軽快感溢れるT-ROCと熟成度マックスなティグアンで、フォルクスワーゲンのSUVに死角なし!?

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2年ぶりの開催となった、JAIA輸入車試乗会2022。各メーカーともにSUVの用意が増えており、大人気メーカーのフォルクスワーゲンも、ラインナップの中核にSUVを据えている。今回は、その中から「T-ROC」と「ティグアン」を紹介する。

目次[開く][閉じる]
  1. SUVのフルラインナップを誇るフォルクスワーゲン
  2. 洗練なデザインを持つ、軽快感溢れるオールマイティ SUV「T-ROC」
  3. スタイリッシュなのに実用性高い一台 エンジンにはもう少しパンチが欲しい?
  4. これぞミドルクラスSUVの決定版! 熟成が進んだドイツNo.1のSUV、ティグアン

SUVのフルラインナップを誇るフォルクスワーゲン

正規輸入車メーカーとして、高い人気を誇るフォルクスワーゲン。主力モデルの「ポロ」「ゴルフ」などのハッチバック車は、それぞれが属するクラスのベンチマークとされるほどの出来を持っている。そんなフォルクスワーゲンも、SUV時代の到来に合わせて着実にSUVのラインナップを拡充。日本でも、エントリーモデルの「T-CROSS(ティークロス)」、クーペ 風ボディが魅力の「T-ROC(ティーロック)」、そして2017年に上陸したミドルクラスSUV「Tiguan(ティグアン)」を販売中だ。

しかも本国では、さらにコンパクトクーペ SUVの「TAIGO(タイゴ)」、ティグアンのロングホイール版で、7人乗りバージョンも設定される「Tiguan Allspace(ティグアン オールスペース)」、ポルシェ カイエン・アウディ Q7の兄弟車で、フォルクスワーゲンSUV の頂点「Touareg(トゥアレグ)」、さらには同社の電気自動車「IDシリーズ」にも、「ID.4」と「ID.5」をカタログに載せている。アメリカ市場や中国市場向けには「アトラス/テラモント」という全長5mオーバーのSUVまで存在する。今やフォルクスワーゲンは、世界に冠たるフルラインSUVメーカーでもあるのだ。

洗練なデザインを持つ、軽快感溢れるオールマイティ SUV「T-ROC」

JAIA輸入車試乗会2022に、前述の3種のSUV、T-CROSS、T-ROC、ティグアンを持ち込んだフォルクスワーゲン。その中からまず選んだのが、2020年7月から日本でも発売を開始したT-ROCだ。ゴルフと同じMQBプラットフォームを使って生まれたSUVとしては、ティグアンに次ぐ第2弾となる。

T-ROCはT-CROSSとティグアンの間を担う車種として開発されたため、4,240mmという全長はティグアンよりも約250mm短い。車高も約80mm低く、テールゲートを寝かし気味にしたクーペルックを採るため、数値以上にコンパクトで軽快感のあるクルマに見える。

この見た目の小ささは、乗ったときの印象でも不変。1825mmという全幅も、狭い道でもあまり気を使わずに乗れるギリギリのサイズといえる。しかも、軽快感を生むのは車体の大きさだけではない。

ティグアンはゴルフやパサート並みに作り込まれたハイクラスな内装を持つが、T-ROCのそれは、ボディカラーを踏襲したダッシュボードや、ティグアンよりはアッサリとした印象の内装デザイン、ざっくりとしたシート生地などにより、「上質ながらも身近なクルマ」という雰囲気を得ている。過度に華やかになり過ぎていない、洗練されたエクステリアも、T-ROCの大きなセールスポイントだ。

スタイリッシュなのに実用性高い一台 エンジンにはもう少しパンチが欲しい?

試乗会に用意されていたT-ROCは、2021年秋に販売が始まったクールな特別仕様車「Black Style(ブラックスタイル)」。ガソリンエンジンのTSIと、ディーゼルエンジンのTDIどちらからも選べるが、試乗車はディーゼルの「TDI」だった。

「TロックTDIスタイル デザインパッケージ」をベースに、ルーフレールやドアミラー、アルミホイールなどにブラックを基調とした専用アイテムや、個性的なデザインのCピラー装飾を追加。

安全装備面でも、「パークディスタンスコントロール(フロント/リア)」を備えている。試乗車のボディカラーは黒だったが、この他にダークブルー・イエロー・レッド・ホワイト・グレーメタリックの合計6色を揃えている。

最大トルク340Nm・最高出力150ps を得る2リッターディーゼルターボエンジンにより、T-ROCの走りは実に軽快。最大トルク発生領域が3500〜4500rpmと高めのため、「ディーゼルエンジンだからパンチある走りが楽しめそう」と思うと、思いのほか出だしに力がないことを感じてしまう。気になるディーエルエンジンの音は車内にそれなりに入ってくるし、振動もまったくないわけではない。

とはいえ、昨今の燃料代高騰を考えると、やはりディーゼルには捨てがたい魅力がある。クールでスポーティなクルマなのにエンジンは実用性が高いディーゼル、という「ギャップ萌え」要素も、個人的には強く刺さった。

高速道路の試乗でも、直進性の高さと中高速以上でのフラットさに感心した。アシは柔らかくないものの乗り心地は良い。広い室内空間、全席かけ心地の良いシートなど、スタイリッシュなのに中身は実直で実用性が高いというのも、フォルクスワーゲンらしいポイントだ。

ライバルのSUVでは、全長4.2〜4.3mクラスのホンダ ヴェゼルが思い浮かぶ。室内の上質感や広さはヴェゼルが勝るものの、やはり「日常で気軽に乗れる、お気に入りのスニーカー」のような、いい意味での「重くなさ」がT-ROCにはある。普段の街乗りや買い物から休日の遠出まで、様々なニーズに応えるT-ROC。たしかに「これ一台あればいい」というオールマイティなSUVと言えるだろう。

これぞミドルクラスSUVの決定版! 熟成が進んだドイツNo.1のSUV、ティグアン

続いて試乗したのは、日本国内のフォルクスワーゲンが販売するSUVとしてはハイエンドモデルであるティグアンだ。現行型である2代目は、日本には2017年1月から導入。現在販売されているモデルは、2021年5月にマイナーチェンジを受けた仕様で、試乗会にはガソリンエンジン版の上位グレード「TSI R-Line」が来場していた。

「ゴルフのSUV」という表現がぴったりなティグアンだけあって、メッキを多用した外観の高級感もさることながら、ドアの開閉音、質感が高いダッシュボード、骨格のしっかりしたシートなどに、完成度の高さを垣間見る。軽快感をアピールするT-ROCとは性格も異なる上に価格差も大きいが、作り込みの違いには少し驚かされた。

マイナーチェンジでディーゼル+4WD版の「TDI 4MOTION」がドロップしたが、1.4リッターTSIは1.5リッターに増強された。数値的には不変だが、過不足ない走りを見せてくれるだけでなく、実用域での力強さを増したように思う。高めのアイポイント、乗り心地の良さ、背が高いSUVということをまったく感じさせない的確なハンドリングにより、長距離移動がラクなことは間違いないだろう。

試乗車では、R-Lineにオプション装備されるDCC(アダプティブシャシーコントロール)を試すこともできた。DCCは走行モードをノーマル、コンフォート、スポーツ、エコ、カスタムから選ぶことが可能だが、スポーツモードとコンフォートでは明らかに乗り味が変わる。

スポーツではぐっと足が引き締まるだけでなく、ステアリングの特性やシフトアップのタイミングまで変わり、排気音まで太くなる。サスペンションを硬くしたスポーツモードに切り替えると、乗り心地が悪くなる? と思うかもしれないが、日常生活で「ちょうどいい硬さだな」という乗り心地で、20インチという大径タイヤを履いているとは思えないほどの快適性を持っていた。

2017年の登場から細かな改良を重ね、熟成が進んだティグアン。適度なボディサイズ、高級感ある内装、高い実用性、SUVらしからぬハンドリングなどにより、ミドルクラスSUVの決定版とも言ってもよい一台だ。2020年にドイツで一番売れたSUVだった(2020年度 VOLKSWAGEN AG調べ)という実力が伊達ではないことを確認できた。

[筆者:遠藤 イヅル/撮影:和田 清志]

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遠藤 イヅル
筆者遠藤 イヅル

1971年生まれ。カーデザイン専門学校を卒業後、メーカー系レース部門にデザイナーとして在籍。その後会社員デザイナーとして働き、イラストレーター/ライターへ。とくに、本国では売れたのに日本ではほとんど見ることの出来ない実用車に興奮する。20年で所有した17台のうち、フランス車は11台。おふらんすかぶれ。おまけにディープな鉄ちゃん。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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