イギリス生まれの超ド級マシンをサーキットで解き放つ|ジャガー&ランドローバー SVOモデル試乗(4/4)
- 筆者: 山田 弘樹
5リッターV8スーパーチャージャーをFRで味わう|ジャガー XJR575
ジャガーの最上級サルーンであるXJシリーズ。その最もハイパフォーマンスなグレードとなる「XJR575」にも試乗することができた。
その名称通りXJR575は、575PSを発揮するハイパワーサルーンだ。SVRのバッジこそ付かないが、時系列的には一番最初に5リッターV8スーパーチャージャーユニットを搭載し、575PSを達成したモデルである。
そんなXJR575に鞭を入れると、ジャガーの古き良きデカダンスをこれでもか! というほど味わうことができる。なぜならXJR575は、575PSのパワーを後輪だけで受け止める、超古典的なジャガーだからである。
当然ながらこの高出力化に対して、足回りも強化されている。その足下には20インチのハイグリップタイヤを履き、足まわりには可変ダンパーを奢るなどして、それなりのスタビリティを確保してはいる。
しかしモードを「ダイナミック」に転じても、サーキットレベルの高荷重領域では少し減衰力が高まるくらいに感じられ、基本的にダンピング特性はしなやかさを失わない。また電動パワステも、実に往年のジャガーらしい、軽い操舵感を保ち続ける。
そしてこの軽さ、ひいては危うさが575PSのパワーと絡み合ったとき、超古典的な世界観が炸裂するのである。
フロントにV8エンジンを搭載するフルサイズのセダン。長いホイルベースも相まって、その回頭性はスポーツカーのように従順ではない。本来であればこうしたタイトなコースよりも、ロングコーナーをハイアベレージで走る方がXJR575には合っている。
それでもロールを積極的に受け入れるサスペンションを駆使して荷重をコントロールすると、XJR575はその長いノーズをコーナーの内側へとネジ込んで行く。
ここからアクセルを開けて行くには、それなりの勇気とテクニックが必要だ。
スタビリティコントロールを解除したXJR575は、いともたやすく後輪のグリップを奪い去る。アクセル操作に対するトルクの立ち上がりは素早い上に強烈で、その長いテールを瞬時に振り出してしまう。
このとき同じく長いホイールベースがなんとかスピンモードを抑え込み、軽いパワステがカウンターステアを素早く切らせてくれるものの、正直もう少しだけトラクションが欲しいと感じる。
狭いスイートスポットを理解し、そこにアクセル開度を合わせることができればリズムは作れる。ドリフトアングルを維持しながら走り続けることは可能だが、こうした運転が身についていないのであれば、スタビリティコントロールは切らない方が身のためだ。
本来であればもう少し足回りをしっかりと硬め、ディファレンシャルのオン側ロック率を上げたいところ。それこそがSVOのやるべきことだと思うのだが、末期モデルにそこまでのテコ入れはしないのだろうか?
その一方で、こうした操縦性を4ドアサルーン与えてしまう野蛮さに、古き良き時代の魅力を感じてしまうのも事実である。昔はこうしたモンスターに乗るために何が必要なのかを、乗り手が理解していた。飛ばすにせよ飛ばさないにせよ、切れる刃物を扱うたしなみを心得ていたのである。
ジャガー XJ XJR575 主要スペック比較表 | |
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車種名 | XJ |
グレード名 | XJR575 AT |
価格(消費税込み) | 1922万円 |
全長×全幅×全高 | 5135mm×1905mm×1455mm |
ホイールベース | 3030mm |
駆動方式 | FR |
乗車定員 | 5名 |
エンジン種類 | V型 8気筒 DOHC |
総排気量 | 4999cc |
エンジン最高出力 | 423kW(575PS)/6500rpm |
エンジン最大トルク | 700Nm(71.4kg・m)/3500rpm |
トランスミッション | 8速AT |
使用燃料 | ハイオク |
タイヤサイズ | 265/35ZR20 |
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