ボルボ V70&XC70 海外試乗レポート(1/3)
- 筆者: 河村 康彦
- カメラマン:ボルボ・カーズ ジャパン
V70はよりゴージャスに、XC70はよりワイルドな方向へ
ボルボ最初のエステート――『PV445』なるそのモデルが誕生をしたのは1953年の事。まるでボンネット・バスのような2段重ね風ノーズに、いかにも“積めそう”なボリューム感たっぷりの箱型キャビンをドッキングさせたデザインのこのモデルに、『デュエット』なる愛称が与えられたのは「ビジネスとレジャーを共にこなす」という意味も込められてのものだったと言う。
そんなステーションワゴンの先駆者の誕生から軽く半世紀余り。従来型の登場から7年ぶりのフルモデルチェンジを行ったのが、ボルボを代表するモデルでもあるV70と、そこにSUV風味を加えた派生モデルのXC70だ。
これまで“プレミアム・ワゴン”のセグメント・リーダーとなってきたV70だが、数えて3代目となる今回もそうした基本的なスタンスは変わっていない。それどころか、新型がこれまでのモデル以上にラグジュアリーでプレミアムなステーションワゴンというキャラクターを強調しようとしている事は、ボディサイズが拡大され、V70史上では初の6気筒モデルがラインナップに加えられた事からも明らか。一方で、このところの世界的なクロスオーバー・ブームの高まりに応えるように、その先駆車でもあるXC70がよりSUV風味を強調しての再デビューとなった事も今回のモデルチェンジでのポイントだ。
大径のタイヤやワイドなフェンダー、プロテクターパネルの採用などでベース仕様に対する見た目上の差別化を図ろうとするクロスオーバーモデルはこのところ少なくない。が、新型XC70の場合にはグランド・クリアランスや路面に対する各障害角、渡河能力をアップさせるなど、実際のオフロード性能を引き上げるリファインを施してきた点が注目に値する。すなわち、構造的には従来型の場合と同様に同じハードウェアを基本とはしているもののV70はよりゴージャスに、そしてXC70の場合にはよりワイルドな方向へと、キャラクターの棲み分けがより明確化したという事。
ちなみに、高さを増したボディを採用するXC70は、より低い位置にいる他車との衝突時に既存のバンパー位置ではすれ違い現象が発生してしまう事を想定。より低い位置にクロスメンバーを追加設置する事で対向車のバンパーとの衝突を確実化し、加害性が増す事を防ぐ構造を新採用している。
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