トヨタ・日産・ホンダ・スバルの“4大ワークス”が手がけたチューニングカーを試乗!|vol.1 トヨタ TRD/スバル STI編(2/2)

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STIが人気のインプレッサとレヴォーグをどう料理する!?

STIのお家芸“補強パーツ”って何だ!?

続いてスバルのワークス部隊である“STI”はインプレッサとレヴォーグSTIスポーツの2台だ。どちらのチューニングも独自理論のフレキシブル補剛アイテムで体幹を鍛えているのがポイントだ。

一般論ではボディが硬い=剛性が高い=走りはよくなると言われ、サードパーティからも様々な剛性アップパーツが発売されているが、装着することで改善される部分と逆に悪化してしまう部分もある。STIは「ボディの“どこ”に剛性を足すべきか?」を考え、そこから生まれたアイデアが“柔軟性”を持たせた補剛パーツであった。

その一つ「フレキシブルタワーバー」は、左右のバーは中央に球体のジョイントで繋がれている。これにより左右方向はガッチリと硬めてボディの歪みを抑え応答性を高める一方、上下方向はジョイント部分がしなることで、路面からの衝撃をいなすため、乗り心地や音/振動を犠牲にしない……と言う二律背反をクリアしている。2007年に発売以来STIの定番アイテムとなり、販売は今年で10万本を超えるそうだ。

もう一つの「フレキシブルドロースティフナー」は車体とサブフレームへの力の伝わり方に僅かな差が、操舵する際の反応遅れを生むことに着目したアイテムである。あらかじめ“バネ”の力で適度に引っ張る力を加えることで、クルマがいつでも反応できるような状態を走る前から作ることで、結果として操作に対して素直にクルマが動く……と言う自然で気持ちのいい動きを実現させている。

STIパーツを組み込んだスバル インプレッサはまるで“STIスポーツ”だった

新型インプレッサには2大アイテムのフレキシブルタワーバーとフレキシブルドロースティフナーに加えて、リアサスペンションの動きをより滑らかにする「ラテラルリンクセット」と「17インチアルミホイール」を装着。外観はこちらもSTI定番アイテムとなっている「フロントアンダースポイラー」、「サイドアンダースポイラー」、「リアルーフスポイラー」を装着。

新型インプレッサはSGP採用で、走りのポテンシャルは大きくレベルアップしているが、これらのアイテムをプラスすることで、ステアフィールはより滑らかでスッキリ、足の動きはしなやかで質感が高く、サスペンションを変更したかのよう。そう、コンプリートカーのように高度に調律された繊細な乗り味に“深化”しているのだ。例えるなら「インプレッサにSTIスポーツがあったらこんな感じ?」と言ったイメージである。

ちなみにエアロパーツは控えめなデザインだが風洞実験と実走行で煮詰められており、有り無しで比較すると直進安定性や操舵時の安定感など確実に効果がある機能部品である。

スバル レヴォーグ 1.6 STI Sport STI Performance パーツ装着車(市販モデル・C型)に改めて試乗してみた

一方、レヴォーグSTIスポーツはスバル/STI共同開発の量産コンプリートカーだが、STIとしては量産モデルであるが故にやりたくでもできなかった部分を中心に手を入れ、従来のtS相当に作り込んだモデルである。

ベースは最新モデルではなく大幅改良前のモデル(C型・1.6L)で、「フレキシブルタワーバー」、「フレキシブルドロースティフナー」、「エアロパーツ(STIスタイルパッケージ)」に加えて、サブフレームの剛性バランスをチューニングすることで、後輪の接地性をより高める効果がある「フレキシブルサポートサブフレームリア」、「ローダウンスプリング(-7mm)」、「19インチアルミホイール」や「スポーツマフラー」、「ドリルドディスクローター&ブレーキパッド」なども装着する。

ノーマルに対して操作に対する反応がピュアになっているのと、リアの安定感の高さはそのままに4つのタイヤをより上手使って曲がる印象で、最終的には安定方向だが、その過程でのコントロールの自在性が増している。

サスペンションの動きもノーマルよりスムーズさが増しておりダンプマティック2の良さがより活かされているのと、前期型のレヴォーグのウィークポイントの一つである「リアサスの収まりの悪さ」も薄れている。

また、スポーツマフラーは排圧を40%軽減したことにより、実用域のトルクアップやアクセルを踏んだ時のピックアップが改善。これなら「1.6Lでもいいな」と思わせるくらい。そして最近のスポーツマフラーでは数少ない心地よいサウンドが印象的だった。

ただ、SGP+STIパーツ装着のインプレッサと比較すると、操舵の滑らかさやリアサスの動かし方などに粗さがあり、ノーマル以上に素性の違いを感じた。もしベース車が大幅改良モデル(D型)なら、印象がどう変わるのか……気になる所である。

ただ、古くからSTIパーツをテストしてきた筆者としては、フレキシブル補剛パーツによるベース車からの伸び代が以前よりも少なくなっているのも事実だ。これはベース車が着実に進化をしている証拠でもあるが、スバルの半歩先を行くSTIとしては、そろそろフレキシブル補剛アイテムを超えるような新アイテムで我々を驚かせてほしい。

[Text:山本シンヤ/Photo:和田清志]

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山本 シンヤ
筆者山本 シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し。「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“解りやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。西部警察は子供時代にリアルでTV放送を見て以来大ファンに。現在も暇があれば再放送を入念にチェックしており、当時の番組事情の分析も行なう。プラモデルやミニカー、資料の収集はもちろん、すでにコンプリートBOXも入手済み。現在は木暮課長が着るような派手な裏地のスーツとベストの購入を検討中。記事一覧を見る

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