湖の氷の上をFFミニバンで爆走! 誰でも楽しめる氷上トレとは(2/2)
- 筆者: 山田 弘樹
- カメラマン:オートックワン編集部
4WDスポーツ車や後輪駆動車の中で大活躍のFFミニバン
さっそく午前は筆者がステップワゴンを運転し、それぞれのセクションをトライ。
「アクセルワークエリア」はさすがにランサーエボリューションやインプレッサといった4WDスポーツ、MR2やロードスターといった後輪駆動車の独壇場。8の字旋回を含む4つの定常円旋回コースで楽しそうにテールスライドとカウンターの練習をするクルマたちがうらやましかったけれど、「スラロームエリア」ではステップワゴンも大活躍した。
アイスガード6の高い初期グリップを利用してGを立ち上げて走ると、背の高いボディを見事に旋回させながら、リズミカルにパイロンを曲がっていった。また長いホイルベースゆえに滑り出してからの挙動も穏やかだから、怖さがまったくない。そしてグリップ性能の高いタイヤを履くと、こうした路面でも車両安定制御が極めて細やかに作動することも確認できた。クルマが“ツーッ!”と滑って行ってしまいそうになる場面でフロントタイヤのブレーキが小刻みに作動し、その流れをピシッと抑えてくれるのだ。
そして今回一番盛り上がったのが、タイムアタックステージにも使われる「ハンドリングエリア」だった。試しに一番最初は筆者がアタックして、その次にY編集長がアタック。タイムは筆者の2分24秒01に対して編集長が2分24秒07と、かなりの僅差になったのだが、勝ちは勝ち(笑)。すると編集長は「もう一回!」と再び走り出し、今度は2分22秒台をたたき出し…。ここからタイムアタック合戦が始まってしまったのである。もちろん何度も自由に走れる設定だから、カリキュラム的にも問題なし!
氷上は安全といわれるサーキットに比べても圧倒的に車速が低く、ステップワゴンだと今回のコースでは一番速度が出ているところでも80km/hくらい。路面のμも極端に低いから、タイヤやクルマが痛むこともない。そのうえ障害物もないから、安心して何度も“おかわり”をすることができる。そしてふたりのタイムは、どんどん上がっていった。
突然始まった氷上”全日本ステップワゴン選手権”
すると、走るたびにタイムを更新して大はしゃぎするふたりを見て、インストラクターである山西康司選手が「ボクも運転してみていいですか?」と声をかけてきた。
山西選手といえば、現在はスーパーGTのGT300クラスで活躍するドライバー。若き日は全日本F3選手権で大活躍し、フォーミュラ・ニッポンまで上り詰めたその人である。
そして山西選手が出したタイムは、2分21秒! タイヤのグリップ性能とステップワゴンのステア特性を瞬時に見極め、踏むべきところは全開でアクセルを踏み、必要なところではきちんとブレーキをかけてノーズをインへねじこむドライビングに筆者と編集長は驚いた。「さすがプロだね!」とイベントは美しく終わるはずだったのだが…。
その走りに感激し、それを目に焼き付けたふたりは、気温も7度ほどに上がり刻々と氷上のコンディションは悪くなっているにもかかわらず、その走りを盗み、さらに路面を選んで改良を重ねた。すると筆者の順番で、山西選手も出せなかった20秒台の壁2分19秒が出てしまったのだ!
今思えば、これでやめておけば良かった…。
しかしふたりのドライビング探求は終わらなかった。その次にラストチャンスとY編集長がアタックで出したタイムは冒頭の「2分17秒6」と、さらに2秒も更新されてしまったのである。
すると今度は、全日本ジムカーナ選手権で8回チャンピオンを獲得した斉藤邦夫選手がこれに挑戦、すなわち「全日本ステップワゴン選手権」が始まってしまった。
そして数々のドライビングスクールでインストラクターを務める森岡史雄さん、最後には日下部御大までもが名乗りをあげたのだ。
だがしかし…。恐ろしいことにこの「2分17秒6」のタイムを、ついに誰も破ることができなかったのである!!!
まじかー! うそでしょー!? あぁ、なんて腹立たしいのだろう。
今回は悔しいけれど、Y編集長の完全勝利。そして筆者よりもきっと、氷上ドライブのプロたちはものすごく悔しかったはずである(笑)。
しかし元を正せば、この走りは講師陣のみなさんが惜しみなくテクニックを教えてくださったからこそできたもの。そして氷上トレーニングなら、FFミニバンでもこれだけ熱く楽しめることが証明されたわけである。
だからぜひみなさんも、来年はご家族や友達と一緒に、マイカーでこの「Winter Driving Park」にぜひ参加してみて欲しい。スポーツカーじゃなくても関係ない。安全に楽しく、低い速度でタイヤとクルマの限界を感じ取れる氷上トレーニングは、とても素晴らしいイベントなのです。
当然、来年もオートックワンはリピートですよね!?
[Text:山田弘樹]
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