ホンダ 新型ハイブリッドセダン「グレイス」 試乗レポート/渡辺陽一郎(3/3)

ホンダ 新型ハイブリッドセダン「グレイス」 試乗レポート/渡辺陽一郎
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運転感覚はフィットハイブリッドに比べると総じて滑らか

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エンジンは前述のように直列4気筒をベースにしたハイブリッド。メカニズムと動力性能は、基本的にフィットハイブリッドと同じだ。

それでも運転感覚は少し違う。フィットハイブリッドに比べると、アクセル操作に対する動力性能の立ち上がり方が穏やかになった。ECONモードとノーマルモードは大人しく、Sモードのスイッチを入れると、反応の仕方が大幅に機敏になる。開発者によれば「セダンの性格を考えてノーマル状態のセッティングを穏やかな方向に変更した」とのことであった。車両重量が50kgほど重いことも影響しただろう。

動力性能は体感的には1.8リッタークラスだ。エンジンは少し高回転指向で、4200回転付近から加速力が活発化するが、低い回転域でもモーターの駆動力が効果的に作用してボリューム不足を感じない。駆動用電池が相応に充電された状態であれば、アクセルを軽く踏み増した時など、モーター駆動によって速度が滑らかに高まる。

以前試乗したフィットハイブリッドでは、市街地を巡航中にアクセルペダルを踏み増した時など、加速感が少しギクシャクした。この特性がグレイスでは抑えられている。7速DCTに改善を加えたほか、前述の車両重量の影響もあるだろう。運転感覚はフィットハイブリッドに比べると総じて滑らかだ。

セダンの良さを見直す機会になるモデル

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走行安定性と乗り心地のバランスは、15インチタイヤ(185/60R15)を装着したLXと、16インチ(185/55R16)を履いたEXでは少し異なる。

走行安定性はLXも良好。ハンドルを切り始めた時の感触は穏やかだが、操舵感の鈍さが気になるほどではなく、最近のクルマに共通した傾向で後輪がしっかりと踏ん張る。スポーティーではないが、運転しやすく仕上げた。

乗り心地は、LXの場合、当たりが柔らかくて馴染みやすい。ただし路面の細かな振動を常に伝えるところがある。フィットハイブリッドに比べると快適性を高めたが、もう少しフラットにして欲しい。

一方、EXではタイヤが路面をつかむ力が高まり、危険回避時の後輪の落ち着きが一層良くなる。乗り心地はLXよりも硬めだが、路面の細かな振動は伝えにくい。硬めでも重厚感が伴って上質だ。

両グレードの違いは、燃費性能と関係している。DXとLXが装着する15インチタイヤは、ヨコハマ・ブルーアースE50で、転がり抵抗の低減に重点を置いた。JC08モード燃費は34.4km/Lに達する。

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一方、EXの16インチはダンロップSPスポーツ2030で、乗り心地や走行安定性も含めてトータルバランスを重視した。車両重量が20~30kg増えることもあるが、JC08モード燃費は31.4km/L。要は燃費を9~10%向上させるか、安定性と乗り心地を高めるか、という選択で、上級グレードのEXは後者を重視した。最小回転半径はDXとLXが5.1m、EXは5.3mだから、小回り性能も少し違う。

LXもセダンらしい快適性を備えるが、走りと乗り心地の質をさらに高めたいなら、EXを検討すると良い。価格はLXが204万円、EXが221万円だが、EXにはアルミホイールや上質なシート表皮が加わり、前述のように価格アップ以上の価値がある。

グレイスは「フィットベースのセダン」とされるが、エンジンノイズ、乗り心地、コーナーでデコボコを乗り越えた時にハンドルに伝わるショックなどは、かなり改善された。セダンとしての満足感がある。

そして装備の違いを補正すると、フィットハイブリッドとの実質的な価格差は、17~20万円だ。荷室の広さや使い勝手はフィットハイブリッドに負けるが、質感の違いを考えれば、グレイスの価格は納得できるだろう。

ホンダ グレイス

グレイスが「セダン復権の第一歩になる」とまではいえないが、セダンの良さを見直す機会にはなると思う。「5ナンバー」というサイズには、それだけの価値がある。

なおグレイスの開発に際して、開発者は「ハイブリッドシステムから7速DCTまで、メカニズムを全面的に点検した。従来は精査できていない部分もあったが、今回は違う」とコメントした。品質も万全との話であった。

[レポート:渡辺陽一郎/Photo:阿部昌也・茂呂幸正]

ホンダ グレイス HYBRID EX 主要諸元

全長x全幅x全高:4440x1695x1475(FF)・1500(4WD)mm/ホイールベース:2600mm/駆動方式:FF or 4WD/車両重量:1200(FF)・1270(4WD)kg/乗車定員:5名/エンジン種類:水冷直列4気筒横置DOHCガソリンエンジン/総排気量:1496cc/エンジン最高出力:81ps(110kW)/6000rpm/エンジン最大トルク:13.7kg-m(134N・m)/5000rpm/動力用主電池:リチウムイオン電池/モーター種類:交流同期電動機/モーター最高出力:29.5ps(22kW)1313-2000rpm/モーター最大トルク:16.3kg-m(160N・m)0-1313rpm/トランスミッション:7速オートマチックトランスミッション/燃料消費率:31.4(FF)・29.4(4WD)km/L[JC08モード燃費]/タイヤサイズ:185/55R16(FF)・185/60R15(4WD)/希望小売価格:2,210,000円(FF)・2,409,800円(4WD)[消費税込み]

ホンダ グレイス HYBRID LX 主要諸元

全長x全幅x全高:4440x1695x1475(FF)・1500(4WD)mm/ホイールベース:2600mm/駆動方式:FF or 4WD/車両重量:1180(FF)・1250(4WD)kg/乗車定員:5名/エンジン種類:水冷直列4気筒横置DOHCガソリンエンジン/総排気量:1496cc/エンジン最高出力:81ps(110kW)/6000rpm/エンジン最大トルク:13.7kg-m(134N・m)/5000rpm/動力用主電池:リチウムイオン電池/モーター種類:交流同期電動機/モーター最高出力:29.5ps(22kW)1313-2000rpm/モーター最大トルク:16.3kg-m(160N・m)0-1313rpm/トランスミッション:7速オートマチックトランスミッション/燃料消費率:34.4(FF)・29.4(4WD)km/L[JC08モード燃費]/タイヤサイズ:185/60R15(FF)・185/60R15(4WD)/希望小売価格:2,040,000円(FF)・2,293,800円(4WD)[消費税込み]

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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