ホンダ S660がついに発表!若手エンジニアの夢が形になった【発表会レポート】
- 筆者:
ホンダ史上 最も若い開発責任者が創り上げた軽オープンスポーツカー「S660」
ホンダは、軽オープンスポーツカーの「S660(エスロクロクマル)」を発表した。発売開始は4月2日(木)、価格は198万円(消費税込)からとなる。
S660を開発した椋本陵(むくもとりょう)氏は26歳。ホンダの歴史の中で最も若い開発責任者となる。
椋本氏は小さいころからクルマが好きで、小学校の図書室で見つけた本でホンダに憧れ、ホンダに入社するに至ったという。
研究所の創立50周年を記念したイベントとして新商品企画が行われることを知り、そこで「軽スポーツカー」の提案をしたところ見事グランプリを獲得。
S660の開発責任者としプロジェクトに携わることになり、それに賛同する若手エンジニアを各プロジェクトのリーダーに起用、若手を支えるベテランエンジニアと共にS660開発チームを結成したのだ。
ミッドシップを世に送り出す!
低く固まり感のあるエクステリア、走るためのコックピット、ソフトトップオープンで感じられる解放感、「ミッドシップを世に送り出す!」という熱い想いが一つになり、S660という軽オープンスポーツカーが誕生した。
S660では、エンジンをキャビン後方に配置する「ミッドシップ」にこだわった。
エンジンが後方に配置されることで車体のフロントが低くなり、エッジの効いたスポーツカーのプロポーションになる。また曲がる楽しさを極めた「痛快ハンドリング」を実現するには、フロントを軽くして回頭性を高める必要があり、そのためにはミッドシップレイアウトがマストであったというわけだ。
なお、今年夏頃の発売がウワサされているホンダスポーツの最高峰であるNSXも、痛快なハンドリングを実現するためにミッドシップレイアウトが採用されることになっている。
新型「NSX」、2015年デトロイトショーで市販モデルがついに世界初公開(2014年12月18日掲載)
ホンダ、Acura新型「NSX」市販モデルをデトロイトショーで世界初公開(2015年1月13日掲載)
「見る楽しさ」と「乗る楽しさ」が融合し、誰もが楽しめるスポーツカーを目指した
昨今「若者のクルマ離れ」と叫ばれているが、クルマ離れと言われる若い世代がクルマの楽しさを追求したS660を創り上げ、「クルマって楽しいんだぜ!」というメッセージを世の中にストレートに発信していくという志で開発してきたと椋本氏。
S660の楽しさは「見る楽しさ」と人とクルマが一体となる「乗る楽しさ」と身近でこれからも長く愛していけるという「楽しさ」も加え、クルマに慣れ親しんだベテランドライバーが思いっきり楽しめることはもちろん、ビギナーでもクルマの楽しさを味わえる、懐の深いスポーツカーを目指したそうだ。
通常、このような発表会の場では経営陣や開発者はスーツで登壇するのだが、椋本氏は「正装は作業着」ということで、普段通りのスタイルで登壇した。
こちらの方が報道陣に良い恰好を見せられるということで、あえて作業着を着てきたと言い会場を沸かせたが、固定概念にとらわれないニュートラルな視点が今回の夢の実現に一役買ったのではないだろうか。
そういう視点を持った若者が頑張っているのを見せつけられ、うらやましさも感じたというのが正直な感想だ。
初期ロットの3,000台はほぼ完売!
本田技研工業 専務執行役員 日本本部長 峯川氏は、「2013年の東京モーターショーでコンセプトカーを展示してから1年4ヵ月、ようやくS660をお披露目できることになった。S660を望むユーザーは本格的なスポーツカーを望んでいることがわかり、開発の方向をスポーティ路線に定めた。軽自動車初となる6速マニュアルトランスミッションに加え、7速パドルシフト付きCVTを設定することで、より多くの方に乗っていただけるようにした。」とコメントした。
生産は八千代工業 四日市製作所で行われ、1日40台・月間約800台が生産される。3月26日よりはじまった予約注文で、3,000台がほぼ完売となった。この予約注文済みのユーザーには7月までに納車できる見通しだ。以降、4月2日午前11時より、S660特別WEBサイト 「GATE660」 で、今後の納期などを案内することになっているという。
S660特別WEBサイト:http://www.honda.co.jp/S660/
若いエンジニアたちが活躍できる場を提供していくという他社ではあまり類を見ない取り組みが形となり、「S660」という軽スポーツカーが完成した。 それが多くのユーザーに共感を得て、今後もホンダらしいワクワクするようなスポーツカーが誕生することを期待したい。
なお、オートックワンでは新型車解説やサーキットでの試乗レポートなどをすでに掲載しているので、こちらもあわせてチェックしてほしい。
[TEXT&PHOTO:オートックワン編集部]
この記事にコメントする