イギリス生まれの超ド級マシンをサーキットで解き放つ|ジャガー&ランドローバー SVOモデル試乗(2/4)
- 筆者: 山田 弘樹
コンパクトボディにハイパワーエンジンという様式美|ジャガー Fタイプ SVR
広い室内空間とラゲッジスペースを持ち、高い運動性能まで備えたFペイス SVRは、まさに裕福層の欲望を叶えるマルチパーパス・スーパーカーだ。
そんなFペイスに対して、Fタイプクーペ版SVRはソリッドな世界観を楽しませてくれた。
低く構えたボディ。それが織りなすタイトな2シーターのコクピット。リアタイヤ近くに座り575PSのパワーを操る感覚は、古典的なスポーツカーの文法通りである。
しかしながら駆動方式はFペイスと同じくFRベースの4WDとなっているため、その操縦性には、後輪駆動モデルのような危うさは見られない。
むしろ緊張しているのはドライバーの方であった。低い着座位置が織りなす体感速度の高さ。Fペイス SVRに比べて300kg!以上軽いボディが織りなす旋回Gの高さや、操舵応答の速さに対して、こちらが少し身構えてしまうのだ。
ちなみにその足回りは、Fペイスや後述するレンジローバースポーツのSVRよりも少し硬めである。縁石で跳ねるようなものではないが、ストローク量が短い中で高出力に対する安定性を保ち、スポーツカーらしい俊敏性を与えるために、こうした味付けになっているのだと思われる。
575PS/700Nmのパワー&トルクに対しては、前述したAWDに加え21インチの大径タイヤと電子制御ディファレンシャルが、きっちりとトラクションを確保してくれる。ただ4WDのトルク制御が安定方向なのか、コーナーではやや曲がらない印象を受けた。ノーズにV8エンジンを積み4輪を駆動するレイアウトを考えればそれも当たり前なのだが、このフロントタイヤが少し遠い運転感覚も、ドライバーとの一体感にやや欠ける印象を生み出している。
2013年から使い続けるシャシーに対して、ややパワーが勝っている現状を、SVOは巧みにAWDとサスペンションのセッティングでバランスさせているのだろう。もしFタイプクーペが次世代になったら、もっとしなやかな足回りで、曲がるスポーツカーになるのではないだろうか。
とはいえこのコンパクトな車体にV8エンジンをブチ込む英国流の様式美は雰囲気満点で、その気品のなかに見え隠れする野蛮さと硬派なテイストはとても魅力的に感じる。
むしろ速さを突き詰めるよりも、こうしたエモーショナル性能を味わうためにFタイプクーペは存在すると思う。
ジャガー Fタイプクーペ SVR 5.0L P575 AWD 主要スペック比較表 | |
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車種名 | Fタイプクーペ |
グレード名 | SVR 5.0L P575 AWD AT |
価格(消費税込み) | 1820万円 |
全長×全幅×全高 | 4475mm×1925mm×1315mm |
ホイールベース | 2620mm |
駆動方式 | 4WD |
車両重量 | 1840kg |
乗車定員 | 2名 |
エンジン種類 | V型 8気筒 DOHC |
総排気量 | 4999cc |
エンジン最高出力 | 423kW(575PS)/6500rpm |
エンジン最大トルク | 700Nm(71.4kg・m)/3500rpm |
トランスミッション | 8速AT |
使用燃料 | ハイオク |
燃料消費率(JC08モード燃費) | 8.1km/L |
タイヤサイズ | 255/35ZR20 |
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