シボレー ソニック 海外試乗レポート/今井優杏(3/3)
- 筆者: 今井 優杏
- カメラマン:ゼネラルモーターズ・ジャパン(株)
ソニック投入で日本市場におけるシボレーの逆襲が始まる!
ナンボ良くても問題は肝心のエンジンである。
ヨーロッパモデルではエンジンのラインアップも豊富で、ガソリンエンジンがそれぞれ直4の1.2、1.4、1.6のNA、そしてターボディーゼルの1.6リッターが用意されている。
トランスミッションは1.2リッターと1.4リッターが5速マニュアル、1.4にはマニュアルに加えて“Hydra-Matic”と呼ばれる6速オートマティック・トランスミッションが搭載され、1.6にはその両方が用意されるというバリエーションの豊かさだ(余談だがヨーロッパにはハッチバックモデル以外にセダンもラインアップされている)。
このHydra-Maticはエンジンクランクシャフトのセンターライン上に、すべてのギアセットが同軸上にレイアウトされ、パワートレーンユニットが短く処理されている。
このおかげでオーバーオールレシオを拡げることも可能にしており、その数値は6.00。高速走行中でも低い回転数を保つことにより、省燃費走行に貢献している。
何度も書くが、日本導入が色濃い1.6リッターは(これまでのメディアの予想では1.4リッターの導入が濃厚であったが、どうやら違うようですよウフフ)最大出力115.6ps、最大トルクは155NM。0-100km加速は11.3秒と発表されている。
試乗コースはドイツの西側、ライン川が初秋の陽射しにキラキラと輝く美しいドライブルートからアウトバーン、つまり一般道から速度無制限区域までフルにソニックに乗り倒したのであるが、とにかくエンジンが元気なのだ。
世界的なCO2排出規制を意識して、アイドリングトルクなどはかなり低めに抑えてあるものの(だからアイドリング時や低速走行時の静粛性は素晴らしい)、いざアウトバーンに入ってガツっとスロットルを開ければ、みるみるうちにスピードに乗る。
そのトルクはいわゆる“押し出されるような”というパワフルな感じではないが、剛性とアシがしっかりしてるから『あれ?知らない間に150km/h出ちゃってる?』みたいな、ナチュラルかつ骨太。
そこまで踏んでもまったくジタバタしないし、むしろ接地感も素晴らしい。
スペック的にそんなに余裕があるわけではないのに、この剛性感のおかげで包みこまれるようなドライブを、しかもかなりの高速域でも楽しむことが出来るのは嬉しい。
組み合わされたサスペンションは前がマクファーソンストラット、リアはガス封入式・ダブルウォール管状V型のトーションビーム。アウトバーンでの走行はもちろん、試乗ベースとなったドイツの田舎町・エルトフィレは、昔ながらの石畳が残る街。
シックでロマンティックなこの石畳も結構な年季の入りようだったのだが、こちらもキレイにいなしてくれたのは感激だった。
気になったのは遊びの少ないハンドリングで、異様に繊細なゲインには若干気疲れもしたのだが、試乗モデルは左ハンドルの電動パワーステアリング。日本導入の右ハンドルでは油圧式が採用されるというから、フィールは変わるので言及はしない。
ちなみに従来モデル比でスポット溶接を10%以上増やし、剛性アップに努めている。またスチールの素材自体も見なおしたという。これにより先日、ユーロNCAPにて5つ星を獲得し、安全性能にもお墨付きが与えられた。
気になる日本での発売価格は?
役者は揃った。あとは値段だ。
シボレーは実は2011年上半期、自社100年の歴史でも初となる約235万台!のセールスで、販売台数の過去最高値を記録した。
さらなる記録達成のため、このソニックは間違いなく大きなカギを握るモデルとなる。GMジャパンがもちろん来るべき下半期をバリバリに意識した、ユーザーには嬉しいプライスタグを用意するのは目に見えている。
おそらく200万円を切って来ると予想するがどうだろうか?逆に言えばコンパクトカーの高品質に慣れ切った日本人は、これ以上の価格だとまず手を出さないだろうと思うのでね。
もしこれが、100万円台で出てきたら。安く、速く、タフでオシャレ。これまでシボレーを敬遠していた層のショッピングリストにソニックが入って来るのは当然ともいえる。
GMの逆襲はまだまだ始まったばかりなのである。さあ、うかうかしていられませんよ、国産メーカーさん!
この記事にコメントする