ベントレー 新型コンチネンタルGT試乗|GT性能とスポーツ性能を兼ね備えた万能ラグジュアリークーペ
- 筆者: 大谷 達也
- カメラマン:ベントレー・モーターズ・ジャパン
新たなスタイルに生まれ変わったベントレー コンチネンタルGT
ヨーロッパ大陸を越えて何1000kmも旅するための贅沢なラグジュアリークーペ。それがベントレーの作るコンチネンタルGTだ。コンチネンタル=大陸、GT=グランドツアラーを意味するモデル名が、その目的を端的に説明している。
そんなコンチネンタルGTがフルモデルチェンジを受けて3代目となり、スポーツカーと見紛うような低くて精悍なスタイリングに生まれ変わった。
「ん? グランドツアラーとスポーツカーってなにが違うの?」そんな疑問を持たれても不思議ではない。
ハイパワーのエンジンと、高速の長距離移動を苦もなくこなすしっかりした足回りを備えていることはどちらも同じ。ただし、スポーツカーのエンジンはただ高出力なだけでなく俊敏な走りに必要なレスポンスのよさも求められるだろう。
一方、GTのエンジンは長時間走り続けてもビクともしないスタミナが要求される。少し硬めな足回りにしても、スポーツカーはワインディングロードを軽快に走り抜ける機敏さが必要となるが、GTは長距離を淡々と走り続けても疲れにくい直進安定性が重要となる。
室内だって、クルマとの一体感が求められるスポーツカーはある程度タイトなほうが好まれるけれど、GTはロングドライブ主体だから少しゆったりとしたスペースが欲しくなる。長時間を車内で過ごすことを考えたら贅沢な装備だっておろそかにできない。
GTの良さとスポーツカーの要素を取り込んだラグジュアリークーペ
いずれにせよ、GTはスポーツカーに比べて背が高くなりがち。スポーツカーは、高いコーナリング性能を実現するにはクルマの重心を低くする必要があるから、必然的に背が低くなる。つまり、使い方の違いはその外観にも現れてくるわけだ。
ここで改めて新型コンチネンタルGTを見ると、まるでスポーツカーのように背の低いクルマに仕上がっていることに気づく。ところが、これは目の錯覚に過ぎず、実は新型の全高は旧型とほとんど変わらない。つまり、室内のゆったりとしたスペースはそのまま新型に引き継がれているのだ。
3代目のコンセプトはここにある。すなわち、グランドツアラーの良さを失うことなくスポーツカーの要素を取り込んだラグジュアリークーペが新型コンチネンタルGTなのである。
高いポテンシャルを誇るポルシェが開発したプラットフォーム
たとえばクルマの土台となるプラットフォームは同じVWグループのポルシェが中心になって開発したもので、基本レイアウトはスポーツカーにも使えるほど高いポテンシャルを備える。
これまでコンチネンタルGTは、高い高速安定性を実現するためにフルタイム4WDを採用してきたが、前後のトルク配分は直進性重視の前後均等に近い従来のものから、新型では後輪駆動に近いトルク配分として軽快なコーナリング性能を実現。ただし、トルク配分を電子制御式とすることで、必要とあらばこれまでどおり前輪に多くのトルクをもたらすこともできる。
ゆったりとして快適な乗り心地を実現するエアサスペンションにも改良の手が加えられた。バネの役割を果たす空気の量を60%増しにした3チャンバー式を採用して、ソフトな乗り心地からスポーツカーのようなハードなセッティングまで調整できるようにしたのだ。
スポーツカーでもGTとしても使える6リッターツインターボエンジン
V6エンジンをふたつ並べたような凝ったレイアウトのW12 6リッターツインターボエンジンは、燃料噴射インジェクターをインテークマニフォールドと燃焼室のふたつに設けたダブルインジェクション方式に改め、中低速のレスポンスと全開時の大出力を高い次元で両立した。
それこそスポーツカー用としてもグランドツアラー用としても使える万能エンジンに仕立てられたのである。
ラフロードでも高速走行でも車内は静かで快適
国際試乗会のコースは、オーストリアのチロル地方からアルプスを越えてイタリアまで駆け抜けるというもの。スポーツカーとグランドツアラーの性能を見極めるには、まさにうってつけの舞台といえる。
走り始めると、まずベントレーらしい優しい乗り心地であることに気づく。どんなに路面が荒れていても、どんなに高いスピードでも、車内は静かで快適そのもの。室内スペースだって先代と変わらないくらい広々している。これだったら、どれほど長い距離を走っても疲れないはずだ。
ところが、アルプスの山道を走り始めてみると、コーナーでは2代目までのどっしりとした印象とは打って変わり、ステアリング操作にノーズが軽快に反応。ストレスなくスポーツドライビングが楽しめる。
ポルシェが中心となって開発したプラットフォーム、それに後輪駆動に近い駆動力配分が威力を発揮しているのだろう。
峠を駆け下りても踏み応えが変わらない秀逸なブレーキ
ブレーキもまた素晴らしかった。今回はオーストリア・アルプス最難関ともいわれる標高2504mのグロースグロックナー峠を一気に駆け下りたけれど、ブレーキペダルの踏み応えは最後まで変化しなかった。
これは、乗用車用としては最大とされる直径420mmのスチール製ディスクローターと10個のピストンでブレーキパッドを押さえつける10ピストン・ブレーキキャリパーを採用した恩恵に違いない。
豪華なインテリアは細部にまで職人技が光る
これまでも目を見張るほど豪華だったインテリアは、さらに贅沢に生まれ変わった。熟練の職人が手作業で仕上げた最上級のレザーシートは、今回新たにダイアモンド・イン・ダイアモンドと呼ばれる手の込んだステッチを採用。これは、ひとつのダイアモンドを形作るのに712針もの刺繍が必要で、クルマ全体では31万675針という途方もない手間がかかっている。
ダッシュボードに用いる素材を上下2分割で別々モノを選べるようにしたのも新型コンチネンタルGTの新機軸。1台に使用されるウッドの総面積は1台あたり10平方メートル以上で、こちらもベテラン職人が9時間もかけて仕上げるという。
もうひとつの特徴がダイアモンド・ナーリングと呼ばれる機械加工。ブルズアイと呼ばれるエアコンの吹き出し口やセンターコンソール周りのダイヤルなどに設定された、まるで宝石のようにきらめくこのデザインは、光りを複雑に反射させるために多数の小さな面によって構成されるだけでなく、ひとつひとつの面と面の間にコンマ3mmほどの段差をつけて滑り止めにするという細やかな気遣いに溢れている。
こんな贅沢なクルマで走ったら、きっとヨーロッパ大陸だってひとまたぎだろう。どうやら、コンチネンタルGTの名に偽りはなさそうだ。
[TEXT:大谷達也/PHOTO:ベントレー・モーターズ・ジャパン]
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