レクサス 新型NX実燃費レポート|マイナーチェンジしたNXの燃費はどう変化したか?徹底評価!(2/3)
- 筆者: 永田 恵一
レクサス NXとは
1989年にアメリカでの展開を開始し、日本では2005年に開業したトヨタの高級車ブランドであるレクサスは、間もなくフルモデルチェンジされるフラッグシップのLSやGS、ISといったセダンのイメージが強いかもしれない。しかし、日本も含め販売台数が多いのはラージクラスのRXを筆頭とするSUVとなっており、レクサスは日本ではRXやトヨタブランドのランドクルーザー200をベースとしたLX、海外ではRXとLXに加えランドクルーザープラドをベースにしたGXといったSUVをラインナップしている。今回テストしたレクサスNXは日本ではメルセデス・ベンツ GLC、BMW X3、アウディ Q5、ポルシェマカン、ボルボ XC60といった輸入車がライバルとなるプレミアムミドルSUVとして2014年7月に登場し、今年9月にマイナーチェンジを受けた。
レクサス NXは乗用車、高級車の要素も強く備えるプレミアムクロスオーバーSUVとして開発され、「プレミアムアーバンスポーツギア(都市や都会に似合い、高級感とスポーティなスタイルや走りを持つ、高機能な道具)」というコンセプトを持つ。
登場当初は発売から1カ月で700台の月間販売目標台数に対し、その約14倍となる9500台もの受注を集めたことでも話題になった。
プラットホームは、MCプラットホームを使うため、トヨタブランドでは車格やジャンルを含めるとハリアーに近い車といえる。しかし輸入車がライバルとなるレクサスブランドだけに、通常のスポット溶接より細かいピッチで溶接する「レーザースクリューウェルデイング」やパネルを面で結合し、剛性の向上と振動の減衰特性を高める「構造用接着剤」といった高度な生産技術の導入を含めた軽量かつ高剛性のボディ、新設計のサスペンションなどを採用し、高品質な走りも目指している。
エンジン、トランスミッションといったパワートレーン系はマイナーチェンジ前から同じで、現在販売されているハリアーにも搭載される2リッター直4ターボと、2.5リッター直4エンジンに駆動用と発電用の2つのモーターを持つハイブリッドの2つだ。
レクサスNXの登場時に初搭載となった2リッター直4ターボは最近日本車でも増えつつある「エンジンを小型化、小排気量化し、性能の低下はターボやスーパーチャージャーといった過給機で補い、軽量化も含めて性能はそのままに燃費を向上させる」というダウンサイジングターボだ。このエンジンは燃費とパワーを両立する直噴に加え通常のポート噴射のインジェクターも備える「D-4ST」と呼ばれるターボエンジンで、最高出力238馬力&最大トルク35.7kgmという性能を持ち、過給機を持たないNAエンジンで考えれば3リッター級の最高出力と3.5リッター級の最大トルクを実現。組み合わされるトランスミッションはハリアー2リッターターボなどと同じ6速ATで、カタログに載るJC08モード燃費は12.4~13.0km/Lとなる(駆動方式はFFと4WD)。
車名がNX300hとなるハイブリッドも197馬力というシステム出力を含め基本的にはハリアーハイブリッドと同じであるが、ハイブリッドの制御をスポーティな方向とし、アクセルを踏んだ際のレスポンスなどを向上。JC08モード燃費は19.8~21.0km/Lで、ハイブリッドにもFFと後輪はモーター駆動となる4WDが設定される。
エコカー減税ではハイブリッドが全グレード取得税、重量税の免税、2リッターターボは4WDの全グレード、FFも車重がオプション装着で1770kg以上になると取得税20%、重量税25%減税が適応となる。
2017年9月のマイナーチェンジ概要
今年9月のマイナーチェンジでは以下のような変更、改良が施された。
・流れるように点灯するLEDシーケンシャルターンシグナルランプ(ウインカー)の採用やナビディスプレイ画面の拡大といった内外装の変更
・サスペンションのチューニングやショックアブソーバーの変更によるハンドリングと乗り心地の向上
・ドライブモードセレクトにパワートレーン、シャシー、空調の各制御の組み合わせを自由に選択できるカスタムモードを追加
・予防安全装備をミリ波レーダーと単眼カメラからの情報を基盤に、歩行者も含めた自立自動ブレーキ機能、車線逸脱を単眼カメラで車線を検知し、車線逸脱をアナウンスしステアリング制御で防止も行うレーンディパーチャーアラート、停止まで対応する先行車追従型のアダプティブクルーズコントロール(以下ACC)、夜間ロービームより遠くを見通せるハイビームを先行車や対向車に直接当てずに積極的に使うアダプティブハイビームシステムから構成される予防安全パッケージ「レクサスセーフティシステム+」に進化。
※「レクサスセーフティシステム+」の内容はハリアーなどの比較的高額なトヨタ車に採用される「トヨタセーフティセンスP」と同等だ。
その点はともかくとして、「レクサスセーフティシステム+」は、NXと同等の性能を持つと思われるRXが、国が行うJNCAPの試験で、停止車両に対しては50km/h、歩行者の飛び出しに対しても日中であれば車両などの遮蔽物がなければ55km/h、遮蔽物がある場合でも35km/hからの停止が確認されている。マイナーチェンジ前のNXに比べれば非常に大きな進歩であり、輸入車がライバルとなるプレミアムSUVに付く自立自動ブレーキと考えても、まあ納得のいく性能を備えているといえるだろう。
グレードは、マイナーチェンジでNX200tからNX300に車名が変わった2リッターターボ、ハイブリッドともに下から標準、Iパッケージ、バージョンL、スポーティなFスポーツの4つが設定され、駆動方式はそれぞれにFFと4WDが設定される。
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