最新人気軽自動車 徹底比較(2/4)
- 筆者: 竹岡 圭
- カメラマン:島村栄二
まるでコンセプトカーのような斬新なスタイリング
「コンセプトカーがそのまんま街中に走り出してきちゃったみたい!」な、今までの常識ではあり得なかった、斬新なスタイリングのアイ。
こんなカタチが実現できたのも、そもそもはリアミッドシップというレイアウトのおかげ。エンジンを後ろに持ってくることで、前側のクラッシャブルゾーンが短くても安全基準に対応することから、タイヤを本当に四隅ギリギリに配し、オーバーハングを短くしたこんなカタチが実現したというワケなのである。一見、前にエンジンがないと衝突したとき怖そうに感じるが、実は前にエンジンがないからこそ安全性が高いのだ。
そのエンジンは、アルミシリンダーブロックが採用された新開発の64psを発揮する3気筒ターボエンジンのみのラインアップで、組み合わされるのは4速ATのみ。装備違いのG、M、Sという3つのグレードにそれぞれ2WD/4WDが用意される。
見た目ばかりに惹かれがちだが、プラットフォーム、レイアウト、エンジンもオールニュー。さらに三菱の軽自動車で初めて、電子制御スロットルが使われるなど、中身的にも新しい試みがフルに盛り込まれている本格派なのだ。
キビキビ走る広々とした室内のマルチワゴン
これまでマルチワゴンの軽自動車というと、スペース効率や装備云々のみが取り沙汰されることが多かったが、そこにホンダらしく走りの要素を盛り込んだのがゼストだ。
マルチワゴンというとトールボーイのその形状から、どうしても運動性能的には不利だったのだが、ライフから受け継いだ低床プラットフォームのおかげで、室内の広さを犠牲にすることなく全高を抑えることに成功。キビキビとした走りを実現した。
その走りを支えるパワートレインは、52psを発揮するNAエンジンと、64psを発揮するターボエンジンの2種類。組み合わされるのは、いずれも4速AT。それぞれに2WDと4WDが用意される。
また、エクステリアデザインも二つの顔が用意されている。基本的にNAモデルがゼスト(N、G、W)、ターボモデルがゼストスポーツ(Gターボ、Wターボ)と覚えておけば一見問題はなさそう。しかし、ゼストスポーツの顔を持つ中にはNAモデル(G、W)も用意されているのでちょっとややこしい。ゼストスポーツは、当然、スポーツと付くからには、趣も少々スパルタンな印象になっている。
ママと子供のための軽ワゴン
ここまでコンセプトがバッチリ絞り込まれた軽自動車は、今までなかったのではないだろうか。ママと子供のための軽ワゴンと言い切ったMRワゴン。表情感のあるフェイスは暖かみが感じられ、ターゲットの女性はもちろんのこと、子供ウケもかなりよさそうだ。
しかし、MRワゴンの特徴は、見た目や感覚に頼った女性子供仕様車を作ったワケではなく、実験に基づいてきちんと計算されつくした上での女性子供仕様になっていること。全体的にバランスの取れたデザインの中に、細かい利便性も詰め込まれている。
例えば、きちんと三角窓が取られ、ドアミラーも大きめに設定されているのは、運転が苦手なママのための装備。そして後席周りは子供ための工夫が多い。例えば、リアドア上部の開口が大きめに取られているのは、チャイルドシートに乗せ降ろしする際に頭をぶつけないようにとの配慮からなのだ。
さて、スペック的には、プラットフォームとエンジン&トランスミッション、そして足回りなどのパワートレイン&運動性能は、基本的には現行ワゴンR以降の新しいものをベースとしている。54psのNAエンジンと64psのターボ。いずれも4速ATと組み合わされ、それぞれに2WD/4WDが用意される。NAには装備違いで、GとX。ターボモデルはTという1グレードとなる。
デザイン・スペックの総評
デザイン的に抜きん出ているのは、やはりアイだろう。なんたって、こんなカタチ今まで見たこともないのだから。運動性能的にも、コンパクトカーを上回るロングホイールベースとリアミッドシップレイアウトで新しさはナンバー1だ。ゼストもいかにもホンダらしい元気のよい手ごたえ感のある走り味。ホンダの軽だからという理由で選んでも、後悔することはないハズ。MRワゴンは、走りはほぼワゴンRだが、最小回転半径4.1mと現行軽トップの数字を誇るだけのことはあり、街中性能はさすがといったところ。計算され尽した機能性も見事だ。
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