フォード マスタングV8 GT Performance Package 試乗レポート/金子浩久(1/2)
- 筆者: 金子 浩久
- カメラマン:茂呂幸正
これが限定30台のマスタングだ!
MINIやフィアット500などのように、何十年も昔の初代モデルのデザインを“セルフサンプリング”して現代風に甦らせたクルマが少なくないが、フォード・マスタングもその一台だ。
マスタングの造形が巧みなのは、全体のシルエットは初代のファストバックモデルを踏襲しながらも、線や面の処理、ディテールなどを現代的に仕立て直し、単なる“レトロ趣味”では終わっていない点にある。現役を張る一台としてまとめられているところが魅力となっている。
たとえば、逆スラントした形状のノーズは昔のマスタングを思い起こさせるが、ヘッドライトは現代のプロジェクターが奥に収まり、鋭い眼光を放っているという具合だ。
エンジンだって、日欧のそれと較べて旧式だと揶揄されることの多いアメリカ車だが、マスタングの5.0リッターV8は、DOHC32バルブにアップデイトされている。それも名ばかりのDOHCではなく、レッドゾーンは7000回転から、最高出力の418馬力は6500回転で発生というように、5.0リッターもの大排気量にしては例外的によく回る。
既存の「V8 GTクーペプレミアム」をベースに、専用の6速マニュアル・トランスミッションを搭載し、併せてファイナルギアレシオをローギアード化。ブレーキには、ブレンボ社製大径ローター&キャリパーを採用。タイヤは、タイヤ幅を拡大したピレリ社製P-Zero(255/40ZR19)を装着する。
前後サスペンションにも、専用にチューニングされたスプリングとストラットとコントロールアームを採用している。その他、専用デザインの19インチアルミホイール、専用色のレッドにホワイトストライプが配されたシート、本革ステアリングホイール、ドアトリムなどが装備されている。
また、この限定モデルだけでなく、2012年モデルのマスタングすべてに電動パワーステアリングのセレクトモードが備わった。コンフォート、スタンダード、スポーツと3種類に切り替えることによって、アシスト量を変化させることができる。
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