やっぱランクルにはディーゼルでしょ!/トヨタ ランドクルーザープラド ディーゼル搭載モデル 試乗レポート(4/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:小林岳夫
プラドのガソリンエンジンモデルを推奨しない理由とは
ランドクルーザープラドのディーゼルエンジン搭載車は、3グレードを設定している。TX・Lパッケージ(469万6037円)と試乗したTZ-G(513万3927円)は、本革シートが装着されることもあって価格が割高だ。そこでベストグレードはTX(396万4582円)としたい。電子制御式エアサスペンション、プリクラッシュセーフティシステム(緊急自動ブレーキを作動できる衝突回避の支援機能)はTZ-Gのみの設定で装着できないが、価格は400万円以下に収まる。
ちなみにランドクルーザープラドには直列4気筒の2.7リッターガソリンエンジンも用意される(従来のV6 4.0リッターガソリンモデルは2015年7月のディーゼル追加により廃止)が、車両重量に対して動力性能が低いので推奨できない。またディーゼルとの価格差は意外に小さい。
実質的な価格差20数万円も、走行4万キロ弱で回収出来てしまう
TX同士でディーゼルとガソリンを比べると、前者が61万4619円高いが、24万円の補助金交付を受けられるため、差額は37万4619円に縮まる。さらにガソリンはエコカー減税の対象外だから、これも含めると実質差額は22万9419円だ。
そこでレギュラーガソリンの価格が140円、軽油が120円、実用燃費がJC08モードの85%で計算すると、1km当たりの燃料代はディーゼルが12円、ガソリンが18.2円になる。1kmで6.2円の差額だから、約23万円の実質価格差は、3.7万kmで取り戻せる計算が成り立つ。
しかもディーゼルは駆動力が高く、2.7リッターのガソリンに比べると最高出力は109%、最大トルクは183%まで増強されて、運転感覚は前述のように強力だ。
となればディーゼルが圧倒的に買い得だろう。
「ハイブリッドのトヨタ」次の一手。クリーンディーゼルの拡大採用にも期待したい
アイドリングストップを備えないことからも分かるように、ランドクルーザープラドが搭載するディーゼルの本質は、悪路の走破に適したパワーユニットで、環境性能を高めることが目的ではない。しかし次世代高断熱ディーゼル燃焼、小型で高効率なターボの採用などにより、クリーンディーゼルターボの性能も備える。となれば改善を加えて、今後はこのディーゼルを幅広いトヨタ車に搭載して欲しい。
トヨタではハイブリッド以外の次世代型高効率エンジンラインナップにガソリンの2リッターターボも用意するが、エコカー減税に該当するのは「レクサスNX」の200tのみ。「IS200t」と近々「クラウン」に採用されるグレードは減税対象外だ。つまり環境対応はもっぱらハイブリッドだが、ユーザーによって好みが分かれる。ランドクルーザープラドを皮切りに、ディーゼルにも踏み出して欲しい。
先ごろ「メルセデス・ベンツ Sクラス」がディーゼルハイブリッドの「S300h」を投入したが、本当はここで「ハイブリッドのトヨタ」に一番乗りをして欲しかったところだ。トヨタ車による「ディーゼルハイブリッドの真打ち登場!」にも期待したい。
[レポート:渡辺陽一郎/Photo:小林岳夫]
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TOYOTA LAND CRUISER PRADO TZ-G[2.8L DIESEL/FULLTIME 4WD] 主要諸元
全長x全幅x全高:4760x1885x1835mm/ホイールベース:2790mm/車両重量:2300kg/駆動方式:四輪駆動(フルタイム4WD)/乗車定員:7名/エンジン種類:インタークーラー付ターボチャージャー 直列4気筒 DOHC コモンレール式直噴ディーゼルエンジン/使用燃料:軽油/総排気量:2754cc/最高出力:177ps(130kW)/3400rpm/最大トルク:45.9kgf-m(450N・m)/1600-2400rpm/トランスミッション:フレックスロックアップ付スーパーインテリジェント6速オートマチックトランスミッション/燃料消費率:11.2km/L[JC08モード燃費]/タイヤサイズ:265/60R18タイヤ/メーカー希望小売価格:5,133,927円[消費税込み]
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