開発主査が語る、スープラ復活の経緯とBMW × トヨタの舞台裏(1/2)
- 筆者: 山本 シンヤ
- カメラマン:山本 シンヤ/GRカンパニー
新型スープラの開発主査、多田氏にインタビューを実施
1978年、セリカの上級モデルとして登場したスープラ。初代(A40/50系)はどちらかと言うとラグジュアリークーペの立ち位置だったが、1981年に登場した2代目スープラ(A60系)は、その立ち位置をソアラに譲りスポーツ色を強めていく。
1986年に登場した3代目はツーリングカーレースのみならずラリーにも参戦。そして、1993年に登場した4代目(A90系)はトヨタスポーツカーのフラッグシップとして開発された。基本性能に徹底的にこだわり、ドイツ・ニュルブルクリンクで鍛えたモデルとしても有名である。
トヨタの元トップガンであり、豊田章男社長と共にGAZOO Racingを立ち上げたマスタードライバー・成瀬弘(故人)が味付けを行なったモデルであり、ハイパワーFRながらもコントロール性の高さはピカイチ。
その実力は生産終了後も健在で、現在もプロドライバーからの評価も高い上に、トヨタの社内訓練車として活用されているほどだ。
以前、成瀬さんに話を聞いた時に「トヨタからなかなかスープラ(A80系)を超えるクルマが出なくてね」と笑いながら話していたのを思い出すが、4代目の生産終了から16年、ジュネーブモーターショー2018で5代目を示唆するコンセプトモデルがお披露目された。
すでに様々な自動車メディアに速報記事がアップされているが、ここではチーフエンジニアの多田哲哉さんのインタビューを中心に、プレスリリースには書かれていない事を中心にお届けしていくことにしよう。
スープラ復活の経緯
まず、スープラを復活させようと思った経緯について聞いてみた。
多田氏:「元々は86の兄貴分となるピュアスポーツカーの企画が発端でしたが、86のイベントで世界各国に行くと『スープラは復活しないのか?』、『86の次はスープラでしょ!』と言ったラブコールが我々の想像以上に多く、その気持ちに応えよう……と。」
エクステリアはロングノーズ&ショートデッキの伝統的なFRプロポーション。幅広フェンダーや大型ウイング、リアディフューザーなどレーシングモディファイが施されているものの、フロントマスクやリアフェンダーなどは4代目の流れを汲んだデザインであることが解るだろう。
パッと見るとコンパクトな印象を受けるが、ボディサイズは全長4575mm×全幅2048mm×全高1230mmで、実は4代目とそれほど変わらない。
『スープラ』として引き継いだアイデンティティは駆動方式とエンジン
一方、インテリアはレースに不必要なアイテムは取り外され、各種レース用アイテムが組み込まれているので詳細は解らないが、歴代スープラと違うのは、後席がない2シーター仕様であることだ。
多田氏:「スポーツカーは基本素性が重要となります。ピュアスポーツとしてベストなホイールベース/トレッドを実現させるために、今回は2シーターに割り切りました。逆にスープラとして継承したポイントは2点で、『FR駆動であること』と『直列6気筒エンジンを搭載すること』でした」
ちなみに、市販版の新型スープラに搭載されるエンジンは直列6気筒の3Lターボであると言われている。
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