今では絶滅危惧種! 軽スポーツカー3選│一世を風靡した「平成ABCトリオ」を振り返る

画像ギャラリーはこちら
2022年3月に生産終了(現在はすでにオーダーストップ)となるホンダの軽スポーツカー「S660」。今や同カテゴリーではダイハツ コペンを残すのみとなってしまった中、今回はかつて一斉を風靡した「平成ABCトリオ」を振り返る。
目次[開く][閉じる]
  1. まるでイタリアンスーパーカーの「AZ-1」
  2. 可愛らしい見た目とは裏腹に、鋭いふけ上りが魅力の「ビート」
  3. ライバルと比べ唯一FRを採用していた「カプチーノ」

まるでイタリアンスーパーカーの「AZ-1」

マツダ AZ-1、ホンダ ビート、スズキ カプチーノからなる懐かしの軽スポーツカー「平成ABCトリオ」。最初に紹介するのは、1989年(平成元年)の第28回東京モーターショーに参考出品したユニークなコンセプトのマイクロクーペを、ほぼそのまま市販化しモデルのマツダ オートザムAZ-1だ。

まるでイタリアンスーパーカーのような低くて地を這うような斬新なスタイル、上下に開くガルウィングドア、プラスチック製のボディ外板、そして外装を簡単に取り外せる“スケルトンモノコック”という特殊なフレームを採用するなど、特徴的なスタイリングの1台だ。

中身もそれに劣らず個性的で、660ccのターボエンジンをドライバーのすぐ後ろに配置するミッドシップレイアウトを採用し、低重心の設計や徹底した軽量化によって優れた運動性能を実現。レーシングカートのようなダイレクトでシャープなハンドリングも「AZ-1」の特徴だった。

搭載するエンジンは、ライバルのスズキ カプチーノやアルトワークスにも搭載されていたF6A型直列3気筒DOHCインタークーラーターボで、最高出力は自主規制値いっぱいの64psを発揮。

座席のすぐ後ろから響く大きなエンジン音や運転時の視線の低さから、体感速度はひときわ高く感じられた。

さらに44:56という前後重量配分、720kgという超軽量な車重、ロック・トゥ・ロック2.2回転というやたらクイックなステアリング機構等により、抜群のコーナリング特性を誇った。

可愛らしい見た目とは裏腹に、鋭いふけ上りが魅力の「ビート」

次に紹介するのは、1991年5月に登場したホンダ ビート。1996年までには「平成ABCトリオ」の中でダントツで多い3万3892台が生産されたモデルだ。

ビートは当時の運輸省(現在の国土交通省)がクルマの急速な高性能化に目を光らせていたこともあり、小さくて安価な車種には「スポーツカー」という表現を使いにくい雰囲気があったため、所謂“スポーツカー”とは呼ばれず「2シーターミッドシップオープンカー」と呼ばれた。また、1990年には「NSX」が発売され、軽自動車のビートは「街乗り」に焦点が当てられていたこともその理由の一つとされている。

見た目は可愛らしさもあるビートだが、軽自動車に初採用されたミッドシップレイアウトの直列3気筒SOHCのエンジンは、軽自動車の自主規制上限の64PSを8100rpmという高回転で発揮するいかにもホンダらしいエンジンだった。トランスミッションはもちろんATの設定などなく、吹き上がりは鋭く、5速MTを駆使する感じがファンを魅了した。

2017年には、ホンダから「ビートをより長く楽しんでいただきたい」という想いのもと、ビートの一部純正部品の生産が再開されている。

ライバルと比べ唯一FRを採用していた「カプチーノ」

最後に紹介するのは、ライバルAZ-1同様に1989年の第28回 東京モーターショーでコンセプトモデルが出展され、その後1991年より販売が開始されたスズキ カプチーノ。

車名の由来は、まさにコーヒーのカプチーノから。「小さなカップに入ったちょっとクセのあるオシャレな飲み物」というイメージが込められている。

ロングノーズ・ショートデッキのボディサイズは、全長3,295mm×全幅1,395mm×全高1,185mmと低く、車両重量に至っては700kgと非常に軽量。

さらにルーフは4分割構造になっていて、クローズ、Tバールーフ、タルガトップ、フルオープンの4スタイルを楽しむことができる。

ライバルのホンダ ビートやマツダのAZ-1がミッドシップ(MR)なのに対し、カプチーノはフロントエンジン・後輪駆動のFR方式を採用し、ハイパワーなエンジンもフロントミッドシップに縦置き搭載するこだわりっぶり。理想的な51:49の前後重量配分を実現している。

現行車種では、ダイハツ コペンのみともはや絶滅の危機に瀕している軽スポーツカーだが、今後新たなモデルの登場はあるのか? 実用性だけではない、楽しいクルマの登場に期待したいところだ。

[筆者:望月 達也(MOTA編集部)]

ホンダ/ビート
ホンダ ビートカタログを見る
新車価格:
152.7万円152.7万円
中古価格:
58万円358.3万円
マツダ/AZ-1
マツダ AZ-1カタログを見る
新車価格:
164.8万円164.8万円
中古価格:
178.4万円277万円
スズキ/カプチーノ
スズキ カプチーノカタログを見る
新車価格:
160.4万円174.5万円
中古価格:
54.4万円280.9万円

この記事の画像ギャラリーはこちら

【PR】MOTAおすすめコンテンツ

検索ワード

望月 達也(MOTA編集部)
筆者望月 達也(MOTA編集部)

1984年生まれ。埼玉県出身。週末はサッカーや自転車でツーリングなど体を動かすことが大好きな1児のパパ。自動車メディアに携わるようになってから10余年、乗り換えに悩むユーザーの目線に立ったコンテンツ作りを常に意識し続けている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

MOTA編集方針

「車好きのみんなが見ているメルマガ」やSNSもやってます!
カー用品・カスタムパーツ
ワンランク上の宿で、贅沢なひとときを... 那須別邸 回

愛車の売却、なんとなく下取りにしてませんか?

  • 複数社を比較して、最高値で売却しよう!

    車を乗り換える際、今乗っている愛車はどうしていますか?販売店に言われるがまま下取りに出してしまったらもったいないかも。1社だけに査定を依頼せず、複数社に査定してもらい最高値での売却を目指しましょう。

  • 事前にネット上で売値がわかるうえに、過剰な営業電話はありません!

    一括査定でよくある最も嫌なものが「何社もの買取店からの一斉営業電話」。MOTA車買取は、この営業電話ラッシュをなくした画期的なサービスです。最大20社の査定結果がネットで確認でき、高値を付けた3社だけから連絡がくるので安心です。

新車・中古車を検討の方へ

人気記事ランキング
  • 最新
  • 週間
  • 月間

新着記事

話題の業界トピックス・注目コンテンツ

おすすめの関連記事

ホンダ ビートの最新自動車ニュース/記事

ホンダのカタログ情報 ホンダ ビートのカタログ情報 ホンダの中古車検索 ホンダ ビートの中古車検索 ホンダの記事一覧 ホンダ ビートの記事一覧 ホンダのニュース一覧 ホンダ ビートのニュース一覧

この記事にコメントする

コメントを受け付けました

コメントしたことをツイートする

しばらくしたのちに掲載されます。内容によっては掲載されない場合もあります。
もし、投稿したコメントを削除したい場合は、
該当するコメントの右上に通報ボタンがありますので、
通報よりその旨をお伝えください。

閉じる