シルビアや180の復活はないのか?日産が86やスープラに続かないワケ(2/2)

シルビアや180の復活はないのか?日産が86やスープラに続かないワケ
日産 IDx 日産 IDx 日産 IDx 日産 IDx 180sx S13(1988年~1993年) J's 1988年 S13(1988年~1993年) K's <オプション装着車> 1988年 S13(1988年~1993年) Q's 1988年 S14(1993年~1999年) K's Type S (ボディカラーは特別塗装色) 1993年 S15 FT-1 画像ギャラリーはこちら

プレミアムスポーツカーがあるとシルビア的なクルマは生まれにくい

ホンダ NSXRX-VISON

そのほかにも、シルビア復活の可能性が低い理由が幾つかある。

ひとつは、大手自動車メーカーは今後、モデルラインアップを縮小する動きが明確になっていく点だ。そのなかで、スポーツカーを2種類以上揃えることは難しい。ご時勢として、スポーツカーの販売数が大きく伸びるとは期待できないため、メーカーとしては少量でも利益率の高い高級スポーツカーを尊重する。それがホンダ NSXや、日産 GT-R、さらには量産化の噂が絶えないマツダ RX-9だ。

このなかで、マツダの場合、小型スポーツカーのロードスターはマツダのDNAであり、会社のシンボルのため作り続けることが必須という、特別な事情がある。そして、マツダ第七世代の終わりまでは、モデルラインアップが続くことも日系メーカーとしては珍しい動きであることを付け加えておく。

また、トヨタの場合、スープラ復活がほぼ確定と噂されるのは、トヨタらしい『各セグメントでの取りこぼしをなくす』という戦略の一環だ。

第二に、海外市場の日産の商品戦略だ。アメリカでは新型ローグが好調など、アメリカでのオーソドックスなセダンとSUVの路線をキープ。欧州では、小型SUVのキャッシュカイがロングセラー。中国でも若い世代を中心に、これまで常識的だったセダン需要がSUVやクロスオーバーに転移している。

こうしたなかで、シルビアが復活してもハマる余地が見当たらない。

単なる復活劇ではなく、まったく新しいクロスオーバーに期待

S15

以上のように、日本及び世界各地の自動車産業の情勢や、他銘を含めた商品構成を鑑みると、“シルビア復活”の可能性は極めて低い。

仮に筆者がいま、日産の担当役員で、最終的な販売を下す立場にいたとするならば、『シルビア復活企画書』にGOの印は押さない。

それよりも、神奈川県厚木市と追浜市のNTC(日産テクニカルセンター)に対して、デザインと走行機能で革新的な要素を取り入れた、250~350万円程度のまったく新しいクロスオーバーの早期量産化を指示するだろう。

日産シルビアを愛する者としては、シルビアの思い出は心の中にそっと置いておきたいと思う。

[Text:桃田健史]

>>S13~S15シルビアや180、AE86など写真で振り返る(画像22枚)

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桃田 健史
筆者桃田 健史

日米を拠点に、欧州、BRICs(新興国)、東南アジアなど世界各地で自動車産業を追う「年間飛行距離が最も長い、日本人自動車ジャーナリスト」。自動車雑誌への各種の連載を持つ他、日経Automotive Technologyで電気自動車など次世代車取材、日本テレビで自動車レース中継番組の解説などを務める。近著「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」(ダイヤモンド社)。1962年東京生まれ。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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