BMW 1シリーズ 海外試乗レポート(3/3)
- 筆者: 菰田 潔
- カメラマン:こみや いわお
BMWの走りのレベルは、1シリーズでまた新しい領域に到達した
乗り込んだ印象は1シリーズという名前から来る印象より室内が広いと思った。それもそのはずで、現行3シリーズセダンより全幅は10mmほど広い1,751mmあるのだ。リヤシートに座ると3シリーズセダンよりレッグスペースが少し狭いが、これはホイールベースが3シリーズより65mm短い影響だろう。でも前席の人が相当大柄でない限り窮屈というほどではない。
室内の高さも充分にありヘッドクリアランスは3シリーズより余裕を感じた。スペック表を見ると全高も15mm 3シリーズセダンより高かった。というところで前の席に乗っている限り3シリーズより小さいクルマに乗っているという印象はない。
リモートコントロールキーは7シリーズと同じような四角いマッチ箱のようなものだ。これをダッシュボードのスロットに挿して、ブレーキペダルを踏んだまま丸いスタートボタンを一押しすれば自動的にエンジンが掛かる。ただ7シリーズと違うのはキーを縦ではなく横向きにスロットに入れることだ。7シリーズが採用した頃は使いにくいだのやり方が判らないという批判があったが、プリウスやクラウンが同じ方式になってからは誰も文句を言わなくなった。
走り始めるとボディのしっかり感がハンドリングと乗り心地に良い効果を発揮していることに気付く。硬いと思われているRFTがソフトに感じるのだ。しかも標準の16インチではなく、オプションの17インチ(205/50R17 89W)を装着していてだ。ユラユラとかブルブルといった振動がなく、ボディはいつもシャキッとしている。ハンドリングは回頭性が良いのに安定性が良いという矛盾した性能を両立させている。
ハンドルの手応えは3シリーズより軽めだが、ダイレクトな感触でハンドルの動きに対して正確に反応してくれる。過敏でなくちょうど良い。タイトターンでもハンドルを切った分だけ良く追従してくる。グリップ限界は高くなかなか滑り出さない。スピードの速いコーナリングで安心感があるが、高速走行時の安定感も高いので飛ばしても疲れない。アウトバーンでスペック上の最高速度217km/hをマークしたが、緊張せずに走れた。落下物を避けるようなハンドル操作をしてみたが、正確に動いてふら付かなかった。この走りのレベルの高さは、BMWがまた新しい領域に到達した感じだ。
これだけサスペンションとボディが勝っているともっとエンジンパワーが欲しくなってしまうが、必要充分以上のトルクを持っているので複数人乗車という条件でも問題なく走る。アクセルペダルをちょっと踏んで飛び出すように加速するようには創っていないが、アクセルペダルを踏み込めばその分ちゃんと力は出ている。
日本では早ければ10月からデリバリーが開始されるということで、BMWワールドに新たに足を踏み入れる人が多くなりそうだ。
この記事にコメントする