【動画あり】トヨタ 新型スープラ(A90型) プロトタイプ試乗|TOYOTA GAZOO Racingの壮大な挑戦が、大きな花となって目の前に現れた

  • 筆者: 今井 優杏
  • カメラマン:和田 清志・トヨタ自動車・オートックワン編集部

新型スープラに、乗ってきましたよ~!

まさにたった今、報道規制が解禁され、このニュースをみなさんとシェアできるときがやっとやってきたことを、まずは素直に喜びたい。

新型スープラに、乗ってきましたよ~!

先日(2018年11月25日)、富士スピードウェイにて行われたTOYOTA GAZOO Racing FESTIVALでもすでにその走行シーンが披露されていたが、コックピットに乗り込むのは初めてのこと。

プロトタイプであるということで、同社のモータースポーツ活動「GAZOO Racing」を思わせる、赤と黒のマスキングに覆われた状態であったのは同イベントと同様だったが、間近で見る新型スープラのオーラは、やっぱり得も言えぬ迫力を放っていた。

マスキングされていてもなお見て取れるほどに、リアフェンダーの盛り上がった筋骨隆々で有機的な姿。

2シーターのフロントミッドシップというパッケージからもたらされる、ショートデッキ&ロングノーズの、いかにもスポーツカー然としたシルエット。

キリっと釣り上がった、シャープなライト周りがつくる目元の表情。

ああ、はやくこのマスキングを取った姿が見たい!と思うと同時に、このマスキングもまたカッコよく、これもこれとして売れば良いのでは?と思ってしまったことも事実だ。

>>カモフラージュ柄に隠された新型スープラの姿を接写[フォトギャラリー]

開発責任者は、あの86(ハチロク)の生みの親

開発責任者を務めるのは、あの86(ハチロク)の生みの親、多田 哲哉さん。開発が始まって実に6年という長きに渡って、スープラをまったくのイチから作り出して来られた。

「やっと、皆さんにお披露目できる日が来ました」

その言葉の重みは、その開発期間のご苦労が透けて見えるようだ。

すでに読者諸兄もご存知の通り、新型スープラはBMWとの協業で生まれた。その国を跨いだ開発の苦労を、多田さんはこう話された。

「スポーツカーの協業は、すでに86でスバルさんと経験しています。協業の大変さや苦労は知っているはずでした。しかし、スープラはそんなモンじゃなかった。もう二度とやりたくないくらいですよ(笑)」

しかしそのあと、こうも話されている。

「スポーツカーを作るということに関して、苦労は多かったが得るものはもっと多かった。BMWには感謝しています。」

それほどまでに苦労を重ね、ではどうして協業という道を選んだのか。

その理由は、スープラがスープラである、そのヘリテイジが大いに影響しているのだ。

直6エンジンの、FR。

しかし、スポーツカー用の直6エンジンなど、今のトヨタをしてもゼロからの開発はコスト・開発期間ともに難しい。そこで、BMWとの協業というかたちで実現することを求めたというのだ。

プラットフォームは協業が決まってからの設計で(つまりまったくの新設計)、多田さんは「理想のスープラ」を叶えるため、86よりもホイールベースが短く、また86よりも重心高が低いという難題に取り組んだのだという。

その理由は、サーキットだけではなく、一般道でも得られる最高のハンドリング(コーナリング)を求めた結果。当然、こんなに短いホイールベースを、当初BMWは猛反対したのだそうだ。しかし、ショートホイールベースがもたらすネガティブ(ピッチングや直進安定性への不安)をサスペンション・セッティングや高剛性で消し去り、峠で気持ちいいと感じられる、最高の落とし所を目指したのだという。

気になる新型スープラの乗り味とは

では実際、その乗り味はどんなものだったのか。

我々に用意されたのは、もちろん歴代スープラが踏襲してきた3リッター直6を搭載するモデル。駆動はFRだ。

まず、スタータースイッチを押した瞬間の、ゴウン、という低い音がドライバーの心を煽る(そう、スターターはイグニッションキーを差し込むのではなく、ボタンとされることがこれで解った)。

ステアリングホイールの向こうには、パドルシフトを備えた2ペダル式。

やや小径で太めのステアリングを握ってアクセルペダルを踏み込んだ瞬間、ガツン!とトルクが生まれた。そしてなんちゅう気持ちいいサウンド!

そのエキゾーストに誘われるように、速度を思わず上げてしまうが、確かに直進においては200km/hを越えても不安がないのに驚きを隠せない。

さらに、コーナリングではどんどん鼻先がコーナーの向こうにグイグイと差し込まれて、操舵(舵角)すらも楽に、浅く思えるほど。だから、周回を重ねて行くごとに、ドライバー(私)のコーナリングスピードもどんどんアップしていくから、次のコーナーをつい心待ちにしてしまう。

実はこのスープラ、モードスイッチが備えられていて、ノーマルとスポーツ(仮)があるのだが、3リッター直6エンジンがこのコンパクトなボディー(そう、かなり押し出し感のあるデザインのために一見そうは見えないけれど、近くで全体像を見れば86と変わらないくらいのサイズなのだ)に乗っかるのだから、パワーウエイトレシオで考えても、私レベル(レーサーじゃないただのクルマ好き。たまにサーキットも走るけど決して速くはない)の運転技術なら、ノーマルモードでも十二分にエキサイティング。

電子制御の介入もノーマルモードですらお節介すぎず、そうっとこちらが気付かない程度に横滑りをサポートしてくれるのにターンアウトで出力を大げさに絞ったりしないという、ドライバーの走り心を損なわない演出がなされているのには感激した。

スポーツモードだともちろんその「遊ばせ幅」は広くなり、マッピングが過激になるのはもちろんのこと、さらにVSCを長押しで完全にオフさせることもできるから、ドリフトなどクルマ遊びもお手の物でこなせそう(この日はドリフト禁止令が敷かれていたため、だれも試せなかったけれど!)。

そして気になる…BMWとの違い、そしてトヨタの“味”とは

で、みなさんがきっと気になっているのは、「じゃあBMWとの違いはなんなの?」

そう、このスープラは次期Z4が兄弟車となる。エンブレム以上の違いはあるのかないのか。

残念ながら、私はまだ新型Z4に試乗していないので、その差を語るには経験が足りない。しかし、各国のジャーナリストは、「明確にトヨタの味が出ている」と評価したのだそうだ。

むろん、私も感じた。

BMWは、BMWとしての「駆け抜ける歓び」に則って、1シリーズから8シリーズまで、ひいてはSAVまで統一した「BMWの味」を貫いている。それが、スープラにはごく良い意味で無いのだ。ちゃんと「スープラ」。ほんとうに。

それは、固められすぎてるわけではない、ほどよくロールをもたらすサスペンションのおかげかと思っていたのだが、どうやらそれだけではないらしい、と気づいたのは、オートックワンT編集長と一緒にコースインしたときだった。

実はこのインプレッションと同時に、動画を撮影した。

私は袖ヶ浦フォレストレースウェイを走るのが数年ぶりという、もはやこのコースに関してはビギナー以下(恥)。その私が直線時速180km/h、コーナリングスピードもそこそこで、コメントを話しながら(!)、笑いながら走行できている。

何故か。

なんだか、とっても安心なのだ。これは当然、退屈という意味では断じて無い。その正反対だってことは、どうぞ動画での私のキャッキャした表情から察していただきたい。

それは、先述のさりげない電子制御のおかげでも、トルクの豊かさのおかげでも、トランスミッションのマッチングのおかげでもある。

開発責任者、多田 哲哉氏が語る「スープラの世界観」

走行後、開発責任者である多田さんにも、インタビューしてみた。

「多田さんが考える、スープラにおけるトヨタらしさとは何ですか?」

多田さんはこうおっしゃった。

「このクルマを買うみんながみんな、レーシングドライバーみたいに運転が上手いわけじゃない。中には、これから運転を勉強しようという人もいるはずです。そんな、すべてのクルマ好きの皆さんが、安心して走りを楽しめる。それがトヨタらしいスポーツカーだと思っています。ハンドルを握るのが怖いと思わせるようなクルマは、結局ドライバーをクルマ好きにしてくれない。この、『いつでも、どんなときでも安心してコーナーに斬り込んで行ける』というクルマ作りは、まさに24時間、3方向からの入力、Gを受けながら走り続けなければいけない、ニュルブルクリンク24時間レースで培ったものなのです。」

胸が熱くなった。

これは想像だけれども、今、トヨタがGAZOO Racingでやってきた挑戦が、先に86でスタートし、このスープラで大きな最初の花を咲かせようとしているのかもしれない。

多田さんはこうも言っておられた。

「走行試験のほとんどを、一般公道で徹底的に行ってきました。ですから、本当は公道でこそ良さを実感してもらえます。是非待っていて下さい!」

[筆者:今井 優杏/撮影:和田 清志・トヨタ自動車・オートックワン編集部]

今井優杏がお届けするスープラ初試乗動画はこちらから

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今井 優杏
筆者今井 優杏

自動車ジャーナリストとして、新車や乗用車に関する記事を自動車専門誌、WEBメディア、一般ファッション誌などに寄稿しながら、サーキットやイベント会場ではモータースポーツMCとしてマイクを握り、自動車/ モータースポーツの楽しさ・素晴らしさを伝える活動を精力的に行う。近年、大型自動二輪免許を取得後、自動二輪雑誌に寄稿するなど活動の場を自動二輪にも拡げている。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。記事一覧を見る

監修トクダ トオル (MOTA編集長)

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