もっと売れてもイイはず! ホンダ フィットが苦戦している理由は“いいひと”過ぎるから!?

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2020年2月、日本を代表する2大人気コンパクトカーが相次いでフルモデルチェンジした。4代目「ホンダ フィット」と、従来のヴィッツから名前を変え登場した「トヨタ ヤリス」だ。2020年度上期(4月~9月)の新車販売ランキングで1位に入ったヤリスに対し、フィットは4位。その差はどこにあるのか。改めて検証してみよう。

“いいひと”過ぎる! 新型フィットの癒し系デザインを写真で見比べてみる

目次[開く][閉じる]
  1. 2020年度上期販売台数ランキング、ヤリス1位に対しフィットは
  2. フィットが伸び悩む3つの理由
  3. “いいひと”からの脱却! N-BOXカスタムのヒットから学ぶ6番目のフィット

2020年度上期販売台数ランキング、ヤリス1位に対しフィットは

一般社団法人 日本自動車販売協会連合会(自販連)が、2020年度上期(4月~9月)の乗用車ブランド通称名別順位(軽自動車除く)を発表した。

1位はトヨタ ヤリス(79400台)、2位はトヨタ ライズ(61035台)、3位はトヨタ カローラ(55854台)。そして4位にホンダ フィット(50521台)がランクインした。

フィットは2020年2月にフルモデルチェンジを果たしたばかりだが、トヨタの小型車3台には及ばず。コロナ禍の影響を直撃したタイミングだけに、約5万台(月平均およそ8420台)はかなりの善戦だが、全く同じタイミングで現れたライバルのトヨタ ヤリスがその上を行っているだけに、差がついてしまった格好だ。

デビュー直後の2020年3月単月で見比べてみると、2位にフィット(14845台)、3位がヤリス(13164台)と、当初はフィットが上に位置していた。ところが翌4月にはヤリスが1位(10119台)、フィットが2位(8977台)と入れ替わる。

以降、6月のみ2位になった以外は1位を維持するヤリスに対し、フィットは3位、4位、5位、4位、6位と徐々にランクを落とし、台数も伸び悩んでいる。

果たして苦戦の理由はどこにあるのだろうか。

フィットが伸び悩む3つの理由

苦戦の理由その1 販売拠点数の圧倒的な差

ヤリスの先代モデルであるヴィッツは、トヨタ全4チャンネルの中でもネッツ店のみの専売モデルだった。しかしトヨタは全国のネッツ店・カローラ店・トヨペット店・トヨタ店において、2020年5月から全取扱車種の併売をスタート。新型ヤリスも、2月のデビュー時から全店扱いで販売を開始している。

ネッツ店以外の販売店がこれまで取りこぼしていた小型車需要を掘り起こしたことで、ヤリスの販売台数を後押しした格好だ。

全国の4つのトヨタ販売チャンネルを合計するとおよそ4600拠点。単純計算で1店舗あたり平均2.2台を売れば全国で月1万台の計算が成り立つ。

これに対しホンダの販売店は全国で約2200拠点。この販売力の差が、販売ランキングに少なからず影響を与えている。

苦戦の理由その2 軽の巨人「N-BOX」が強過ぎる!?

先ほどの販売ランキングでは、軽自動車の台数は含んでいない。軽の人気No.1といえば、ここ最近はスーパーハイトワゴンのホンダ N-BOXだ。2020年度上期(4月~9月)でも1位で90612台を売った。2位のスズキ スペーシア(62399台)、3位のダイハツ タント(52210台)に対しても圧倒的な差をつけてのダントツ1位である。改めて記すと、上期のヤリスは79400台、フィットは50521台を売っている。

圧倒的に広い室内空間を持ち、十分な走行性能も備えるN-BOXは、ミニバンやコンパクトカーからの代替も含めファーストカーとしての需要も取り込んだことで成功した。店舗にとっても売りやすい1台となっているようだ。

N-BOXの販売価格帯はおよそ140万円から210万円まで。これに対しフィットの価格帯は約155万円から250万円までと、実はかなり接近している。理由1の項で「ホンダはトヨタに対し拠点数が半分」と書いたものの、N-BOXのダントツの販売台数を見る限り、ちょっと説得力に欠けてくる。本来ならフィットを売るべき顧客に対しても、売りやすいN-BOXを勧めているケースも少なからずありそうだ。

振り返れば歴代のフィットも、コンパクトカーながらクラス随一の広い室内空間を特徴とし、上位モデルからのダウンサイジング需要を取り込むことで販売を伸ばした。歴史は繰り返されるということか。

苦戦の理由その3 “いいひと”過ぎる!? 流行りの押し出し感が足らない

MOTA編集部に在籍する20代の編集部員Kに若手代表として意見を聞いてみた。「フィットは“いいひと”そう」「ヤリスのほうが“シュッとしてる”」。稚拙な表現に編集者として心配になってくるものの、言いえて妙だ。

4代目フィットは、ユーザーがクルマの移動に対し潜在的に求める「リラックスや癒し」に応える“心地よさ”をテーマに開発された。“いいひと”そうな印象は、まさにホンダの狙い通りの答えということになる。

またフィットでは装備差によるグレード展開ではなく、ライフスタイルに合わせた「BASIC(ベーシック)」、「HOME(ホーム)」、「NESS(ネス)」、「CROSSTAR(クロスター)」、「LUXE(リュクス)」の5つのタイプを設定した。

流行りのクロスオーバーSUVスタイルを採用したCROSSTARや、小さな高級車を想わせるLUXEなど、それぞれが個性的だ。シンプルだけど上質なHOMEも、明るい雰囲気のインテリアの居心地がユーザーに優しく、乗るたびになぜかほっこりさせられる。

“いいひと”からの脱却! N-BOXカスタムのヒットから学ぶ6番目のフィット

さて、同じホンダで売れ行き絶好調なN-BOXの場合はどうだろう。

K編集部員いわく、穏健な“いいひと”のノーマルに加え、ギラっと押しの強いN-BOXカスタムを用意し“シュッとしてる”需要を取り込んでいるとの評価。フィットの場合は“心地よさ”推しだから、どのタイプもおしなべて“いいひと”に見えるのも狙い通り…ではあるのだけれど、そこがちょっと物足りないと話す。

実際、ホンダ N-BOXのノーマルとN-BOXカスタムの販売比率は、2017年の現行型登場時で44:56。好調な売れ行きの半分以上をカスタムが支えている。

N-BOXカスタムが提案するエアロパーツやメッキ加飾によるカスタマイズの格好良さは、従来からの古典的な価値観ではある。しかし、新型フィットの第6のタイプとして“心地よさ”視点も加わったカスタムモデル、“シュッとしてる”のに癒される…そんな価値が創造出来るのであれば、それはぜひ見てみたいところだ。新たな需要喚起にもつながるのではないだろうか。

[筆者:トクダ トオル(MOTA編集部)]

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トクダ トオル(MOTA)
筆者トクダ トオル(MOTA)

昭和44年生まれ。週末は愛車に乗って(時に鉄道に乗って)家族とともにドライブやキャンプを楽しむ1児のパパ。自動車メディアに携わるようになってから15年余りが経過。乗り換えに悩むユーザーの目線に立った平易なコンテンツ作りを常に意識し続けている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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