教習車の代表車種を一挙紹介!セダンが多い理由、セダン以外でも教習車に使えるかを徹底調査

教習車の代表車種は何?定番モデルを一挙紹介

車の免許を取得するとき、ほとんどの方は指定自動車教習車へ入校して教習を受けます。

その車が仮免許検定などで一般道を走っているのを見かけることがると思います。側面に教習所名が書かれ、ドアミラーが左右2つずつついた独特の車です。そんな教習車を何度か見る内に、その車種が限られていることに気づく人も多いのではないでしょうか。

実は、教習車として使用される車種は、代表的なものがある程度決まっているのです。その定番モデルや、選ばれる理由を解説します。

代表的教習車1 トヨタ カローラアクシオ

長い歴史を持つ定番セダン

トヨタ カローラが、日本車を代表するセダン車の系譜であることは疑う余地がないでしょう。

1966年から製造され、2018年現在も12世代目が製造されています。どの世代のカローラを見ても、いわば“日本のクルマ”という、飽きのこない保守的なデザイン、扱いやすいエンジン、燃費の良さ、使い勝手の良さなどから、広い支持を集めてきた車です。

現在のカローラ アクシオも例にもれず、2018年モデルのサイズは、全長4,400mm×全幅1,695mm×全高1,460mmとなっており、5ナンバーの標準的サイズといえます。排気量は1,496cc、出力は109馬力です。

教習車用車両には特別に手が加えられており、教官用のペダル類や追加ミラーのほか、フロントピラーの形状を細くすることで、視界を広くするという工夫がなされています。

トヨタ カローラアクシオ 車種情報

・ボディサイズ:全長×全幅×全高=4400mm×1695mm×1460mm

(教習車モデル:データなし)

・新車価格:148.7万円~253.6万円

・中古車価格相場:50万円~259.2万円

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代表的教習車2 マツダ アクセラ

メーカーが教習車用に販売を強化するユニークな一台

カローラに続いて多いのは、マツダ アクセラです。

マツダは2004年5月からアクセラをベースとした教習車を生産しており、アクセラ教習車は、2017年に国内教習車市場の約1/3を占め、トップシェアを誇っています。

これほどまでに高いシェアの裏には、マツダの車づくりへの思いがあります。

マツダの追い求める車作りが“良い教習車”の条件に通じる

マツダはクルマづくりにおいて、自然な運転感覚を非常に重視します。それには見通しの良い視界、ぴたっと決まって違和感を感じさせないドライビングポジション、よく走りよく止まり、ドライバーの意思に忠実に曲がるという基本性能が必要不可欠です。これは、アクセラをはじめとする同社の製品すべてに込められたこだわりでもあります。

一方マツダにとって、同じ条件は理想の教習車にも当てはまります。教習車は多くの場合、その人が人生において初めて乗るクルマなので、妙な癖や操作の違和感がなく、ごく自然に思い通りに走れることを最重要視しています。この点からマツダは、自社製品が教習車にふさわしいという考えのもと、アクセラを教習車として売り込むことに積極的に動いているのです。

また、マツダはアクセラを理想の教習車としつつも、その価値をさらに高めるために、独自の改修をしたバリエーションを用意しています。その改修の一例が、AT車のトランスミッションです。

1600ccの市販車は通常は6速ATですが、教習車のアクセラはわざわざ4速ATにして、キックダウンが分かりやすいように作られています。ギア数が少ないほうが、変速したときのショックは大きくなるからです。

このように、教習車に特化した車作りをすることで、まずは教習車として優れた車としての地位を築き、それが結果としてマツダの販売に大きく貢献しているのです。

マツダ アクセラ 車種情報

・ボディサイズ:全長×全幅×全高=4580mm×1795mm×1455mm

(教習車モデル:4610mm×1795mm×1455mm)

・新車価格:182.5万円~331万円

・中古車価格相場:88万円~280万円

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代表的教習車3 スバル インプレッサG4

安全を売りにするメーカー渾身の一台

インプレッサは、スバルを代表する車種の1つです。歴史が長い車種なのでセダン、ステーションワゴン、5ドアハッチバックなど様々なバリエーションが生み出されています。

かねてからWRC(世界ラリー選手権)参戦車両のベース車として有名な車両なので、そのイメージが強い方も多いかもしれません。現在はスバル WRXとしてインプレッサとは別車種扱いになっていますが、かつてはインプレッサの派生車種であり、この事実もインプレッサのポテンシャルの高さを表す要素と言えるでしょう。

そして現在教習車に使われているのは、インプレッサ G4という4ドアセダンです。駆動方式には2WDと4WDがあり、後者は雪国での教習に大きく役立っています。

またメーカーサイトに死角が少ない、優れた視界性能とあるように、ピラーの形状や太さが運転の妨げにならないよう工夫されています。その一例として、フロントガラスの立ち上がり部分を前方に移すことで交差点などの右左折時の死角を減らす、三角窓というデザインが採用されています。

こうした地道な車作りが、運転しやすい車として教習車に採用される理由となっているのです。

スバル インプレッサG4 車種情報

・ボディサイズ:全長×全幅×全高=4625mm×1775mm×1455mm

(教習車モデル:データなし)

・新車価格:194.4万円~261.4万円

・中古車価格相場:159.9万円~246万円

代表的教習車4 ホンダ グレイス

ホンダが新たに教習車市場に投入したニューカマー

グレイスは、2015年7月に発売された車です。ボディサイズのコンパクトな5ナンバーサイズならではの扱いやすさと、アッパーミドルセダンのような広い室内、インテリアの高い質感を融合したコンパクトセダンです。

また長時間座っても疲れにくいよう工夫されたシートなど、教習生が運転しやすい装備も充実しています。エンジンは1,500ccで、トランスミッションには7速DCTと5速MTが用意されています。

グレイスの特徴は、他社が教習車市場から撤退するなか、ホンダが新しく投入してきたことです。

教習車は、助手席に補助ブレーキを追加するなど、市販車とは違う装備が必要となってきます。そこに投入してきた点を考慮すると、グレイスにはメーカーの意気込みが感じられます。以前はシビックセダンが採用されていたので、その代替わりとしての役割もあるのかもしれません。

ホンダ グレイス 車種情報

・ボディサイズ:全長×全幅×全高=4450mm×1695mm×1475mm

(教習車モデル:データなし)

・新車価格:176.9万円~256.9万円

・中古車価格相場:88万円~239万円

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代表的教習車5 トヨタ コンフォート

JPN TAXI登場で行先不透明!?

コンフォートは、タクシーや教習車によく採用されていることで知られています。タクシーは2017年にJPN TAXIがデビューし、コンフォートの後継車種として活躍していますが、街ではまだまだコンフォートを見かけることが多いでしょう。

四角いセダンなのでデザイン面で目新しいところはありませんが、逆にそれが、四隅を把握しやすいという利点になっています。

1995年の発売から販売が続けられてきたコンフォートですが、2017年5月で販売は終了しました。今後は教習所で見かける機会も減ってしまうかもしれません。

トヨタ コンフォート 車種情報

・ボディサイズ:全長×全幅×全高=4695mm×1695mm×1525mm

・新車価格:販売終了

・中古車価格相場:28万円~58万円

輸入車・外車の教習車がある!?

一部の教習所ではBMWやアウディを採用している例も

一部の教習所では、教習車にBMWやアウディが採用されています。車種別に見ると、BMW X1、BMW 3シリーズ(320i)、Audi A3といった車種が採用されているようです。

理由は幾つかありますが、これら輸入車のテイストを楽しんでもらうことと、それによって教習所が他と差別化を図りたいことがメインといえます。

日本は少子高齢化の進行により若年層人口が減少しているのに加え、若者の車離れ、車がなくても生活できる都市部への人口集中の影響を受け、各自動車教習所は生き残りをかけて多くの戦略をとっています。その一つとして、憧れの輸入車で教習が受けられるという訴求が行われているようです。

これから教習所で輸入車に乗る方は、ウインカーとワイパーのレバーの配置が国産車とは逆になっている場合がある点に注意が必要です。右ハンドル仕様の輸入車であっても、レバーだけは日本車と左右逆いなっている場合があるので、慣れないうちは戸惑う場面もあるかも知れません。

教習車になる車種には条件がある?

ボディサイズや乗車定員には決まりがある

教習車にはきちんとした規格があり、1960年12月20日制定の道路交通法施行規則により、次のように定められています。

教習車として使用できる車両の条件

・乗車定員5人以上の普通自動車

・全長4400mm以上

・全幅1690mm以上

・ホイールベース2500mm以上及びトレッド1300mm以上

※ホイールベースとは前輪軸中心から後輪軸中心までの距離、トレッドとは左右タイヤの接地面の中心間の距離を表します。

このように車両のサイズが決まっているのは、教習内容がばらつくのを防ぎ、指定自動車教習所としての機能を明確に果たすためです。もちろん軽自動車の教習車はありません。

教習車はセダンであることが必須!?

これまで見てきた通り、教習車に使用される車種は圧倒的にセダン車の比率が高くなっています。売れ筋のミニバンやハッチバック車で教習を受けたほうが時代にあっているような気がしますが、セダンではないといけないというルールはあるのでしょうか。

条件を満たしていれば、セダンである必要はない

実は上記の乗車定員とサイズを満たせば、ボディタイプは問題ではありません。

ではなぜセダンが教習車に使われてきたかと言うと、条件を満たす車種にセダンが多いので、そのまま使われてきたということです。また高度成長期以降、長きにわたって、セダンが多くの車種の中で中心的存在だったという点もあるでしょう。

教習車として使う上でのセダンならではのメリット

また、教習車として使用する上でのセダンならではの良さもあります。ハッチバックでは後方視界が悪い場合がありますし、ミニバンの運転席は車体の前寄りなので、車体の後方が相対的に長くなります。こうした違いが、S字やクランク、バックでの車庫入れなど、運転の基本を学ぶときに大きく関係してきます。

運転の基本となる車体感覚をつかむには、セダンは最も適したボディと言えます。

追加装備が必要なので、どんな車種でも教習車にできるわけではない

なお教習車には、追加装備と言われる装備が必須です。

まずは教官用の補助ミラー、緊急時や事故防止のため車を停止させるための助手席ブレーキペダルです。またマニュアル免許のため、マニュアルミッション搭載車がラインナップされている必要もあります。

その他、視界を良くする細いピラー、仮免許運転中を示すプレート枠なども必須となります。

この改修をするコストを考えると、闇雲に教習車の車種を増やすのはメーカーにとってメリットが薄いというのも事実のようです。

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樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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