日本カー・オブ・ザ・イヤー2020-2021が決定! 選考委員はどのクルマを評価した!? ホンダ フィット/プジョー 208編
- 筆者: トクダ トオル(MOTA)
第41回目となる日本カー・オブ・ザ・イヤー2020-2021が、2020年12月7日(月)に発表された。自動車評論家、ジャーナリスト、有識者からなる60名の選考委員の選考により、全45台の乗用車の中からイヤーカーに決まったのはスバルのレヴォーグだったが、それ以外のクルマに票を投じる人も多かった。各選考委員はどのような理由で投票に臨んだのか、直接聞いてみた!
あらためておさらい! 日本カー・オブ・ザ・イヤーはどうやって決まる!?
日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)は、日本を代表するクルマの賞典だ。その歴史は古く創設は1980(昭和55)年で、今回が第41回目となる。
今年2020年は、まず第一次(ノミネート)選考でノミネート車45台の中から、最終選考に値すると判断した10台を60名の選考委員が投票。上位10台がCOTY最終選考の候補車10ベストカーとなった。そして第二次(最終)選考で、各選考委員が25点の持ち点を10ベストカーのうち5台に配点する。その中でも最高評価の1台には10点を与え投票するのが特徴だ。
▼日本カー・オブ・ザ・イヤーってどうやって決まる!? 詳しくはこちらもチェック▼
こうして今回日本カー・オブ・ザ・イヤー2020-2021(本賞)に選ばれたのがスバル レヴォーグだ。
さらに本賞が日本メーカー車だった場合に、海外メーカー車でもっとも多く得票したクルマに与えられる「インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」には、ブランド初受賞となるプジョー 208/e-208が選ばれた。
レヴォーグ以外に最高得点を投じた選考委員のコメントを紹介
2位のホンダ フィットも票を多く集めた
今回日本カー・オブ・ザ・イヤー2020-2021に選ばれたスバル レヴォーグは、全60名の選考委員から合計437票を獲得し1位となった。2位は、320票のホンダ フィットだった。このフィットに、最高得点の10点を投じた選考委員も多かった。
12月7日に行われた最終選考会(表彰式)は、今年2020年は新型コロナウィルス感染拡大防止対策としてオンラインでの開催となった。例年なら会場に集まる選考委員の方々への直撃インタビューができなかったため、今回は投票直前の11月25日に行われた10ベストカーの最終試乗会会場などに訪れていた選考委員へお話を伺い、投票理由などをまとめてみた。
▼こちらも併せてチェック! 選考委員がレヴォーグを選んだ理由とは▼
前回はレヴォーグに10点の評価を与えた選考委員の声を拾ったが、今回は惜しくも次点となったフィットや、インポート・カー・オブ・ザ・イヤーのプジョー 208/e-208についての評価を訊いた。
自動車ライターの嶋田智之さんは、ホンダ フィットに10点を投じた。またモータージャーナリストの岡本幸一郎さん、カーライフ・ジャーナリストの渡辺陽一郎さんもフィットに10点を入れている。レヴォーグではなくフィットを1番とした訳とは。それぞれの理由などについて伺った。
嶋田智之さんのコメント
「毎度のことながら、今回も驚くほどの豊作でした。悩んで悩んだ末、僕は最終的にホンダ フィットに10点を投じさせていただきました。フィットはいわば、フツーの人が乗るフツーのクルマ。どこか尖ったところがあるわけでもありません。ホンダの、ある意味では“らしさ”だともいえる、スポーツモデル特有のパキッとしたシャープなフィールがあるわけでもない。むしろ乗り味は全体的にはしなやかで滑らかでしっとり。なのに、うねうねしたところを走ってると、何だか楽しいのです。
フィットは、パワーがあるわけでもなく何かスポーティな演出がなされてるわけでもないのに、車体の前後左右の動きが素早すぎもせず緩すぎもせずのちょうどいい具合で、タイヤにしっかり荷重を乗せていけて、しっかりと路面を捉え続けるシャシーが、地味ながらとってもいい仕事をしてるからです。だから、官能性こそ皆無だけど、どこをどんなふうに走っていても、運転していてそこはかとなく常に楽しい気持ちでいられます。燃えるような楽しさというものもあれば、こうしたジンワリと湧き出てくるような楽しさというものだってあるのです。それに見た目も雰囲気も乗り味も穏やかでまろやかで優しいから、きっと飽きずに長く乗れそうなところもあります。そういうクルマが155万円から買えるというコスパの良さも素晴らしいと思います。」
岡本幸一郎さんのコメント
「レヴォーグ、フィット、ヤリスの三つ巴の戦いの中で、僕が最高点を投じたのはフィットです。CMでも連呼しているとおり、『心地よい』というテーマを本気で追求したフィットは、本当に正真正銘の心地よいクルマに仕上がっていることに大いに感心したからです。
持ち前の日本にジャストサイズのコンパクトな車体ながら、ファミリーカーとしても不満なく使える広さはもとより、驚くほどの視界のよさや充実した先進運転支援、快適で洗練された走りなど、乗る人も乗せてもらう人も触れたすべての人が心地よさを享受できるクルマに仕上がっています。
その心地よさを視覚的も想起させる新しい方向性のデザインも気に入っていて、発売以来これまで何度もドライブする機会がありましたが、乗るたびに新しい心地よさを発見させてくれたように思います。加えて、いまの時代に求められる環境性能や安全性能を高い次元で身につけている点も評価できます。
今年のCOTYを受賞したレヴォーグも素晴らしいクルマであることは重々承知しています。ただ、まだ出て間もなくて街を走っていないクルマに10点を投じるのは個人的には抵抗があったのと、乗った機会が少ないので本質が見えていないところも多分にあるため、レヴォーグをちゃんと評価するのはもう少し時間が経ってからにしたいと思っています。」
渡辺陽一郎さんのコメント
「今年はSUVまで含めて、コンパクトな車種が充実していたと思います。その一方でミニバンは少数の車種に定番化しており、セダンもますます存在感が弱まっています。2020年に登場したホンダ アコードはその典型でしょう。北米でフルモデルチェンジを実施してから2年半にわたり、安全装備の劣った旧型を日本で売ってました。ホンダ フィットに10点を入れた背景には『ほかの車種もフィットのように真面目に造るべき』というメッセージの意味も込めてあります。
このほかではレヴォーグやプジョー208、そしてマツダの新しいデザイン潮流を築くMX-30が印象的でした。」
輸入車も大健闘! インポートカー・オブ・ザ・イヤーのプジョー 208/e-208も高評価
インポートカー・オブ・ザ・イヤーを受賞したプジョー 208/e-208に10点を投じたのはフリーアナウンサーの安東弘樹さんだ。その印象とともに、注目していた今年の1台についてのお話も聞くことが出来た。
安東弘樹さんのコメント
「プジョー 208は『コンパクトなボディにクルマの魅力が凝縮して宿っている』という言葉が、乗って数分で浮かんできました。剛性感に満ちたボディ。高価な素材を使っていなくても個性的なデザインで高級感を漂わせる室内空間。小径ステアリングを駆使して、キビキビ街中を走っているだけでいつもの景色が変わって見えました。ガソリン車は小排気量ながらターボの見事な過給で力強さを実現し、高速でも剛性のあるボディによって重厚感も感じさせるのは見事です。EV版も重量増がポジティブに働き、更なる重厚感に寄与していました。ただ、一つだけ残念なのは、最近は軽自動車にも装備されているシートヒーターがオプションでも装備されない事ですね。
ほかに印象的だったのは、10ベストに残らなかったのが信じられませんが、HONDA eです。私、個人としては10点を付けても良いと思っていました。
HONDA初の純EVというだけではなく、塊感のある見事なエクステリア。これまでの日本車では絶対に実現されなかったであろう全面スクリーンモニターとバーチャルサイドリアビューミラー。日本のユーザーのクルマの使い方では不満が出ないであろう航続距離に割り切ったコンセプトにも賛同出来ます。供給体制や価格はネックになりますが純粋にハードを見て感服でした。』
第3回は、接戦となり惜しくも敗れたトヨタ ヤリスに10点を投じた方にインタビュー!
激戦だった日本カー・オブ・ザ・イヤー2020-2021の投票理由についてうかがってきた。次回は、接戦の末惜しくも敗れたトヨタ ヤリスに10点を投じた選考委員のコメントについてご紹介する。2020年12月9日公開予定なので、こちらも引き続きお楽しみに。
[インタビューまとめ:トクダトオル(MOTA編集部)]
日本カー・オブ・ザ・イヤーの詳細な配点表はこちらをチェック[画像51枚]
▼惜しくも2020-2021 日本カー・オブ・ザ・イヤーを逃したフィットとヤリスを動画でチェック!▼
第41回 日本カー・オブ・ザ・イヤー2020-2021 各賞 受賞車
■日本カー・オブ・ザ・イヤー:スバル レヴォーグ
■インポート・カー・オブ・ザ・イヤー:プジョー 208/e-208
■デザイン・カー・オブ・ザ・イヤー:マツダ MX-30
■テクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤー:アウディ e-tron Sportback
■パフォーマンス・カー・オブ・ザ・イヤー:アルピナ BMW ALPINA B3
■K CAR オブ・ザ・イヤー:ニッサン ルークス/ミツビシ eKクロス スペース/eKスペース
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