トヨタ・日産・ホンダ・スバルの“4大ワークス”が手がけたチューニングカーを試乗!|vol.1 トヨタ TRD/スバル STI編(1/2)

4大メーカーが一堂に会する貴重な試乗会に参加

量産を超えた領域で調律(=チューニング)を行なうのが、メーカー直系のワークスチューナーの役目である。モータースポーツ活動で培った技術やノウハウを量産車にフィードバックすることでスポーツイメージを引き上げることが目的で、メーカー直系のメリットを活かしたアイテムを用意している。

そんな中、毎年恒例となるトヨタの“TRD”、日産の“NISMO”、スバルの“STI”、ホンダの“無限”のワークスチューナー4社合同の試乗会が行なわれた。今回の試乗ステージは「日本のニュル」とも呼ばれる、“群サイ”こと群馬サイクルスポーツセンターだ。道幅は狭くエスケープゾーンは皆無、路面は凹凸が激しい上に滑りやすい・・・と、クルマにもドライバーにも非常に厳しいコースだが、ここで開催する=クルマに自信の表れでもある。

本ページではまずTRDとSTIの各モデルについてレポートしよう。

TRDはエスクァイアと86、両極端な2台を試乗

ESQUIRE Gi“Premium Package”TRDは最小限の変更で最大限の効果を生み出した!

トヨタのワークス部隊である“TRD”(トヨタ・レーシング・ディべロップメント)が持ち込んだのはエスクァイアと86の2台。エクスァイアはトヨタのMクラスミニバン三兄弟の中で高級・上質をアピールするモデルで、内外装はヴォクシー/ノアと差別化されているが走りの部分は同じ。個人的にはローレルスピリット的なモデルで正直ガッカリだが、TRDは最小限の変更で最大限の効果を生むアイテムをプラスすることで走りを最適化させている。

その一つが「ドアスタビライザー&ブレースセット」だ。ドアスタビライザーはドアと車体の隙間を埋めて剛性を向上させる効果があり、86乗りの間では定番アイテムとなっているが、スライドドアには装着できない。そこでエスクァイアの場合フロントはドアスタビライザー、リアは専用ブレース(標準装備品と交換)を装着することで、ボディ全体が均等に剛性アップするようにバランスを整えている。

体幹を鍛えたボディに組み合わせるのが「スポルティーボサスペンション」と「17インチアルミホイール(TF4A)&タイヤ(グッドイヤーイーグルRV-F)」だ。

ESQUIRE Gi“Premium Package”TRDは“理想のノーマル”だ

その走りはチューニングモデルと言うよりも「理想のノーマル」で、操舵してからの前後の位相遅れ、グラッと来るロールと言ったノーマルで感じていた不快な動きが見事に抑えられ、背の高さを感じさせない安心感のある走りを “違和感”なく“自然に”実現しているが、快適性はほぼ犠牲になっていない。

結果的にはスポーティな味付けになっているのだが、走り一辺倒ではなく快適性を含めて走りの質感を高めたミニバンの“GT”のような味付け。もちろんヴォクシー/ノアにも装着可能だが、個人的にはエクスァイアのキャラクターにマッチしている乗り味だと感じた。

また、エアロパーツも力強さやインパクト重視のヴォクシー/ノアに対し、スポーティだけど優雅で洗練されたスタイルに仕上がっているのも嬉しいポイントである。

KOUKI 86 TRDは年を重ねて大人になった!?

一方、86は2012年の登場以来、TRDでは様々な機能部品を取り揃えているが、後期モデルに合わせてアップデート。新たにデザインされたエアロパーツ(“空力操安”にこだわっている)やストリートでの扱いやすさをプラスさせたサスペンション(フリクション低減)なども用意されるが、注目は新発想の補強パーツ「モーションコントロールビーム(MCB)」だ。単なる補剛バーではなく内部に皿バネと摩擦板が入る「減衰機構付き補強アイテム」で、リジッドの補強と異なり外部の入力をいなすことで操安性と快適性の両立が可能だ。

その印象は「TRDも大人になったな…」である。前期用はどちらかと言うとレスポンス重視のセットアップで、全域でキビキビ感は高かったものの、高速域では若干シビアな特性が顔を出していたが、後期用は素早い操作の時はTRDのキビキビ感はそのまま、ゆっくり操作の時は例えるならSTIの tSのような心地よいダルさをプラス。恐らく、MCB装着によりロール速度のコントロールや内輪をより使えるようになっているのだろう。

GAZOO Racingの“GR”との差別化が今後の課題

リセッティングされたサスペンションは全体的には締まった乗り味だが、しなやかな足の動きとロードホールディングの高さも相まってコントロール性は抜群。今回は路面条件の厳しい“群サイ”の上に、試乗当日はウエットと言う走行条件だったが、それでもコース幅をいっぱい使えるくらいの安心感があった。これはメカニカルグリップに加えエアロパーツによる空力操安も大きく寄与しているはず。

そういう意味では、エスクァイアと違い「ノーマルのネガを消す」ではなく「ノーマルの良さを引き上げる」チューニング。ノーマルの軽快感を活かしながら全体のレベルを引きあげることで年齢層を問わないマルチパフォーマンスな一台に仕上がっていると思う。

どちらもハードとしては優れているが、厳しいことを言うとエクスァイアも86もGAZOO Racingがプロデュースするスポーツブランド“GR”とコンセプトが非常に似ているのが気になる。もちろん乗り比べれば両車の違いは感じるのだが、個人的には「これはTRDだよね!!」と明確に感じられるコンセプトメイクやクルマ作りを期待したい所だ。

トヨタ/86
トヨタ 86カタログを見る
新車価格:
267.2万円506万円
中古価格:
82.8万円865.9万円
トヨタ/エスクァイア
トヨタ エスクァイアカタログを見る
新車価格:
296.3万円346.1万円
中古価格:
75万円416.1万円
トヨタ/ヴォクシー
トヨタ ヴォクシーカタログを見る
新車価格:
309万円396万円
中古価格:
22万円971.3万円
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山本 シンヤ
筆者山本 シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し。「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“解りやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。西部警察は子供時代にリアルでTV放送を見て以来大ファンに。現在も暇があれば再放送を入念にチェックしており、当時の番組事情の分析も行なう。プラモデルやミニカー、資料の収集はもちろん、すでにコンプリートBOXも入手済み。現在は木暮課長が着るような派手な裏地のスーツとベストの購入を検討中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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