ホンダ 新型ハイブリッドセダン「グレイス」 試乗レポート/渡辺陽一郎(2/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:阿部昌也・茂呂幸正
セダンらしいリラックス感覚を演出
インパネの周辺はフィットハイブリッドに似ているが、助手席の前側などにソフトパッドを多用して(LXとEX)、セダンとしての質感を備えた。カーナビとエアコンは流行のタッチパネル式。手探りの操作はしにくいが、ピアノブラック仕上げで見栄えは良い。
ATレバーはL字型に動かすタイプで、DとLレンジがある。スポーティーなSモードも選べるが、これはATレバーの奥側のスイッチで操作するから使いにくい。「D-S-L」と直線的に動かすパターンの方が操作はしやすい。
もっとも最上級のEXにはハンドルにパドルシフトが装着され、7速DCTをマニュアル操作できる。同様の機能を売れ筋のLXにも装着すると良心的だ。LXはEXよりも価格が割高だから(LXはEXに比べて23万円相当の装備を省くが、価格は17万円しか安くない)、価格据え置きでパドルシフトを加えてもバランスが取れる。
前席は座面の長さに余裕があり、座り心地は柔軟だ。セダンらしいリラックス感覚を演出している。背もたれはもう少し肩のサポート性を高めて良いと思うが、ユーザーによっては拘束感を気にするだろう。この座り心地も理解できる。
入念に作りこまれた後席
後席はコンパクトセダンでは足元空間が広い。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る同乗者の膝先空間は握りコブシ2つ半。Lサイズセダンに匹敵する。
もっとも、グレイスはフィットとプラットフォームを共通化しており、もともと空間効率が高い。そこを考えるとこの膝先空間は当然だ。フィットはグレイスよりもホイールベース(前輪と後輪の間隔)が70mm短いが、同等の膝先空間を得ている。
グレイスの前後シート間隔はホイールベースの拡大によってフィットより25mm長いが、ボディをセダンにしたから着座位置は前席で25mm、後席では35mm下がった。なので膝先空間は変わらない。セダンでは驚くほど広いグレイスの後席も、コンパクトカーのフィットでは当たり前なのが面白い。ここにセダンとコンパクトカーの空間効率の違いがある。
グレイスの後席で注意したいのは、頭上の余裕が乏しいこと。身長170cmの乗員が座ると、頭部が天井に触れる。長身の同乗者が座ることを考えると、20~30mmの余裕が欲しい。
座面の造りは、前席と同等かそれ以上に柔軟だ。燃料タンクはフイットと同様に前席の下に搭載するが、座面を跳ね上げたりする機能はない。そのために座面をフィットよりも入念に造り込んだ。サイズにも余裕があり、座面の前側を少し大きめに持ち上げたので、膝の裏側まで確実にサポートされる。その代わりに小柄な同乗者は、大腿部を押された感覚になりやすい。
以上のようにグレイスの後席は、身長が170cm前後のユーザーには非常に快適だが、小柄だと大腿部に圧迫感が生じやすく、長身の場合は頭上の余裕が辛くなる。スイートスポットが少々狭いので、注意して選びたい。
後席の機能で注目されるのは、背もたれを前に倒すと荷室の床面積を拡大できること。6:4に分割して倒せるから、ワゴンのように使える。ただしセダンの場合、後席とトランクスペースの間に位置する仕切りがボディ剛性を高めるので、開口部を広げすぎるとセダンボディのメリットが薄れてしまう。開発段階ではこのバランスにも気を配った。
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