アクアの人気は新型プリウスの登場で“失速”してしまうのか(3/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
新型プリウス vs アクア比較/燃費・価格
JC08モード燃費は2015年10月18日掲載のガイドでもお伝えしたように、最も価格の安いEが「40km/L」で、それ以外のグレードは「37km/L」だ。新たに設定される後輪をモーターで駆動するE-Fourと呼ばれる4WDは「35km/L」。
アクアは2WDのみの設定で、標準グレードのJC08モード燃費は「37km/L」。外観をSUV風にアレンジしたXアーバンは「33.8km/L」だ。
このように新型プリウスの燃費が22%ほど向上するため、アクアと同等の数値になる。プリウスの価格は本稿を執筆している2015年11月上旬時点では未定だ。それでも2015年10月18日にお伝えしたとおり、Eが240~245万円、Sは250万円前後、Aは280万円前後と予想される。
アクアの売れ筋になるSは188万7,055円だから、新型プリウスSは約60万円高いが、アクアでは新型プリウスに標準装着されるサイド&カーテンエアバッグ、LEDヘッドランプ、スマートエントリーなどがオプション設定になる。これらをアクアに装着すると約25万円の上乗せだから、実質的な価格差は35万円くらいだ。
新型プリウスが発売されて、果たしてアクアの売れ行きは!?
以上のように比べると、買い得なのは新型プリウスだろう。ただし新型プリウスはボディが大きく、取りまわし性も良くない。ダウンサイジングの市場動向も踏まえると、アクアの売れ行きが大幅に下がることはないだろう。
新型プリウスとアクアでは、ユーザーニーズが違うわけだ。そうなるとプリウスが新型になって売れ行きを伸ばした分だけ、トヨタ車の売れ行きも増えそうだが、そうもいかないと思う。
今のプリウスはトヨタの全店が扱うから、ヴォクシー、ノア、エスティマ、マークX、プレミオ、アリオンなど、いろいろなトヨタ車のユーザーが新型プリウスに代替えするからだ。
特に子育て期間を終えたミニバンユーザーからの代替えは多い。となれば新型プリウスの売れ行きが伸びる半面、既存のトヨタ車の売れ行きが少しずつ下がる。
またプリウスαとプリウスPHVは、イメージが古くなってしまう。新型プリウスが登場してしばらくはトヨタ車の販売台数が伸びるが、長期的に見れば従来とさほど変わらないと思う。
それにしてもトヨタ車は、依然としてハイブリッド色が強い。クラウンは2リッターのターボを新たに導入したが、アスリートのみの設定で、エコカー減税にも該当していない。プリウスも第4世代に入り、トヨタのハイブリッド車はかなり充実した。
今後は小排気量ターボの燃費を向上させて割安に供給すると、ユーザーの選択肢がさらに広がるだろう。
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