日・米・欧プレミアムクロカンSUV 徹底比較(3/4)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:島村栄二
日本発オフローダーらしい心配り
インパネには、多くのスイッチが並ぶが、巧みにレイアウトしており、直感的にどこに何があるのかわかりやすい。
十分に期待に応えるであろう高級感を放っているが、センターがカーボン調、その隣りがメタリック調、さらに隣りが木目と、多くの素材と色が織り交ざっており、やや落ち着きのない気もしないでもない。
大柄なボディにより、室内スペースは文句なく広い。3列目についても、ハイルーフミニバンに匹敵するほどの居住空間を確保している。セカンドシートが前後に105mmのスライド機構を持ち、ワンタッチでタンブル可能となっているため、3列目へのアクセス性も悪くない。
ラゲッジルームを広くして使いたい場合、3列目シートを横に跳ね上げることができるようになっている。さらに、2列目シートはワンタッチでタンブルさせることができ、最大で前後長1685mm×幅990mm×高さ1100mmという広大なスペースを創出できる。バックドアを上下分割して開くことができるのも重宝するはずだ。
また開発陣の話では、「ランクルの基本はオフロード」として、悪路走破性に非常に力を注いだという。このクルマには、数々の新機構が盛り込まれている。ザッと挙げると、前述のKDSSのほか、クロールコントロール、マルチテレインABS、アクティブトラクションコントロール、ヒルスタートアシストコントロール、トルセンLSD付トランスファーなど。
中でも、世界初のクロールコントロールに注目したい。これは、微妙な速度調整が必要なシーンで、エンジンとブレーキを自動制御して極低速を維持し、ホイールスピンやロックを最小限に抑えるというシステム。1km/h、3km/h、5km/hの3段階で速度を指定し、上り坂も下り坂も一定速で走ることのできる同機構は、アクセルもブレーキも操作せずに、ハンドルのみに集中して運転できるというシステムだ。
日本での使用を意識した充実装備
シートに収まると、ウエストラインが高く、ダッシュパネルも高くて、天地方向の短いウインドウと、太く短い各ピラーが直立に近い状態で配されている独特の雰囲気。ウインドウ面積は大きくないのだが、不思議とあまり閉塞感はないように感じられる。
室内は外観からイメージするものとはやや趣が異なり、いい意味で乗用車テイストになっている。モダンな印象のレイアウトで、インパネの樹脂パネルなどを見ても、昨今のアメリカ車にありがちなプラスチッキーな質感のものではない。また、上級グレードには、写真のようなパイピング付きのフルレザーシートが標準装備される。「プレミアム」を謳うに相応しいつくりになっている。
2008年モデルより追加された右ハンドル仕様は、ペダルの配列も適切であり、シートには豊富な調整機構が備わることで、小柄な女性でもポジションがとりやすそうだ。なお、上級グレードには大型のサンルーフが標準装備される。
また、2008年モデルとして、左前方の補助ミラーに代えて設定されたモニターカメラに注目したい。カメラを左フロントピラーとルーフの交差する部分に設置し、それが捉えた映像をルームミラーから右にせり出す液晶モニターに映し出すという仕組み。左フロントフェンダーを中心とする同映像は視認性に優れ、安全性の向上に寄与してくれるはずである。なお、ルームミラーには外気温度計とデジタルコンパスが付く。また、助手席ドアミラーにはスポットミラーが最初から設置されている。
さらに、2008年モデルは正式にGMAPJ扱いとなったこともあり、日本で売ることをかなり意識した仕様となっている。上級グレードに標準装備されるHDDナビは、タッチパネル式のワンセグ対応タイプで、AV性能も充実している。リアドアの開口面積は小さめだが、乗ってしまえば後席空間はそれほど狭いものではない。6:4分割可倒式で、座面を前にずらしてダブルフォールディングさせるという仕組み。段差の部分にはプラスチックなカバーが備わっていて、長尺ものを出し入れしやすいようになっている。
厚いバックドアは横開き式で、十分な容量を持つラゲッジルームは樹脂で覆われている。アウトドアユースで使い倒せそうなイメージを与えるとともに、これのおかげで、荷室からのノイズの侵入が抑えられ、遮音性と制振性が確保されていると思われる。4WDモードは、センターパネル上部のスイッチにて簡単にアレンジ可能。センターデフロックや低速ギアにも簡単に変更させることができる。
上品かつユーティリティにも優れる
1列目、2列目、3列目と、徐々にヒッピポイントが高まり、それにつれてルーフ高が上がり、後席乗員の頭上空間と開放感を確保するようになっている。3列目シートの居住性も、それほど悪くない。さらに、それぞれのためのサンルーフが設定される。
内装の質感の高さも、レンジローバーとまでいかなくとも、なかなかのレベルである。整然とスイッチ類の配されたセンターパネルがドンと張り出し、質感の高さを感じさせる。価格相応の価値が感じられる。
ランクルが曲線を多用したデザインとなっているのに対して、ディスカバリーは直線的な中で、上品に質感の高さを表現したものとなっている。クロームなど金属の部分を使っている。
ディスカバリーはモノコックボディの恩恵か、ヒップポイントが低めで、室内が非常に広く感じられる。全体的にすべてのものが低い位置にある印象で、ウエストラインも低く、見晴らしがよく開放感がある。ハマーH3とは対照的で興味深い。ただし、フロア高が比較的低いためか、独立したステップが備わらないため、ある程度身長が高くないと乗降性については難点があるだろう。
2列目シートは35:30:35という分割で、2、3列目はフルフラットになるようになっている。収納スペースも充実していて、HSEグレードにはハーマンカルドンの高性能オーディオが標準装備される。価格は759万円っていうことで、ひとつ下のSEグレードよりも100万円以上高くなるわけだが、そのぶん装備類は非常に充実しており、価格相応の価値はあるかと思える。
ラゲッジスペース容量は最大1260Lと広い。3列目シートは、ラゲッジフロアに潜り込むような形の収納方法となっている。ディスカバリーには、充実した4WDモードはもちろん、テレインレスポンスや、自動車高調整機能付きクロスリンクの電子制御エアサスペンションが付く。その他の一般的な装備はほとんど付いて、あとはARM(アクティブロールミティゲーション)や、ランドローバーが先鞭をつけたHDC(ヒルディセントコントロール)なども装備される。
内装・装備の総評
ボディサイズの恩恵で、居住性や収納性、各種快適装備はいずれも申し分ない。それぞれの個性を感じさせつつ、価格設定に相応しい質感が与えられている。ランクルは、収納性やシートアレンジなどの実用性において、他車にはない日本車らしい細やかな配慮がなされている。H3はアメリカ車らしいシンプルでわかりやすいユーティリティを誇る。ディスカバリーは高級感があるだけでなく、ミニバン顔負けのスペースユーティリティを身につけている。
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