通するのは、ハイエンドモデルとして5リッターの排気量を持つV8ユニットを搭載していること。そしてその過給機に、ターボではなくスーパーチャージャーを用いていることだ。エンジンは全て共通ながら、モデルごとの性格や立ち位置から、その出力特性を僅かに変化させているのも細かい配慮である。

足回りは極めてしなやかで上質

そしてこのダイレクトかつどう猛な加速力に対しては、極めてしなやかな足回りで対応することがひとつの大きな特徴となっている。

ハイパフォーマンスモデルの足回りと言えば、その旋回GやブレーキングGに対応するべく、高い剛性をもってガッチリと固められているのが通例だ。しかしSVOの設える足回りは、それこそジャガー・ランドローバーにおけるどのモデルよりもソフトな印象すら受ける。特にジャガーは軽量なアルミボディと、引き締められたサスペンションがおりなすキビキビ感をもって若返りを果たしたブランドだが、SVRモデルは実に角なく“まったり”と、そのサスペンションを動かすのである。

もっともバランスのいいスーパーSUV|ジャガー Fペイス SVR

この動力性能とシャシーが、最もバランスしたのは、なんとSUVボディのFペイスSVRだった。

単純な運動性能比較であれば、生粋のスポーツカーであるFタイプSVRが最も安定した速さを発揮してくれる。しかしFペイスは、まさにこの“しなやか足”が、抜群の操縦性を示してくれたのである。

エンジン出力は550PS/680Nm。最もハイパワーなFタイプ SVRに対して25PS/100Nm出力が低くなっている。また車重も2tを僅かに超えているため、Fタイプ SVRよりは少し余裕を持ってこの高出力を受け入れることができるのだ。

とはいえどこから踏んでも強烈なトルクを素早く立ち上げ、きっちりレブリミットまで回しきる実力には惚れほれさせられる。さらにそのサウンドは、ターボとは比べものにならないほど透明感が高く、アクセルを離せばやり過ぎなくらい炸裂音を豪快にまき散らす。

このハイパワーを受け止めるのは、オンデマンドタイプのAWD。通常はほぼFRに近いトルク配分で走るため、タイトコーナーではフロントタイヤのグリップに余裕があり、かつロングコーナーでも目立ったアンダーステアが顔を出さない。

こうした出力特性とトラクションを上手につなぐのが、SVRのサスペンションセッティングである。フロントで30%、リアで10%剛性を高めたスプリングとアンチロールバーを組み込み、スタンダードなFペイスに対してロールを5%低減させたといシャシーだが、これは出力特性の向上とタイヤの大径化に対するバランスを整えた印象で、そこにはまったく硬さは感じさせない。

そしてブレーキングではダンパーが突っ張ることなく前輪に荷重を与え、ターンでは重たいボディをじわりとロールさせて行く。

こうすることでドライバーは常にタイヤのグリップを感じ取ることができ、強烈なエンジンパワーに対して、余裕をもって対処することができる。また電子制御式のアクティブ・ディファレンシャルが着実に後輪のトラクションを確保してくれるため、多少のオーバーステアが発生しても自信をもってこれをコントロールすることができる。

そしてクリッピングポイントからは4WDのトラクションを武器に、思い切りアクセルを床まで踏みつけられるのである。

FペイスがSUVであることも、この良好な操縦性に貢献している。確かにボディは重量級だが、サスペンションストロークを長くとることができるため、その動きをさらに穏やかにすることが可能となるからだ。

ジャガー Fペイス SVR 5.0L P550 4WD 主要スペック比較表

車種名

Fペイス

グレード名

SVR 5.0L P550 4WD AT

価格(消費税込み)

1306万円

全長×全幅×全高

4740mm×1935mm×1670mm

ホイールベース

2875mm

駆動方式

4WD

乗車定員

5名

エンジン種類

V型 8気筒 DOHC

総排気量

5000cc

エンジン最高出力

405kW(550PS)/6500rpm

エンジン最大トルク

680Nm(69.3kg・m)/2500rpm

トランスミッション

8速AT

使用燃料

ハイオク

ジャガー/Fペイス
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新車価格:
759万円1,760万円
中古価格:
226.7万円1,795.8万円
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山田 弘樹
筆者山田 弘樹

自動車雑誌編集者としてキャリアをスタート。輸入車雑誌 副編集長、アルファ・ロメオ専門誌編集長等を経て、フリーランスのモータージャーナリストに。レース参戦なども積極的に行い、走りに対する評価に定評がある。AJAJ会員。カーオブザイヤー選考委員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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