新型エルグランドの予想価格は500万円〜!? 発売予想時期は2026年

  • 筆者: 渡辺 陽一郎
  • カメラマン:小林 岳夫/佐藤 正巳/茂呂 幸正/日産自動車/本田技研工業/MOTA編集部
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日産の高級ミニバン「エルグランド」のフルモデルチェンジがついに現実味を帯びてきました。2026年にも登場すると噂される新型エルグランドは、「e-POWER」専用車となり、価格も500万円を超えるのでは? と大きな注目を集めています。

最大のライバルであるアルファード/ヴェルファイアとは一線を画し、デザインや走りもスポーティ路線へ大胆に舵を切るとの予測も。

この記事では、現在までに予想されている新型エルグランドの予想価格や発売時期、デザイン、走行性能、先進装備、そして投入背景にある日産の戦略まで、最新情報を元にカーライフ・ジャーナリストの渡辺 陽一郎さんが解説します。

目次[開く][閉じる]
  1. 日産 エルグランドとは
  2. 新型エルグランドの予想価格と発売時期
  3. 新型エルグランドの改良点
  4. なぜ今、新型エルグランドなのか? 日産が抱える課題と戦略
  5. まとめ

日産 エルグランドとは

日産 エルグランドは、Lサイズの上級ミニバンです。ミニバンは国内市場が主力の商品であり、特にLサイズカテゴリーではトヨタのアルファード&ヴェルファイアが強い人気を持っています。

現行の日産ラインナップにおいて、エルグランドは高価格帯モデルの一つであり、今後導入が噂されるLサイズSUV「パトロール」と共に、日産の収益向上とブランドイメージを牽引するイメージリーダーとしての役割も期待されています。

そして今、多くのファンが待ち望むエルグランドのフルモデルチェンジが、いよいよ現実味を帯びてきました。

では、なぜ日産はこのタイミングで新しいエルグランドを市場に投入しようとしているのでしょうか? その背景には、現在の日産が置かれている状況や、今後の重要な戦略が深く関わっています。

その詳しい理由については、この記事の後半で掘り下げて解説します。

新型エルグランドの予想価格と発売時期

新型エルグランドの予想価格は、最も安価なグレードでも約500万円です。装備の充実した売れ筋グレードは550~600万円程度でしょう。

現行エルグランドの最も安価な「250 ハイウェイスター S」グレード(408万2100円/2WD)に比べて約100万円高いですが、e-POWER専用車になって安全装備も充実するための価格上昇と考えられます。

※e-POWERについては、記事の中段「パワーユニット・走行性能:新世代e-POWER専用車へ」にて解説します。

価格の根拠(ライバルの価格)

この予想価格の根拠は、エルグランドのライバル車の価格帯です。

トヨタ アルファードの最も安価な「ハイブリッドX」グレードが510万円、ホンダ オデッセイもハイブリッドの「e:HEV アブソリュート」グレードで480万400円なので、ライバル車との価格競争を考えても新型エルグランドの一番安いグレードは約500万円になるとみられます。

売れ筋グレードの価格帯もアルファードの中間グレードである「ハイブリッドZ」よりも少し安く抑え、競争力を高めるでしょう。

新型エルグランドの発売時期

新型エルグランドの発売は、2026年の中盤から2027年の上旬になると予想されます。

日産は2025年3月26日に今後の商品ラインアップを発表しました。その中で日本市場に向けては「2026年度には、第3世代のe-POWERを搭載した新型大型ミニバンを投入します」と明言しています。

新型エルグランドの改良点

新型エルグランドは、現行型からコンセプトや搭載技術が大きく変更されると予想されます。

主な改良点は以下の通りです。

新型エルグランドの改良点

  • コンセプト
  • デザイン
  • パワートレイン・走行性能
  • 燃費性能
  • 先進安全装備
  • 一つずつ解説します。

    コンセプト:スポーティ路線への転換

    新型エルグランドは、豪華さを前面に出すアルファード&ヴェルファイアとは明確に一線を画し、スポーティな価値を追求するコンセプトを掲げると考えられます。

    ジャパンモビリティーショー2023に出品された「ニッサン ハイパーツアラー」は、プレミアムEVミニバンのコンセプトカーとして発表されましたが、デザインイメージとして想定されます。

    2025年4月22日(火)には、日産の新しいブランドコミュニケーションを発表するイベント「NISSAN START AGAIN 2025」にて、新型エルグランドのデザインの一部が公開されました。

    新型エルグランドのリア

    ミニバンは国内市場が主力の商品で、Lサイズではトヨタアルファード&ヴェルファイアが絶大な人気を誇っています。そうなると新型エルグランドのコンセプトやデザインがアルファード&ヴェルファイアに似ていたら、売れ行きを伸ばせません。

    そのために新型エルグランドは、Lサイズミニバンの王道を行く豪華なアルファード&ヴェルファイアに対して、スポーティな価値を追求する独自路線を進むと考えられます。

    ただし、同じくスポーティさを特徴とするトヨタ ヴェルファイアが存在するため、新型エルグランドはそれに対する個性化や明確な差別化を図ることが、開発における重要なポイントとなりそうです。

    デザイン:都会的でスポーティな見た目

    コンセプトに合わせて、新型エルグランドの外観デザインも都会的でスポーティな方向性になると考えられます。

    この構図は海外を重視したパトロールとトヨタランドクルーザー300にも当てはまります。両者とも悪路向けのSUVですが、パトロールはフロントマスクなどの外観が少し都会的でスポーティです。

    パワーユニット・走行性能:新世代e-POWER専用車へ

    新型エルグランドのパワーユニットは現行エルグランドのガソリンエンジン車を設定せず、新世代(第3世代)のe-POWER(エンジンで発電し、モーターだけで走るハイブリッド)専用車になると予想されます。

    日産のMサイズSUVである「エクストレイル」にも搭載されている圧縮比可変機能(エンジンの動きに合わせて圧縮比を変えられる機構)を備えた直列3気筒1.5Lターボエンジンが発電に徹し、モーターが駆動を受け持つ構成です。

    新世代のe-POWERは、従来のものとは異なり、エンジンを効率の良い一定の回転数で動かすことが特徴です。

    一般的なハイブリッド車では、エンジンが走行にも使われるため、スピードに応じてエンジンの回転数が上下します。しかし、e-POWERはエンジンを発電専用に使い、実際の走行はモーターが担当します。

    そのため、エンジンの回転数を無理に変える必要がなく、効率の良い回転数で安定して動かすことができるのです。

    新しいe-POWERでは、この「特定の回転数」での効率を最大限に高めています。他の回転数での性能は重視しないため、エンジンの設計もその一点に集中させることができます。

    走行中にあまりエネルギーを使わない場面では、発電した電気が余ることがありますが、その分はバッテリーにためておき、バッテリーが十分に充電されたらエンジンを止めて、モーターだけで走ることができます。

    このように「エンジンは発電、モーターは走行」と役割を分けられるのがe-POWERの大きな利点ですが、一方で課題もあります。それは「音」と「振動」です。エンジンが一定の回転数で動き続けると、加速や減速と連動しないため、運転している人が違和感を覚えることがあります。

    こうした課題に対応するため、新世代e-POWERではエンジン音をできるだけ小さく抑えています。試作車に乗ってみると、エンジンがいつ動き始めて、いつ止まったのか、ほとんど気づかないほどです。これは、路面からのタイヤ音や風の音の方が大きいためです。

    このように新世代e-POWERは静かで振動も少なく、快適な乗り心地を実現しており、大型ミニバンのエルグランドにふさわしい高性能なパワーユニットとなっています。

    予想される動力性能はノーマルガソリンエンジンの3.0Lクラスに相当し、扱いやすさや滑らかな加速が特徴となる見込みです。

    走行性能

    新型エルグランドは走行性能においてもスポーティなコンセプトが反映され、床を低く抑えるなど低重心化を図ることで走行安定性を向上させるでしょう。

    これにより、ミニバンというよりもワゴンに近い運転感覚を実現すると予想されます。安定性の向上は、乗員の横揺れを抑え、車酔いを防ぐ効果も期待でき、ミニバンとしての快適性にもつながります。

    燃費性能:18km/L前後が目標となる

    新型エルグランドの具体的な燃費性能はまだ不明ですが、WLTCモード燃費で18km/L前後を目標に開発が進められていると予想されます。

    ライバル車となるアルファード&ヴェルファイアのハイブリッド(2WD)のWLTCモード燃費が18km/L前後であることや、同じ1.5Lターボe-POWERを搭載するエクストレイルが19.7km/L(2WD)であるため、ライバル車とそれほど差が出ないよう、開発が進められるでしょう。

    先進安全装備

    新型エルグランドは安全装備の充実も図られ、先進運転支援技術として「プロパイロット2.0」を採用する可能性が高いとみられます。

    この機能が搭載されれば、高速道路の同一車線内において、ナビ連動ルート走行中の条件下でステアリングから手を離した状態(ハンズオフ)での運転支援が可能となり、ドライバーの運転疲労軽減と安全性のさらなる向上に貢献することが期待できます。

    なぜ今、新型エルグランドなのか? 日産が抱える課題と戦略

    現在、日産は国内での車の売れ行き順位で見ると、2024年度(2024年4月から2025年3月)はトヨタやホンダなどに次ぐ4番手に位置しています。

    日産は様々な車種をラインナップしていますが、実際に国内販売の多くを支えているのは、軽自動車やノートシリーズ、セレナといった、比較的お手頃な価格帯のモデルです。これらを合わせると、国内で売れる日産車の約8割にも達します。

    これは、ユーザーに手頃な価格で車を提供できている一方、日産全体で見ると売れ筋が低価格帯に偏っているという状況を生んでいます。

    その結果、一台あたりの利益が伸び悩み、全国に約2000店舗ある日産の販売店の経営にも影響が出始めています。このままでは、充実した販売・サービス網を維持していくことが難しくなる懸念がありました。

    そこで日産は、この状況を打開し、会社としての収益力を高めるために、利益率の高い、高価格帯の車種にもっと力を入れる戦略を打ち出しました。

    単に販売台数を追うだけでなく、一台一台からしっかりと利益を生み出し、同時に日産ブランド全体のイメージも高めていく狙いです。

    この「高価格帯シフト戦略」の具体的な柱となるのが、海外で人気の大型SUV「パトロール」の国内導入計画や、今回注目されているLサイズ高級ミニバン「新型エルグランド」の発売なのです。

    つまり、新型エルグランドは、単に人気ミニバンのモデルチェンジというだけでなく、現在の日産の課題を解決し、収益力とブランド力を向上させるための重要な役割を担う戦略的なモデルとして投入されるという背景があります。

    まとめ

    登場が待たれる新型エルグランドは、日産独自のe-POWER専用車となり、スポーティな走りと先進技術が大きな特徴となりそうです。プロパイロット2.0などの搭載も期待され、単なる豪華さではない、新しい価値を持つ高級ミニバンとして注目されます。

    このモデルチェンジは、低価格帯に販売が偏る日産の収益構造を改善し、ブランドイメージを高めるための重要な戦略でもあります。ライバルとは違う魅力を打ち出すことで、市場にどのような影響を与えるのか目が離せません。

    2026年中盤から2027年上旬と予想される登場が、日産の未来にとって、そして私たちユーザーにとってどのような変化をもたらすのか、今後の情報公開と正式発表を楽しみに待ちたいと思います。

    【筆者:渡辺 陽一郎 カメラマン:小林 岳夫/佐藤 正巳/茂呂 幸正/MOTA編集部 画像提供:日産自動車/本田技研工業】

    日産/エルグランド
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    新車価格:
    408.2万円837.9万円
    中古価格:
    30.6万円733万円

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    筆者渡辺 陽一郎

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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