マツダ アテンザ 自由に空を飛び、風を感じる瞬間を想う・・・

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【DESIGNER’S ROOM】マツダ 新型 アテンザ デザイナーインタビュー/マツダ チーフデザイナー 玉谷 聡 (4/4)

マツダ アテンザ 車種情報

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オートックワン編集部・マツダ
自由に空を飛び、風を感じる瞬間を想う・・・

ドアトリムのラインに、エクステリアとの連続性をもたせる

AO:インテリアはエクステリアに比べると落ち着いているという印象ですが。

T: マツダのインテリアデザインが課題としている点は2つあります。ひとつは質感の表現、もうひとつは強いキャラクターの表現です。ただ2番目については、内部のテクノロジーやレイアウトの革新がないと表現しきれない部分もあります。よって今回は前者に注力しました。乗り込んだときに、一瞬で感じる空間の質の高さを創り込もうと決めたのです。レイアウトはCX-5とほとんど同じですが、インパネの前端からドアトリムにシュッと伸びるラインで、エクステリアと同じようなスピード感を持たせてもいます。

AO:ドアトリムにも秘密があるそうですが。

T: ドアトリムにシュッと流れるラインの下に位置するレリーフも、スピード感が出るように光と影の表現に注力しました。ドアトリムに当たる光は、窓から下りてくる光しかないんです。それだけで光と影を表現しなければいけない。ふだんはそこまでしないんですが、何度も中庭にインテリアモデルを出して、自然光の下で面の出し入れを検討していきました。

ホワイトとブラック、2つの内装色の違いとは

AO:シートはどうですか。

T: 基本的な造形はCX-5から変わっていませんが、表面のマテリアルやパッドの質を高め、形状は後席を含めてより立体的でパーソナルな表現を強めています。実はドアトリムのスピード感を、後席のクッションにも反映しているのです。クッションのサイドは普通、一枚の座布団のようになるのですが、表面素材をもう一枚増やすことで、スピード感あるラインを作り出しているのです。

AO:インテリアカラーはホワイト系とブラック系が用意されていますが。

T: レザーにブラックとオフホワイトがあって、ファブリックはブラックだけです。カラーコーディネイトは、男性的で大人っぽい空間を目指し、コントラストを重視しました。黒を基調にして、違う色を入れたとしても、黒を生かす配色にしようと。オフホワイトは、色の切り替え方でスピード感が出るようにしました。細かいところでは、色分けの箇所のステッチをブラックの部分は赤、オフホワイトの部分は白と色を変えています。黒インテリアでは2本の赤ステッチになっています。

イマジネーションが膨らむ瞬間

AO:ところで玉谷さんがデザインを進めていくうえで、イマジネーションが膨らむ瞬間はどんな時ですか。

T: それが決まっていないんです。デザイナーという人種は、印象に残っているアイディアやフィーリングが引き出しにしまってあって、私の場合は課題が明確になった時、すぐにはそれらを結び付けることができず、悶々としているうちにシナプス(Synapse:神経細胞の接合部)が繋がっていくんですけど、いつ繋がるかは決まっていないんです。だからしばらく時間を掛けて悩み続けて、自分の確信が得られるレベルまで何度も回していって、どう考えても変わらないと納得したときに、外に発信するようにしています。

デザイナーを目指す君へメッセージ

AO:では最後に、カーデザイナーを目指す若者へアドバイスをお願いします。

T: 自分を信じて突っ走っていくことです。私も悩みとともに走り続けてここまできました。高いレベルに至っても、完全な人間はいません。みんな努力しながら進んでいます。それと私の場合は、人生の選択肢に保険をいろいろ掛けないようにしました。親からは「教職ぐらい取っておけよ」と言われたんですが取らなかった。そういうものを持っていると、しんどくなったときに逃げるかもしれないと思ったからです。自分を追いつめる意味も含めて、やりたい方向だけを目指して、とことん突き進んでみてください。そうすれば何かに必ず結び付くはずです。

自由に空を飛び、風を感じる瞬間を想う・・・

幼少期の玉谷氏は、「自分がもし空を飛んだら、こんな感じで風を受けているだろう」というレベルのことまで想像していたという。当時は「不思議少年」と言われていたかもしれない。でもその自由な発想が、理想の追求につながり、デザイナーという天職を得ることで、アテンザというカッコいいクルマに結実したのではないだろうか。

夢は持ち続けたい。

新型アテンザのデザインを目にし、玉谷氏の話を聞くにつれて、当たり前でありながら忘れかけていた言葉が、頭の中によみがえってきた。

[インタビュー:森口将之]


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