レクサス 新型GS 試乗レポート/藤島知子(2/2)
- 筆者: 藤島 知子
- カメラマン:オートックワン編集部/茂呂幸正
新型GSのアグレッシヴな走りはまさに「アリスト」を彷彿とさせる
今回のGSにレクサスの気合を感じる理由のひとつが、GS250とGS350の走行フィールに違った個性が与えられていることだろう。
GS350に搭載されるV6 直噴3.5Lエンジンは、街乗り走行や高速道路を一定の車速で走行する際、低回転を維持しながら、ゆったりとクルージングすることができる。
その一方で、2,000~6,400回転で最大トルクの9割以上が引き出せるため、高速道路の追い越しやワインディングなど、アクセルペダルを深く踏み込むと、レッドゾーンが始まる6,500回転手前まで、エンジン回転を引っ張りながら、パンチが効いた加速を満喫することができる。
耳障りなメカニカルノイズは一切排除されていて、走り出しはマフラーから聴かせるV6の野太いサウンドを、中間加速では「クォォォン」という吸気音を増幅させるサウンドジェネレーターの効果で心地よい音色だけを聴かせるあたりもニクい演出。
ハンドルを握るドライバーは、そのスポーティなサウンドを聴いて、ついその気にさせられてしまうはず。
その上、スポーツ性を高めたF SPORT仕様の場合、ハンドル操作に対して、タイヤの切れ角が車速に応じて変化する『VGRS』や、4つのタイヤの切れ角とハンドルの重さをクルマ側が制御するレクサスダイナミックハンドリングシステム(LDH)を含む新世代のVDIMが標準装備。
全グレードに4輪を独立式でショックアブソーバーの減衰力を最適制御するAVSに加えて、F SPORT専用サスペンション、前輪よりも後輪が太い19インチのタイヤなどが装着されている。
ハンドルは少ない舵角で一定のリズムで切り増したり、戻したりすることができるし、カーブではリヤタイヤがしっかり路面を捉えている感覚も得られていて、路面変化に臨機応変に対処することで、高いレベルの操縦安定性が得られていると実感できる。
ボディのしっかり感、ハンドルの手応え、足回りの動きなど、全体がじっくりと時間を掛けて煮詰められたかのようにバランスよくまとめられており、連続するコーナーでも姿勢変化が緻密に感じられるほどの仕上がりになっている。誰でも自然な感覚でスマートにドライブが楽しめる点をみても、運転操作にプレッシャーを感じにくく、ロングドライブも疲れにくそうだ。
一方でGS250のV6 直噴2.5Lエンジンは、軽快な身のこなしと、想像以上に元気な動力性能を披露してくれるところが魅力といえる。
アクセルペダルを踏み込むと、エンジンのパフォーマンスは3.5Lよりは控え目ではあるものの、エンジン回転が高まると同時に元気な音色を響かせていく。
ただ、高速道路で100km/h程度の車速を維持しようとすると、2.5Lエンジンと6ATのギア比の相性の影響のせいか、エンジンサウンドの強弱の切り替わりを頻繁に繰り返し、せわしなく感じてしまうところが惜しい。
エンジンの回転フィールやブレーキのタッチの滑らかさといった点では、3.5Lエンジンを搭載するGS350 F SPORTの走りの質感は格段に上で、ひとクラス高いレベルに位置づけられているのだと実感する。
こうして、GSのアグレッシヴな走りを体感して、私の頭をよぎったのは、「かつて、アリストで感じた雄々しさを取り戻してきたのではないか」という思いだった。
ステータスを印象づける優雅でスポーティな佇まいに、挑戦的な熱いハートを宿したGS。久々にワクワクする国産セダンが登場したことを、素直に嬉しく思ってしまった。
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