日・米・欧プレミアムクロカンSUV 徹底比較(2/4)

日・米・欧プレミアムクロカンSUV 徹底比較
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従来の延長上ですべての要素を進化

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4,950mm×1,970mm×1,880mmという、従来よりも少し大きくなったボディに、大きなヘッドライトやフロントグリル、ボディパネルの抑揚など、スタイリングは従来モデルの延長上でありつつ、明らかに新しいクルマに見える。

乗り心地はいたって快適。静粛性も申し分ない。車重はちょうど2,500kgと重く、これだけ大きなタイヤを履くため、バネ下重量も重いはずだが、あまりネガな部分を感じさせない仕上がりとなっている。

さらに現行モデルでは、ロールの制御のスタビライザーの作動を最適に制御する「KDSS(キネティック・ダイナミック・サスペンションシステム)」が新設定された。これは、モーグル走行など起伏の激しい路面を走る際には、サスペンションストロークを規制してしまうスタビライザーが邪魔になるため、油圧で切り離してストロークを確保するというもの。

逆に、高速コーナリング時には連結され、しっかりロール剛性を発揮する。この装着により約30%ロールが小さくなるとのことで、スプリングレートおよびダンパーの減衰力も、KDSSの有無に合わせて最適にセッティングされており、速度が高めのコーナリングの姿勢が向上している。ただし、KDSSの有無において、どちらが自然かといわれれば、無しのほうがリニアで乗り心地もよい。

ハイメカツインカム仕様の4.7L V8エンジンにはVVT-i機構が採用され、5速ATにはシーケンシャルシフトマチックが採用された。動力性能は十分であり、重量級ボディを不満なくひっぱってくれる。ブレーキのキャパシティは非常に高く、2,500kgもあるクルマを連続してしっかりと制動させることができる。レーダークルーズコントロールの追従制御の加減速の制御も非常に自然である。

車体は相当に大きいものの、最小回転半径は5.9mとなっている。

フロントビューリアビューサイドビュータイヤエンジン

誰の目にも一目瞭然の「HUMMER」ルック

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ハマーは米軍の軍用車両をルーツに、民間向けに改良したクルマであるH1からスタート。より実用性を与え、現実的なクルマとしたH2が2002年に登場。発売されるや予想を大きく超えるヒットモデルとなった。

そして2005年、H2の人気をかんがみ、よりコンパクトでリーズナブルなパッケージングのH3が登場した。さらに2008年モデルにおいて、待望の右ハンドル仕様が追加された。メッキを多用した7本縦グリルや、丸型ヘッドランプを持つフロントマスクや、力強くスクエアなフォルム、切り立った小ぶりの各ウインドウ、短く太い各ピラー、スペアタイヤを配したバックドアなど、全身でHUMMERらしさを表現している。

ボディサイズは、全長4705mm、全幅1995mm、全高1920mm、ホイールベース2840mmで、車両重量は写真のラグジュアリー仕様で2220kgと、見た目のイメージとは裏腹に、今回の他の2台に比べて300kgほど軽くなっている。最小回転は5.7mと、取り回し性も悪くない。

搭載される3.7L直列5気筒ユニットは、ピークパワーが245馬力、トルクが33.5kgmと、車重が軽いこともあってか、H2よりも控えめなエンジンが与えられている。ただし、従来は3.5Lだったところ、3.7L化された新エンジンは、DOHCヘッドに加え排気側VVTを持ち、200ccの拡大以上に感覚的な動力性能の向上をはたしている。これに4速ATが組み合わされるが、低回転域から十分なトルクを発揮するため、大きな不満なく、街中から高速道路の巡航および追い越しまでをこなすことができる。

全体のドライブフィールも、トラックベースの本格オフロードビークルとしては、静粛性が高いし、微少なピッチングは起こるものの、比較的よく抑えられている。

フロントビューリアビューサイドビュータイヤエンジン

レンジに負けない高級感と走行性能

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横から見ると、ルーフが2段になっており、フロントウインドウは傾斜しているが、リアは直角的にストンと切り落とすなど、室内空間の確保を意識したフォルムとなっていることがわかる。

フロントマスクは、ヘッドライトと見てもレンジローバーのモチーフを取り入れており、パッと見てもわかりやすい高級感がある。全長4850mm、全幅1920mm、全高1890mm、ホイールベース2885mm、車両重量はHSEグレードで2570kgとなっている。

最上級のHSEには299ps&43.3kgmを発揮する4.4LのV8ユニットが与えられ、副変速機付き6速ATが組み合わされる。その他のグレードでは4LのV6エンジンとなる。エンジンは高回転型のV8らしく、緻密な回転フィールを持ち、ランドローバーらしく穏やかな出だしの特性とあわせて、極めてスムーズな加速を示す。

そして乗り心地がよい。モノコックボディの恩恵もあると思うが、剛性が高く、不要な振動が抑えられているようだ。そして遮音性も高く、静粛性にも優れる。高価なクルマに乗っていることを感じさせてくれる。

フットワークは、およそオフロードSUVであるとは思えない。ロールしないのではなく、それを不要に抑えているわけでもないのだが、非常にナチュラル。レンジローバーのときも驚かされたものだが、フリーランダーにもそのまま受け継がれている。

ランドローバー特有の径の大きなステアリングホイールに、ゆったりとしたレシオを与え、下手にアジリティを追求しておらず、非常に乗りやすい味付けとなっている。最小回転半径は5.5mということで、このサイズのクルマにしては非常に小回りが利くのも強みである。

フロントビューリアビューサイドビュータイヤエンジン

デザイン・スペックの総評

近い価格帯とボディサイズを持つオフロードビークルという共通性を持ちながら、デザインやスペックに各国の特徴が表れており興味深い。H3は力強く、野性味が溢れ、ミリタリーな雰囲気を感じさせる。ディスカバリーは上品である。走行フィールは、機構的な素性がそのまま体感される。モノコックを持つディスカバリーは乗用車的で、H3はトラックベースと対極的ながら、それぞれの中で実用性と快適性が高く確保されている。ランクルは、フレームを持つオフロードビークルとしては、これ以上ない快適性を実現したといえる。

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岡本 幸一郎
筆者岡本 幸一郎

ビデオ「ベストモータリング」の制作、雑誌編集者を経てモータージャーナリストに転身。新車誌、チューニングカー誌や各種専門誌にて原稿執筆の他、映像制作や携帯コンテンツなどのプロデュースまで各方面にて活動中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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